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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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織田西の居た世界について

 メリッサが帰った後も、俺とレーチェは応接室で話し合っていた。

『世界断編叢書(そうしょ)』を二人とも読んでいたので、会話は円滑に取り交わされたが、それでも彼女と俺の間には、取り払えない壁があった。


「あなたの知識は、あなたの来た世界の知識でもあるのですわよね?」

「え? ……ああ。そうだな」

「その所為せいでしょうか。どうもあなたの話す事柄は、こちらの──フォロスハートの理解を超えていると感じます」

「それは──そうかもしれないが」

 世界だの惑星だの、国家だの社会政治だの──、人類が作り上げるあらゆる技術と情報と、複雑怪奇な価値基準など。多様化され、対立と傍観ぼうかんという──「歴史は繰り返す」という言葉どおりになりつつあった世界。

 そこからやって来たのが俺。


 フォロスハートはそう考えると、正直言って単純な世界だ。

 ある程度の自由と不自由が明確にあり、誰もそれに異義を唱えない。そこにはある程度の一致した価値観や、相互補助の関係性が成り立っているからだ。

 誰もそれを悪いものだと感じなければ、不平や不満が生まれる事もない。

 この世界にあるのは絶対的な正しさや、価値観などでは決してない。


 ただここには、自分達(人間)よりも明確に長い時間を生き続け、変わる事なく在り続ける「神」の存在があるので、誰もその上位意思に疑いを差し挟めないのである。


 彼ら四大神に守られたこの大地で、彼らに反逆するなど、誰が考えるだろう?

 もちろん彼ら四大神が傲岸不遜ごうがんふそんな専制君主であったならそうはならなかったかもしれないが。



「あの……前から聞きたかったのですが、オーディスワイア、というのは、こちらに来てからの名前なのでしょう? それでは、あなたの以前の名前は、なんとおっしゃるの?」

 レーチェは聞いていいものか、という風に尋ねてきた。

「以前の名前は、織田西おだにしあゆむだ」

「おーデぃシィ・あゆンム……?」

 彼女もその名前を発音できないようだった。

「舌を噛むぞ、やめておけ」

 溜め息混じりに警告しながら、俺が以前に居た「地球」についての情報を明かすべきかどうか考えた。


 おおやけにしてほしくないので誰にもしゃべらせないが、レーチェにはある程度の情報を話しておいた方がいいかもしれない。


「あゆンムが、家督名(名字)という事ですか?」

「いや、逆だ。アユムが名前でオダニシが家督名に当たる名前だ」

 彼女は「アユム」と口にすると、こほんとせき払いする。


「それでは──あなたの知っている、世界についての情報を教えていただけませんか? きっと、こちらの世界にも共通するものだと思うのです」

「ああ、そう──だな。だが、どこから話せばいいんだ? 大地の元々の姿。惑星についてか」

 そう言うと彼女は大きく頷く。

 神話として語られている世界崩壊の伝承が、にわかに真実味を帯びてきた為に、俺の認識と比較して、過去の世界について思い描くものを、はっきりとさせておきたいのだと彼女は言った。

「分かった。俺が知っている限りの世界についての情報──太陽や宇宙、星々の事について説明しよう」



 俺は宇宙について、太陽の周辺を公転する惑星──地球や月などについて説明し、地球の環境などについても説明した。

 天候、そして地面の遥か下にある地核コアなどがあり、星がまるで生きているかのように活動している事について説明すると、彼女は当然のように疑問を口にした。


「それらはやはり、神々の力で活動しているのですね?」

「あ、……いや。なんというか、俺達の世界には、神という実在する存在は居なかったんだ」

「え……?」

 彼女は理解できなかったみたいだ。

「自然現象はあくまで、地球や太陽などの活動力エネルギーから生まれるものだって事。……それについては追い追い説明するよ」

 ともかく地球という星が回転し、巨大な大地と海があると説明していると、彼女はびっくりしたようだった。


「そんなに大きな大地だったのですね……!」

「ああ、そうだな。もしフォロスハートの元々の大地が地球と同じくらいの大きさなら、たぶんフォロスハートの数百倍──、あるいはもっと大きい物かもな」

 こう話してもその大きさにぴんとこない。──それは説明している自分にとってもそうだった。

「例えるなら──そうだな……惑星の大きさが俺の首から上くらいだとしたら、フォロスハートの大地は、黒子ほくろくらいの大きさかな」

「そんなまさか!」

 彼女はまるで悲鳴の様な声を上げる。

 想像もつかないといった感じだろう。

 今自分が立って生活している大地が、そんな巨大な世界の一部に過ぎなかったなど。


「フォロスハートが分かれたという元々の大地の大きさは、せいぜい十か二十個分くらいだと……」

 レーチェは愕然がくぜんとした感じで言う。

「ああ──けど、惑星の表面はほとんどが海なんだ。七割が海で三割が陸地……おい、大丈夫か?」

 彼女は混乱しはじめてしまった。

 自分の想像していた世界とは、掛け離れた内容だったのだろう。


「それでは……その、文明はどうなのでしょうか。あなたの居た世界の文明とは、どのようなものでしたか?」

ここから地球のお話が続きます。

退屈とか思わないで~

混沌に囲まれた世界で生きる人と、現代からやって来た(ちょっと特異な)人との違いを想像してほしいのです。

引き裂かれた大地で暮らす人が、惑星などの巨大な世界を受け入れられるか……そんなイメージ。

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