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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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レーチェ、静かに怒る

 食事をしながら仲間達の報告を聞いた。

 俺が眠っていた一月ひとつきもの間に起きた事は、小さなものから大きなものまで様々だった。

 それにしても今回の事で、四大神にも心配を掛けてしまった。俺は旅団執務室で神々へ無事を伝えるべく手紙を書き、すぐに作業に取り掛かった。


 執務室には俺とレーチェが居た。

 まず四大神への手紙を書き、次に心配して見舞いに来てくれたアラストラなどへの手紙をしたためる。


 俺が手紙を書いている間も無言で机に向かって作業しているレーチェ。

 その気配はどことなく怒っている雰囲気を漂わせている。

「卵型の翡翠ひすいがなんなのか気になるな」

「そうですわね」

 ……こんな感じで会話も続かない。

 急に難しい顔をして考え込んだり、上の空になったり……


「どうかしたのか」

 手紙を書き終えた俺はそう切り出した。

 机の上にあった書類から一つの小冊子を取り出し、俺に手渡してくる。それは旅団統合支援課が各旅団に配った小冊子パンフレットだった。

 どうやら本気で管理局は旅団という組織と冒険者、そして管理局も含めたものに対する取り組みを始めたようだ。

 今後は冒険者は管理局が主体となって保護と監督をし、特に新人冒険者に対する基本的な教育と訓練をするようになるらしい。


 うちに入って来た新人達も、管理局が主催する訓練に参加し、一定の成績を修めた訳だ。管理局は人員の少ない旅団には積極的に新たな人材を引き取らせ、人数的な均衡バランスを保ちたいと考えているようだが、それは旅団の規模も関係する。

 宿舎のあるうちのような旅団なら、人員を増やすのはそれなりに容易たやすいが、受け入れ先のない旅団では厳しい。


 小冊子には他にも、今後のフォロスハートの全体的な取り組みについて書かれ、そこには「他の大地の接合」についても書かれていた。──管理局は大まかな構想を持っている事を公表して、これからも西海の大地のような、新たな大地をフォロスハートに繋げる指針を示したのだ。


 パールラクーンとの協議もし、向こうの大地にある転移門を利用して、互いの物資の供給を増やそうといった考えについても書かれており、かなり大きな変革が管理局の中でも起こったのだと思われた。

「管理局も今までの冒険者頼みの態度を変えて、自分達でも積極的に良い環境を作り出そうとしてきたみたいだな」

「そうですわね」

 彼女はまた生返事で応じる。


 上の空なレーチェの反応。

 だんだん不安になってきた。彼女を怒らせてしまったのだろうか? ……心当たりがあり過ぎて、迂闊うかつな発言をして藪蛇やぶへびになりたくない。──そんな臆病チキンハートな俺。



 今度はナンティルと神殿都市アーカムに届ける手紙を書こうと、新たな紙を用意する。

 神殿には女神アヴロラに対する感謝の手紙を。

 ナンティルには息を吹き返したので気にするな、といった内容を書こうと考えた。

 どちらの手紙も短い文章で簡潔に書いた。ナンティルに対しての手紙には──なんなら「もう大丈夫だよぉ~ん」と、おどけた感じで書いてもいいくらいだったが、品性を疑われそうなので止めておく。

 メリッサへの手紙はさらに簡潔な内容にして、神殿などへ手紙を届ける仕事を任せる、としたためておく。


 それぞれの手紙を書き終えると、まだ事務作業に励んでいるレーチェを見る。

 彼女はやはりムスッとした無愛想な表情のまま、作業に没頭していた。

「さっきから、いったい何をしているんだ?」

「あなたが眠っている間もずっと、団員は冒険に出ていましたのよ。入手した素材などの記帳をしているのです」

「お、おぅ……」

 その口調には「あなたの看病をしていて手を付けられなかったのですわ」といった響きがあった。──ように感じた。……思い過ごしかもしれない。


 俺が手紙をまとめ、管理局へ持って行こうか、どうしようかと椅子に腰掛けたまま、机の前で(頭の中で)うろうろと迷っていると、レーチェが大きな溜め息を吐いた。

「何か言いたい事でも?」

「いやぁ──、何か機嫌が悪そうだなぁ。なんて思ってな」

 すると彼女は少し小さく息を吐き、机に置かれた帳面ノートを閉じる。

「少しお話ししてもいいですかしら」

 俺はなんとなく、殴られるのを覚悟する気持ちになった。

感想をもらえるって心強いですよね。

なので早めの更新!

翡翠の卵に関してはもう少し先の話に。管理局が解読作業中なのです。

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