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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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体力づくり開始

 朝食を食べた後で、俺はすぐに鍛冶屋に向かった。

 まずは徒弟達に説明しなければならないと考えたのだ。

「俺は筋力や体力を回復する為に訓練トレーニングするので、しばらくは今までどおり鍛冶屋の事は任せる。──そして、二人は仕事の合間に出来る限り、魔法の武具の作り方を覚えておいてくれ」

 ケベルはうなずいたが、サリエの方は今一つやる気が起きないのを隠そうともしない。


「やっぱり装飾品にしか興味がないか」

「ええ──やっぱり、武器や防具を作るのは、女の手では大変ですし。短刀とかならまあ、なんとか……」

 短刀か。小さな武器なら──という事であれば、短刀や短剣型の魔法の剣を造ればいいだけだ。

「じつを言うとな、これからは魔法の武具の依頼が増えると踏んでいるんだ。その客の依頼に答えるには俺だけでは到底回せなくなる。だから俺の弟子である二人には、ぜひ魔法の武具作製の技術を修得してほしいんだ」

 それにこれからの鍛冶屋は、魔法の武具を造れるという優位性があれば、鍛冶屋を開いた後、仕事に困る事はなくなるだろう。俺はそう説明し、二人に新たな技術を獲得する為に挑戦するよう訴えた。

 ケベルは何度も頷いてやる気を覗かせている。

 サリエはやはり炉の前での作業が苦手なのだろう。渋々といった感じで「わかりました……」と返事をしたのである。




 宿舎の方に戻ると、さっそく冒険へと向かう仲間が宿舎から出て来た。

「じゃ、行って来るよ」とダリア。

「待て待て、どこへ行くんだ?」

「ほら、西海に出来た、新しい転移門にさ。ええと……なんだっけ?」

「『緑の島と海の大地』か。気をつけてな」

 彼女の後ろにはエアネルとレンネル、ニオとフィアーネも居た。

 それほど危険度の高い場所ではないのだろう。

 まあダリアを中心にした一団パーティなら、大抵の場所で活躍できるはずだ。


 エアネルとレンネルもそれぞれの武器を手にし「行ってきます」と、やる気に満ちあふれた様子で横を通り過ぎて行く。

 まだまだ駆け出しの気配が抜けてないニオとフィアーネは、やや緊張した面持おももちで、見ているこちらが不安になる。


「ダリアはかなりの実力者だ。彼女の言う事をよく聞いて、彼女の動きを盗めるだけ盗んでこい」

 俺はそんな風に助言して二人を送り出す。

 そういえば他にも多くの新米が居るのだった。

 彼らはまだダリアと共に活動できるような技量は無いだろうが、それでも下位の転移門に冒険に出ている冒険者なのだ。




 宿舎の庭に訓練をする者達数人が集まっていた。

 今日はリトキスが中心になって新米達の相手をしているようだ。

 俺は彼らの邪魔にならないよう、すみっこで一人、鉄の剣と盾を手にして運動する事にする。

 最初はゆっくりと剣や盾を振り回す感じで、基本的な運動を行う。いきなり激しい運動をして関節を痛めたりしたら最悪だ。


 じっくりと重い盾や剣を体に馴染なじませるように、慎重に振り続ける。

 はたから見たら、剣と盾を手に踊っているように見えただろう。

 攻撃や防御に必要な動作を確認しながら、あくまでゆっくりとした動きで繰り返し、何度も何度も確認する。




 かなりの時間、そうした単純で退屈な訓練をおこなっていた。

「もう昼ですよ」

 リトキスがそう声を掛けてこなければ、そのまま二、三時間は続けていたかもしれない。

「おお、もうそんなになるか」

 疲労は感じるが、呼吸と内気(けい)を使って体力の消費を極力抑えながら取り組んでいた為、まだまだ続けるだけの余裕は残っている。


「さすがの集中力ですね。らしの運動だけで何時間やる気ですか」

「歳だからな。無理はできん」

 そう言うとリトキスは肩をすくめる。

「なんだ?」

「いえ……この前の犬亜人ババルドとの戦争で、誰よりも活躍した人の言葉とは思えないなと」

「それはそれ、これはこれ」

 俺はそう返して食堂へと向かう。




 食事を終えた後も、俺は徐々に剣を振る速度を上げながら、何度も反復訓練に没頭した。

 戦いの想像をしながら、いかにしてレーチェの攻撃を弾き、回避し、反撃するか。

 その事に集中した訓練を繰り返す。

 するとリトキスが近づいて来て、こう切り出した。


「せっかくなので新米達の相手もしてください。実戦形式の方がいいでしょう」

「ん? ──まあ、そうだな」

「……がんばってくださいね」

 リトキスは意味深な言い方をした。


 新米達────ええと、名前はなんだったかな……、まあいいか。後で名簿で確認しとこう。

 刃引きの剣を振り回しながら新米達に近づいて行くと、かなり緊張した面持おももちで迎え入れられた。──まるで高校球児が、やたらと吠えまくる監督を前にしたみたいに。

「んじゃ、はじめるか」

 木剣は? そうリトキスに声を掛けると、手にしていた物を放ってくる。

 俺は手にしていた剣と盾を代わりに放り投げ、リトキスが受け取るのを確認すると、新米達に向き直った。


「よし、誰からだ?」

「エアネルとレンネルもそれぞれの魔法の武器を手にし~」の「魔法の」部分を消しました。

レンネルの魔法の武器はまだ造っていないので。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 基礎練大事! 高校の部活で、2年生に上がってから道具の良さを自分の技術だと錯覚して、基礎練を疎かにしたことがありました。 あることがキッカケでそれが幻想だったと知り、後輩の前でも(後輩と…
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