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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第九章 パールラクーンを巡る戦い

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予期せぬ結末

第九章のラストとなります。

まさかの展開となるでしょう──ご覧あれ!

 冒険者として活躍していた頃、俺達三人は強敵との戦いでよくこの連携をおこなっていた。

 アディーディンクによって魔法の強化を受けた斬撃を連続で繰り出すリゼミラ。その攻撃で身動きを取れなくした後で、俺が超強力な一撃で敵を粉砕する。


「やれぇえぇぇぇッ!」

 リゼミラが横へ飛び退きながら叫ぶ。

「おおぉおおおおっ‼‼」

 両手で握り締めた光り輝く魔剣を頭上から一気に振り下ろす。

 斬破と破砕撃を合わせた様な、剣圧に乗せた破壊の衝撃。

 黒い巨大な獣人めいた混沌こんとんの化け物が、それを防ごうと腕を変形させ、大きな盾を形作る。


「ゴギャァンッッ‼」


 黒い盾はいびつな音を立てて引きちぎられ、粉砕され、膨大な衝撃を受けて破壊される。

 盾を貫く斬撃と剣圧の衝撃が混沌の王に叩き込まれた。


「「グヴォオァアァアァァッ‼」」


 獣じみた頭部から胴体、股間に至るまで──一撃で粉砕された混沌の王。

 地面をえぐるほどの破壊が暗黒の体を微塵みじんに打ち砕き、真っ二つに分かれた体が左右に広がるようにして崩れ落ちる。

 暗黒のゆがみから生まれた様なこの怪物は、その体内にある無数の光り輝く宝石のきらめきをぼろぼろと崩れさせて、まるでちりみたいに消えていく。

 それは光を飲み込む暗いふちに還ってゆく──。まるでそれら全てが幻であったかのように、何もかも残さず消え去った。




 し──んと静まり返る戦場。

 俺とリゼミラ、離れた場所に居る戦士達の息づかいが聞こえてくる。



「「うおぉおおおおおおぉっ‼」」



 一呼吸遅れて大歓声が辺りを包んだ。

 勝利を告げる拍手と歓声。

「パールラクーン、フォロスハートの勝利だ!」

 そんな声が彼らの中から沸き起こる。


「パールラクーン! フォロスハート!」

 そんな大合唱が始まった。

 上空には銀色に輝く月が昇り、暗い戦場に柔かな光を差し込む。


「終わったね」

 リゼミラが拳を握って近づいて来る。

「ああ」

 俺とリゼミラは拳をぶつけ合い、アディーにも拳を突き出して勝利を讃え合う。

 気づけば周囲に転がっていた大きな化け物共の死体は全て、犬亜人ババルドの物に戻っていた。


 不可解な混沌による侵略。

 今回の犬亜人を使った一連の行為はいったいなんだったのか。たぶん答えなどえられないだろう。

 犬亜人の死体を避けながら防御拠点へと戻っていると、横からカムイやメイ、ユナが駆け寄って来た。

「団長!」

 次々に仲間達がやって来て、俺やリゼミラやアディーを取り囲んで勝利を喜び合う。




 歩く先から声が聞こえてきた。

 それは怪我をして拠点の近くへと運ばれていた戦士達の声。

「三勇士! オーディスワイア! リゼミラ! アディーディンク!」

 そんな呼び掛けが大きな歓声となって聞こえてきた。


「オーディスワイア!」

「リゼミラ!」

「アディーディンク!」


 次々に声が加わって、歓声の渦の中を歩いて行く。

 俺達は彼らの歓声を受けながらとりでの方へと向かう。

 そこには後方に下がっていたナンティルの姿があった。

 犬狼の王(バロンレガルム)の力で犬亜人の軍勢から、混沌の軍勢へと変わった時にいち早く退避したのだ。でなければ彼女は内に秘める女神の力の暴走を起こし、暴れ回っていたかもしれなかった。


「すま(にゃ)いにゃ……奴らとの戦いに参加できずに」

「気にするな。後方から指示を出すのが本来の指揮官のあり方だしな」

 周囲ではまだ手を叩いて俺達の活躍を讃えている兵士達の姿がある。──中には怪我をしている兵士の姿もあった。

「よくやってくれたにゃ。女神アヴロラ様も感謝しているはずにゃ」

 ナンティルはそう言いながら、俺の背後に集まって来ていたレオシェルドやカムイ達にも視線を向ける。


「『金獅子の錬金鍛冶旅団』の冒険者には本当に感謝するにゃ。もちろんその他のフォロスハートの兵士達にも。みにゃに代わってありが──」

 彼女は礼を口にしようとして、急にびくんと体を強張こわばらせた。

 ナンティルは突然苦しみだして──両手で頭を押さえつける。

「お、おい。どうした⁉」

 俺はナンティルに近づきながら手を伸ばす。

「ぅうぅうウゥぃいぃイィぁあぁあァァ‼」

 彼女のうめき声が響き渡り、俺の中にも冷たい何かが膨れ上がるのを感じた。──それは彼女の体から噴き上がるみたいに現れた金色の光に反応し、俺の胸元から()()()()()の様な物が不意に出現したのだ!


 まさか──こいつは!

 俺の体内に潜んで──いつの間に⁉


(……そうか! さっきの気の乱れは……!)


 黒い火が触手を伸ばすみたいにナンティルを目指してめらめらと黒い舌を伸ばす。


「あぁアァぅうぅィぃゃあぁぁァアアッ‼」


 絶叫するナンティルからほとばしる金色の気が周囲に凄まじい風圧を放った。

 俺はそれを正面から受けてよろめいてしまう。



(だめっ‼)



 そんな声が聞こえた気がした。

 目を開けていられないほどの風を感じ、目を守るように手をかざした瞬間。──俺の胸を貫く衝撃。



 ──────金色の光をまとう刃が俺の胸に突き刺さり、胸元の黒い()()()()()を消し去ったのだ……




          ─第九章 戦乱に乱れる心 完─

たくさんのブックマーク、いいねに評価。ありがとうございます!


意外な結末ですが、まだつづきます。

来年には書き始めたいとは思っていますが、他の作品を書いたり、勉強もしないといけないので、気長に待っていただければ幸いです。

応援していただけると作者としては嬉しいので、どうぞよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 忙しい中の投稿ありがとうございます。 次章も楽しみに待ってます。 [一言] なんて気になる終わり方をさせるんですか!!! お陰で夜しか眠れないじゃないですかw
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