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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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折れた魔剣の修復③

折れた魔剣の修復はここまでです。

エウラの容姿は日本人的な黒髪美少女──と美女の中間の様な、そんなイメージでしたがあまり描写が無かったですね……


評価やブックマーク大歓迎ですよ~

 魔剣は繋がった、それは確かだ。問題は剣に掛けられた魔法が機能するかだが──俺は彼女に頷き掛けると自分で汗を拭いながら薄い上着を脱いで上半身裸の格好になる。

 エウラは魔剣の柄を両手で握ると剣から伝わるものがあるか目を閉じてさぐる──

「……感じます、魔法を! 修復成功です!」

 俺は再び頷くと水を飲む。


 鍛冶場の中は凄まじい暑さになり二人は汗だくになっていた。エウラは魔剣を作業台に置くと俺に抱きついて喜びを露にする──彼女の胸の柔らかさを腕や肩に感じる。汗を掻いた彼女の肌がしっとりと俺の肌に吸い付くのを感じるとこんなにも疲れ果てているのに妙な気分になってしまう。


「ちょっ、ちょっと! あなた達! 何をしていますの⁉」

 鍛冶場の入り口にレーチェが立っている、その後ろにはリーファやユナ、メイ、カムイにウリスとヴィナーまで来ている。勢揃いで俺にエウラが抱きついている場面に現れたのだ。


 エウラは慌てて離れてあわあわと両手を振って何やら訴えようとしているが、ふらふらとその場に屈み込んでしまう。

「水を飲め、脱水症状だ。あとユナ、悪いが魔法で鍛冶場内を冷やしてくれるか? 暑くて死にそうだ」

 こう告げると少女は慌てて炉の周辺から弱い冷気を放っていき、室内の温度を劇的に低下させたのだ。


 俺も魔剣を手にして確認したがおそらく完全に修復しただろう。魔剣から流れて来る力は所持者の肉体の潜在的な力を引き出す効果が強いと感じた。俺がシャルファーを去った後もエルグはこの様な魔剣を手に入れて活躍していたのだ、あいつはまだまだ冒険への執念の様な物を持っていたがその想いは果たす事はできず、魔剣だけを残して逝ってしまった。


 しばらくの沈黙の後、エウラが唐突に言った。

「私を「黒き錬金鍛冶の旅団」に加えて貰えませんか」

 彼女が言うには、兄の残していた装備の大半は彼の居た旅団「碧の旋風旅団」の物となってしまったが、折れた魔剣といくつかの金品が彼女の物となったらしい。


 エウラが所属していた「深緑の風見鶏旅団」から彼女は抜けてしまったのだという。兄の死がこたえたというのもあったが彼女の本来の願いは、中央都市で多くの冒険に出たいという少女時代からの夢にあったようだ。


 俺はレーチェに──副団長にお伺いを立ててみたが、彼女はむむむ……と考えた後でやっと「歓迎致しますわ」と答えたのである。


 こうして「黒き錬金鍛冶の旅団」に新たなる剣士と魔剣という強力な武器が加わる事になったのだった。エウラ・フィアネストは「よろしくお願いします」と頭を下げ、優しげな笑みを浮かべて見せた。

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