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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第九章 パールラクーンを巡る戦い

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乱戦

 篝火かがりびの並ぶ場所には兵士達が待ち構えていた。

 剣や槍を手にした戦士。

 盾を持つ者、弓を握る者。

 一番後ろに居るのは小獣人エルニスの弓兵達らしい。

 数百人ずつの部隊がいくつかに分かれて配置された陣形。


 俺達は訓練された兵士達の動きを見てから戦いに加わる事にした。

 敵の突撃に合わせてこちらも前進するが、まだ投石機による攻撃が離れた場所に落ち、燃え盛る炎が着弾点に広がった。爆破弾の周りに配置された油を含んだ石が弾け飛び、犬亜人ババルドの群れが火の間を抜けて突撃して来る。


「迎え撃つぞぉ────っ!」

「ぉおお────っ‼」

 大きな声で応える兵士達。

 俺も軍勢の中心から声を張り上げる。

 武器を振り上げて、ときの声に加わる。

 先頭に立つ人間や猫獣人フェリエスの戦士がゆっくりと進み、そして駆け出した。


「まずは戦闘の様子見だ。前の兵士が危険になったら俺達が前線に出よう」

「おう」レオがそう答えながら、向こうに行くと指を差す。

 後方から前線を見守る。

 戦士達の後方に控える治癒師や魔法使いが、兵士達に防御魔法などを援護する。

 剣が、槍が、犬を斬り裂き貫く音が聞こえた。

 後方から弓矢が次々に飛び、敵を貫いて打ち倒す。

 じりじりと焦りが生まれる。


 前線での戦いはかなり長く保った。

 戦闘に配置された兵士はかなりの手練れで、簡単には手傷を負わずに戦っている。──が、疲労が溜まって来たのだろう。押し寄せる敵の波に次第しだいに押し込まれてきたのだ。

「そろそろ俺達の出番だな」

 治癒師とその護衛の戦士の間を横切って、前に躍り出る。

 俺とリゼミラとレオシェルドは、それぞれ離れた位置に向かって突撃した。

 そんな俺達に攻撃力強化と防御力強化の魔法を掛けるアディーディンク。


「交代だッ」

 兵士達の横を駆け抜けながら、近くに迫って来た犬亜人を斬りつける。

 首から胸を引き裂かれた犬亜人が、後方へ吹き飛びながら倒れ込む。

「オォオオッ!」

 斬撃を弾き飛ばす横薙ぎの一撃。

 斬破が飛んで敵を引き裂く。

 四体の犬亜人が胸元や首を斬られて倒された。

 一撃で仲間が四体も倒れたのを見て、突進して来た犬亜人は怯んだ様子を見せた。

 それを逃す俺ではない。


「はぁっ! ふんっ! せやぁっ!」

 次々に敵を斬り伏せる。

 周囲に居る猫獣人も敵を槍で貫き、俺を後方から支えてくれる。横に回り込もうとする敵が居ないだけで、ずいぶんと戦いやすい。

 離れた位置で戦うレオを見ると、次々に斬破を放ち、さらには仲間達の軍勢から離れて突撃し、敵の群れに飛び込んで、そこで「円陣斬」を放っていた。

 剣を大きく後方から振りかぶり、踏み込むと同時に周囲を薙ぎ払う一閃。

 周囲に居た犬亜人が一斉に引き裂かれた。

 重い一撃で胴体を真っ二つにされた個体も居る。

 周囲を薙ぎ払う斬破の刃が広がり、敵を斬り裂いたのだ。


 そうして打ち倒した敵から魔剣が気を奪い、次の剣気の攻撃を放つ。

 前線に飛び出してからものの数分で敵を十体以上倒したレオ。それに続くようにしてリゼミラも、敵を次々に倒してゆく。

 二本の魔法の剣をたずさえて、あっと言う間に五、六体の犬亜人を倒していた。

 リゼは魔法を使わずに犬亜人の群れに挑み掛かり、攻め寄る相手を次々に剣技のみで打ち倒していく。──革鎧などを身に着けた敵だけでなく、鉄の胸当てなどを着けた犬亜人をも、その剣の一撃で鎧ごと引き裂き、怒濤どとうの勢いで敵を蹂躙じゅうりんする。


「おおぉっ‼」

 後方からも兵士達が興奮した様子で声を上げる。


 突如とつじょ現れた猛者もさの働きに同調し、彼らの士気も上がっているようだ。

 敵の姿を見ても、噂の「戦狗バルガン」は見当たらない。今回の夜襲には加わっていないのか、大群で攻めて来る犬亜人はどれもいちメートルなかばか、それよりも少し大きいくらいの背丈しかない。

 犬亜人が手にした武器も、身に着けている防具も──どちらも粗末な物だ。剣の刃は研いでいないのか切れ味はほとんどなく、叩き砕く為の武器として使用している。


 暗闇に乗じて大群で攻めて来る敵を、俺達は容赦なくもてなした。

 俺達以外にも手練れの冒険者は大勢戦いに参加していて、各部隊の防衛戦でも敵の攻撃を押し返し、確実に敵を排除している。

 俺も魔剣を高々と構えると気を刃に集中させ、剣を振り下ろすと同時に、一気に気を前方へ斬破として放つ。

 剣先から放たれた五本の斬撃が飛び、集まっていた犬亜人の群れを引き裂く。

「扇爪斬破」は前方に向かって広範囲を攻撃したい場合に使える剣気だ。──だがこの技は、俺や一部の戦士にしか使えないらしい。使えたとしても、一度に飛ばせる斬破はせいぜい三本がいいところだと言われた事がある。


 圧倒的な剣気の力に飲まれ、犬亜人はびびり始めた様子を見せる。

 俺の前に居た連中が一撃で何体も倒れたのを見せつけられれば、及び腰になるのも仕方がない。──不運な連中だ。

 奴らの中からくぐもったうめき声がして、後ろから突撃しようとしている者達に壁を作っていた。


「いくぞぉオォオッ‼」

 恐れをなした敵を前に、俺は剣を振り上げて吠えた。

 それに呼応して周囲からも後方からも、凄まじい声量の怒号が戦場に響き渡る。

 その声には侵略者に抵抗する人々の力強い意志が込められていた。

 こちらは数的には不利なはずだが、戦意は犬亜人のそれよりも格段に上回っている。人間も猫獣人も小獣人も、全員がこの共通する敵に対して怒りを燃やし、立ち向かう気力にみなぎっているのだ。


 俺はその声に背中を押され、すでに三十近い敵をほふりながら──なおも前に攻めて行き、手当たり次第に敵を打ち倒す。

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 体に気を巡らせ、体力を維持しつつ、筋肉を疲労させないようにしながらの戦い。

 長時間の戦闘を見越しながらの戦い。余力を残しつつ、一つ一つの攻撃でしっかりと敵を排除する。

 しかし──疲労は蓄積されていく。


「代わりますにゃ!」

 後方から鉄の鎧を来た猫獣人の戦士が声を掛けてくる。

「……っ、頼む!」

 俺は犬亜人の喉に剣を突き刺して倒すと、後ろへと引き下がる。

 剣を握るくらいの腕の力はまだあるが、このままでは全力で剣を振るう事が出来なくなる。──危険だ。

「回復しますにゃ!」

 治癒師が駆け寄って来て回復魔法を掛け、体力と筋力の回復を手助けしてくれた。

 ──まだまだ戦いは続きそうだ。

戦闘が続きます。

こういう戦争という内容に、茶化すようなギャグやコメディをぶち込みたくないので……

ご理解いただきたいものです。

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