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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第十章 愛する者のために

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レーチェの報告

「食べながら聞いてくださいな」

 レーチェの横にユナが座った。

「パールラクーンの神殿への手紙の件ですが、管理局の方に連絡して、あちらから手紙を送ってもらうのがいいと思いますわ。ナンティルさんへの手紙は、あなたが直接書いた方がいいでしょう。──齟齬そごがあってはいけませんから」

「確かに」俺は納得しながら汁物スープを口にする。

 管理局とは「通信機」で繋がっている。──一応神殿とも繋がっているが、簡単に通信する訳にもいかない。


「あなたが眠っている時、多くの人が宿舎と鍛冶屋を訪れて来ましたわ。さっき話しましたけれど、ナンティルさんや神官、水の神殿の巫女もあなたの容態を尋ねに来ましたわ。あなたの目がいつ覚めるのかと、女神アリエイラ様も気にされている様子ですわ」

 俺は無言でうなずいた。

「他にも蒼髪の天女旅団のアラストラさん達も見舞いに来てくださいましたわ。管理局からもメリッサさんからのつかいが来たり……、大忙しですわ。

 小獣人エルニスの国シュナフ・エディンからもあなたを心配する手紙が届きましたし、取り上げたら切りがないくらい」


 ふぅ、と溜め息を吐いたのは、そうした見舞い客に対しなんと返答したらよいかという迷いがあったのだろう。彼らに「まだ目覚めていない」と説明するレーチェの顔は、俺の想像では固く、暗い表情で説明している姿だった。

「……心配をかけたな」

 俺は改めて謝罪する気持ちになった。


 パールラクーンの戦場に自分も参加したかった、そんな気持ちもあるのだろう。彼女の表情はまだ暗い影を落としている。

「まったくですわ」

 彼女の言葉に応えたのか、テーブルの下で猫が「にゃぁ」と鳴き声を上げた。

 そっと足下を見ると、ライムと子猫達が集まって来ていて、母猫はさっと椅子に飛び乗ると、さらに飛び跳ねてテーブルの上に乗ってきた。


「あ、こら」

 レーチェがたしなめたが、ライムは俺のそばにやって来て、皿に入っている汁物の匂いを嗅いでいる。

「ダメだぞ、玉葱たまねぎも入っているからな」

 俺がやんわりと白猫をユナの前に押しやると、少女はライムを抱いて優しく撫ではじめた。



「他にも管理局を通して、エウシュマージア様から感謝の手紙を頂きましたわ。春迎祭儀で使った象徴しょうちょう武具の鎌についてのお礼の言葉だそうですわ。中は読んでいませんので、あとで部屋の机に置かれた手紙に目を通してくださいな」

「うん」

「あとは…ぇえと、何か色々と話さなければならない事があったのですが……」


「あ、カーリアが魔法障壁を習得したんですよ」

 ユナが話の合間に報告する。

「へえ、カーリアも頑張っているんだな」

「あと……そう。レーチェさんのご実家から食料が送られて来たんです。妹さんが団長を心配して、宿舎まで来られたんですよ」

 そうなのかとレーチェを見ると、彼女は曖昧あいまいに頷きながら、何故か顔を赤くする。



「ま、あまあ妹の事はおいておきましょう。それよりも、実は──『古びた城塞都市』で変化が起きたというので、管理局から直接、私達『金獅子の錬金鍛冶旅団』に依頼が来たのです。それで現在リトキスさんにカムイ、それにダリア、ラピスの計四名が調査に向かっているのです」

「うん? 古びた城塞都市で? なんでだ──? それにダリアとラピスも参加しているのか。なんだってダリアは妹のフレジアをウチに置いて行ったんだ」

 そう言うとレーチェとユナが顔を見合せる。

「それはその……あの三名が、()()()()()()()()()()からですわ」

「え、そうなのか。それは凄い戦力が加わったものだ」


 それで合点がいった。先ほどのフレジアの「よろしくです」とはそういう意味だったのだ。

 あの三人の実力はパールラクーンでの戦いで目の当たりにした。なんとも心強い味方が旅団に加わったものだ。


「これはあれだ。──途中から強力な戦力ユニットが加わるイベントみたいだ。『FFT』で『雷神シド』が仲間になったような気分だな」

 俺がそう言うとユナは首をかしげ、レーチェは「はい?」と言う感じであきれ顔を作る。

 俺は二人の疑問には何も答えずに汁物をすする。

 するとレーチェが言葉を繋いだ。


「他にも新入りが三名、旅団に入ったのですが。その三名は実戦経験の無い若者達なので、訓練に参加させていますわ。あと、別館の方の修繕が終わりましたので、鍛冶屋の二階に住まわせていた団員達も、別館の新たな宿舎の方の大部屋に移ってもらいました」

 なんでも「旅団統合支援課」が今後は新人冒険者の審査をし、各旅団の施設や団員数などから把握した情報を元に、新人研修といったような事を依頼するようになったのだという。

 それでうちには三名の新人が入ったという事らしい。

 そうした人員はそれぞれの適性によって振り分けられている。と説明されたらしいが──恐らくは試験的な判断なので、あまり当てにはならないだろうと思われた。

FFT=ファイナルファンタジータクティクス。

雷神シドが途中参加し、その強さにびっくりした人続出。


☆二人の新人ではなく、三名の新人に修正しました。

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