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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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眠れる神と、新しい転移門先の話

「そうだ。手紙を読みましたが、なんでも他の大地の神に干渉できるかもしれないとか?」

 そう尋ねると、女神の姿をしたエウシュマージアが「そうでした」と、思い出したように話し始める。

「転移門先の大地には、なんらかの神や、精霊の力によって維持されている場所が多いはず。その大地を混沌こんとんより守り、維持している力の根源を探し出せれば、もしかすると、その大地に眠る神を目覚めさせたり、大地になんらかの活力を復活させる事が出来るかもしれません」

「眠れる神の復活、ですか」


 神が居るんじゃないか、とされている大地はいくつかある。

 しかし、混沌に支配されている大地も多く、具体的にはどの程度あるのかはまだまだ分からない。

「大地の根源的な力に干渉できれば、その大地をフォロスハートに接合するのも容易たやすくなるでしょう」

 エウシュマージアの言葉に大きな期待を抱いた。そしてそれは俺だけではないだろう、という想いを抱いた。

 管理局に居る「楽園創造計画」の推進者達にもすでに、このエウシュマージアの話は伝えられているのだから。


 俺の目覚めを知ったメリッサがすぐにでも俺を訪ねて来て、この話を元にしたなんらかの計画を説明し始める未来が見えた気がした。



「それと、西海の大地に転移門を開いたそうですね? どんな大地と繋がっているのですか?」

「ええ。──新しい大地も西海の大地と同じような、海の多い大地です。危険な生き物が生息する山や森もある、西海の大地と同じくらい大きな大地ですよ」

 という事は、フォロスハートよりも大きな大地だという事だ。

 もしその大地からも海産物が手に入るようなら、さらに豊かな食生活が期待できる。食糧難もすっかり解消されたフォロスハートの未来が、さらに明るいものになる。

 その約束された未来に辿り着く為に、新た転移門先──「緑の島と海の大地」と呼称されている──に、多くの冒険者を送り込まなければ。

 うちの旅団からも早速さっそく派遣すべきだろう。


「わくわく……してきま、したよ──」

 急に眠気が襲ってきた。

「ああ、ごめんなさい。あなたはすでに別の意識領域で神々とお話ししていたのでしたね。ここはさらに深度の違う領域ですが、現在のあなたの精神では、あまり長い時間留まれないのでしょう」

 そんな声を聞きながら、なんとか返事をしようとしたが──無理だった。

 重くなったまぶたが目を覆うと、すぐに俺は意識を失い、本来あるべき場所へ帰って行ったのだった。



 * * * * *



 朝になって目が覚めた。

 相当ぐっすりと眠りにいていた感覚がある。

 夢──精神世界での事は、昨日の事のようにはっきりと覚えていた。

 四大神との会話や、女神の姿で現れたエウシュマージアとの対話。

 まさかあの神様が色白美人になって現れるとは思わなかった。

「予想外デス」

 そんな独り言をつぶやき、まずは霧吹きを手にして小鉢植物園テラリウムに水をやる。


 レーチェ達が水を与えてくれていたのだろう。硝子ガラス小鉢の中の苔は変わらず元気にしていた。

 部屋を出て玄関の小鉢にも水をやっていると、起き出していた母猫ライムと子猫に声を掛けられた。

「よぉ、おはよう」

 えさをくれ、そんな風に鳴いているのだろうか。

 やたらと甘えた声で子猫達が交互に鳴いている。

「おいおい、俺はこれから朝の祈りをしなきゃならないんだ。我慢してくれ」


 玄関から外に出て行こうとすると、ライムがついて来てしまう。

 珍しい。いつもは朝からこんなに近寄って来る事などなかった。

 もしかすると、長い昏睡状態から目覚めたばかりであるのを心配しているのかもしれない。

「ニャァ──」

 と鳴き声を上げながら足にすり寄って来る。

 俺はそっとライムの頭を撫でてやると、朝日に向かって祈り、部屋に戻ろうとした。

 ドアを開けて玄関に戻って来ると、二階から降りて来るエウラに会った。


「おはようございまぁす」

 欠伸あくび混じりに言うエウラ。

「おはよう──眠そうだな」

 俺の足にすり寄るライムは尻尾を立てて、べったりと身をすり寄せ続ける。

「あらら、朝から仲がいいですね」

「だな」

 俺は靴を脱ぎ、ライムを抱き上げた。

 するとライムは、頭を俺のあごにすり付けるように背伸びする。

 それを見ていた子猫達も寄って来て、にゃぁにゃぁと鳴き声を上げ始めた。


「悪いが、猫の食事の用意をしてくれるか」

 エウラに言うと彼女は「はぁ~い」と答えながら、食堂の方へ歩いて行く。

 俺は霧吹きを片づけに自室へと戻って行った。

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