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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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訓練、訓練、訓練!

 気づけば七人の若者達がへばっていた。

 俺も多少息が上がってしまってはいたが、まだまだやれそうだ。

「どうしたどうした。そんなんじゃ全国──いや、冒険先で命を落としちまうぞ」

 すっかり一昔ひとむかし前の部活動のノリになっていた。

 ここに居た七人はその若さに相応ふさわしく、打たれてもへこたれない気概きがいを示そうと、俺に対して果敢に打ち掛かってきた。

 さすがに団長を相手に無様な戦いぶりは見せられない、と血気のあるところを見せてくれる。


 だが──実力はまだまだだ。


 一対一の、駆け引きの必要な戦い方を理解するには、冷静な判断力といったものをつちかう、実戦経験が足りていない。

 頭で理解している事と実戦での行動判断は、経験の中で身につけていかないと、上手く機能しないものだ。──何より咄嗟とっさの反射で戦うというのは、際どい場面で必ず出るものだ──

 どんなに素晴らしい戦術を描けても、実戦となった時の緊張感で体が固くなり、冷静さを失えば、本領を発揮する前に倒れる。

 訓練とは遊びではない。

 実戦を想定した、本気の取り組みなのだ。



 六人がへばっている中、一人の若者がまだやる気のようだ。

 確か名前は──エクスダイン、だったか。

 七人の中でもかなり訓練を重ねた男で、すでに冒険にも出ている冒険者だ。同期のローレンキアやリグザミト達は冒険に出ているのだろう。

 エクスダインは、滅多にない団長との訓練に意欲を燃やしている様子で、なんとか団長に認めてもらおうと気炎を吐いている。


「いいぞ、こい!」

 木剣を手にかなり強引に攻めてくる。

 だが以前よりも変則的な動きが出来ていると感じた。直線的な攻撃が減り、横へ回り込むなどの動きが増え、さらに反撃の為の体の使い方も身につけていた。


 ……とはいえ今の俺の戦闘姿勢(スタイル)は、完全に反撃主体に慣らしたものなのだ。──それはレーチェの鋭い攻撃に対し、確実に勝てるだけの一撃を打ち込む動き。

 その動きを多用していると、ついにエクスダインは二歩後退し、ぜぇぜぇと荒い息を吐きながら「ぜんぜん当たらねぇ」と不満げに言う。

「ああ、悪い悪い。自信を無くすなよ? ──二週間後には副団長との再戦があるもんだから、反撃の練習をしておきたくてな。お前の攻撃は重く鋭いが、それでも攻撃の瞬間は読めるし、大振りに頼り過ぎだ。もっと偽攻フェイントを混ぜるなどして、本命の攻撃を悟らせないようにしないとな」


 あまりに反撃を受け過ぎて、腕や肩にあざが出来ているかもしれない。エクスダインは「うす」と返事をしながら、痛めた腕を気にしつつ下がった。



「よぉ──し、次は?」

 そう声を掛けると、入ったばかりの新人ルーキーが立ち上がった。

 線の細い優男やさおとこといった風貌だが、どこか闘志にあふれた瞳を持つ若者だ。


「新人だな。名前は──ええと」

「セブです」

「よし、こい」

 入ったばかりの三人の新人の一人。

 どうやら彼は速度に重点を置いた、手数の多い戦い方をするようだ。リトキスに習った戦い方なのか、なかなかに鋭い打ち込みをしてくる。


 わざと空振りをして反撃を誘い、その一撃をかわしながら反撃するという技も見せてくる。なかなか飲み込みの早い若者だ。

「えいっ」

 俺はその反撃に対する反撃を、さらに上半身だけの動きで回避し、相手の胴体に軽く突きを入れた。

 ぐいっと押された格好で尻餅しりもちを突きそうになるセブ。

 なんとか軸足を下げて転倒を回避したが、それでは追撃を回避できない。


「後ろに足を下げて踏ん張る時も、さらに追撃がくるのを想定し、横や前に動ける準備も必要だぞ。そんな爪先を馬鹿正直に真正面に向けて、真後ろに下がっていては駄目だ」

 それでは次に動く方向が限られてしまう。

「肩幅くらいに足を開くのを意識して足を引くんだ。次の攻撃に対する回避や反撃も頭に入れて。はすに構えるのも忘れずにな」

 爪先を少し外側に向けるようにしてな。そんな風に助言し、こうして七名を相手に繰り返し訓練を重ねる。


 さすがに仲間達が冒険から帰って来る頃には、俺の息も上がってしまう。

「ふぅ──よし、今日はここまでだ」

 リトキスもうなずきながら、武器の手入れと片づけを命じる。


「最後の子ですが、なかなか早熟だと思いませんか」

「ああ、そうだな。戦いの技術に関する変な先入観がない為、飲み込みが早いんだろう。おかしな癖がつかないよう注意しつつ、伸ばせるところを伸ばしてやろう」

 俺の言葉にリトキスは頷き、また今度もお願いしますと言ってきた。


「俺には一応、鍛冶の仕事もあるんだがな」

 しかし当分は訓練に身を入れようと考えている。そう告げ、その日の訓練を終えた。

 体力が無ければ鍛冶作業にも支障が出てしまう。

 柔軟体操をしつつ、宿舎へと戻って行った。

あくまで人数が多いのは「旅団」の形式をもっているためで、メインキャラ的な扱いを受けられない子も……。たまに名前が出るくらいかなぁ。

新人三名の名前はもう少し先で。

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