表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

439/585

古びた城塞都市で見つかった領域について

 俺が質素な食事を終えた頃に、リトキスやカムイ達が帰って来た。

 ダリアやラピスも俺の意識が快復したのを知ると、手放しで喜びをあらわにし、それぞれの口から「よかった」と安堵あんどと共に笑顔を向けられる。

「必ず快復すると信じてました」

「おう、それよりも、なんだ『古びた城塞』で発見された場所っていうのは。説明してくれ」

 リトキスに言うと、そこは古巣の「金色こんじき狼の旅団」からの付き合いである仲間だ、俺にも分かるように説明してくれた。


「城塞都市の一部に大きな扉があったじゃないですか。その扉の先は混沌こんとんの暗闇が広がっているので、今まで誰もその扉を開けませんでしたが。──まあ、鍵も掛かっていましたしね」

 覚えていますか? という友の言葉に少し考え、思い当たる扉について記憶を辿りながらうなずく。

「ああ、城壁の外へと向かうような大扉だろう? たしか城を囲む二重の城壁の最初の壁にあったやつだ。その壁の外は城下街に繋がるが、城の左右の領域は混沌に包まれていて、それ以上は探索できないんだったな」


 城壁の正面入り口から続く城下街は存在しているが、その他の部分は混沌の中に沈み、陸続きになっていても、とても入る事は出来ないのだった。


「ところがその扉の先の混沌が消え去っていたというので、管理局が調査隊を派遣はけんする事を決めたのですが──それが、僕達だった訳です」

「頼られたものだな。蒼髪の天女旅団のアラストラ達でも良かっただろうに」

「彼らはパールラクーンでの別の任務に当たっているらしいですよ」

「そうか──んで、ダリアやラピスもうちに入ったんだって?」

 よろしくお願いします、とラピスが丁寧に頭を下げたのと違って、ダリアはぶっきらぼうに手を挙げてよろしくなと、にやりと笑った。


「おう、こちらこそな。──んで、その扉の先はどうだった?」

 うん、と言って上を見るダリア──しかし、彼女はリトキスをちらりと見やると、話をするよう無言でうながす。


「ええと、どこから話しましょうか。

 まず僕達は管理局員の操る監視飛翔体──『偵察機』と管理局では命名したそうです──と共に、くだんの場所へ向かいました」

 扉を開けるのは管理局の工作員が鍵を解錠したらしい。

 その先へと進んだリトキス達を待ち構えていたのは、武装した兵士達。──もちろんその兵士とは混沌が生み出した、死霊の兵士や騎士達だったそうだ。


「けど、相当手強(てごわ)い連中だったよ」

 とダリアが補足する。

 古びた城塞都市には死霊の兵士が、軽装の者から重装備の者まで色々と居るのだが、それらよりも強い兵士が数体、扉の先に控えていたのだ。


「舗装された道の左右に樹木が植えられ、その道に兵士達が何体も居て、それらを僕達で打ち倒していったのです。

 さらにその先に行くと、木々に囲まれた広場があって……」

 そこには、かがみ込んだ鎧武者が居たそうだ。

 そいつはなんと、四メートルを超える巨体を持つ戦士で、巨大な斧槍ハルバードを振り回して襲い掛かってきたのだ。


「いや──、おっそろしい相手だったよ」

「私は後方から魔法剣で応戦しました。カムイとダリアは接近戦を挑んで足首を攻撃したりして、リトキスさんは斧槍の一撃を誘いながら、魔法を撃ち込んだりして──」

「カムイにも驚かされたよ」

 リトキスはダリアと共に敵の足下へと果敢かかんに飛び込んで行った、カムイの動きをそう評した。

 化け物じみた巨体の敵の足を攻め立て、体勢を崩したところへ総攻撃を掛け、なんとか打ち倒す事に成功したらしい。


「それで、さらにその先へと向かった訳だけど……」

 そこには二階建ての小さな建物があった。

 とりでの様に壁に囲まれた建物の扉は開放されており、建物を探索するのは容易だったそうだ。

「なんらかの研究施設らしい造りで、大きなテーブルの上には様々な形状の硝子容器フラスコや、乳鉢などが置かれていました」

「錬金術の工房か?」

 俺が口を挟むと、リトキスは「たぶん」と頷く。


「そこで興味深い物を一つ発見しました。それはこれくらいの卵型の翡翠ひすいで──」

 と、両手で大きさを示すリトキス。それはかなりの大きさで、縦幅二十センチ、横幅十センチはある翡翠の球体だったらしい。

「しかもその翡翠は表面はすべすべなのに、光を当てると、光の中に文字が浮かび上がるんだ」

 ダリアはそう言いながら、指にめた発光結晶の指輪を見せる。

「偶然ですが、緑色の翡翠をよく見ようと発光結晶を使ったら、テーブルの上に複雑な文字が現れたんです」

 ラピスもその「翡翠の卵」には驚いたようだ。


「いったいどうやって宝石の中に、そんな文字が浮かび上がる仕掛けを施したんでしょうか」

「そうだな。表面に彫り込むとしても、翡翠は尋常じゃない硬さを誇る宝石だしな。さらにそれが宝石の表面でなく、内側になんらかの手を加えたとなると……俺達の持つ技術とは、根本的に異なる体系の技術で作られた物だろう」

 その卵はどうした? そう尋ねるとリトキスは管理局が持って行ってしまったと説明する。

「何しろ見覚えのない文字でしたから。解読する為に研究員の元に持ち込まれてしまいましたよ」

「まあそうだろうな」

 建物の中にはいくつかの薬品や書物が残されていたが、それらも管理局が運び出す予定らしい。

今回の話にある「古びた城塞都市」についてのことは《外伝》の方にある転移門についての設定に書かれています。

翡翠の卵から得られる情報がどんなものなのか──ここから衝撃的な真相が明らかに……!


気づけばたくさんのブックマークや評価が! ありがとうございます!

シリアスな展開になりますが、その中にも笑えるエピソードを入れつつ書いてます。

今度の展開にもお付き合いください~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ