砲撃
投稿されている小説の更新が止まったままだったり、時には作者さんが退会してしまったり……
読者さんからの評価やブックマークさらには感想をもらえること。こうした反応が作者にとって投稿を続ける活力になる。ということは間違いないでしょう。
自分には合わないからと否定的な反応を返されたりして、作者の中には退会を選択する場合がある。
なぜなら作者ができる抵抗は、自分が書きたいものを捨てて「読まれるもの」を書きはじめるか。あるいはすべてを投げ出すか、しかないからです。
ある作品を書いてほしいから、別の作品には低い評価を付ける……それに対しての作者の反応が「退会」という選択しかないなんて、作者にも読者にもマイナスにしかなりません。
小獣人達はまず射撃地点を設定し、発光弾を発射した。
火薬を使っている訳ではないこの大砲からは、魔法の砲弾が放たれた。
魔力結晶から魔力を供給し、それを猛火の魔法核が受け、内部機構に描かれた術式の一つ「発光弾」を撃ち出した。
「ドウゥンッ」という音と共に、砲身の先から光の球が凄い速さで飛んで行く。
三十キロを越えた地点の上空で大きな光の球体が宙に浮かんだ。──遠く、遠くの空に、白い光がぼんやりと確認できる。
「成功です!」
望遠鏡を覗き込む小獣人達。
続いて砲座に設置された画面に、前線から受けた砲撃の位置の正確な情報を分析し、敵軍の位置を捉えると、そこに向けて今度は「拡散爆炎弾」を撃ち出す準備に入った。
「今度は、三発の砲撃を連続で撃ちます」
小獣人の技術者が、画面を指差しながら説明する。
彼女によると、左から右に砲頭を順次に動かし、着弾点三ヶ所をほとんど同時に攻撃すると説明した。
「これで犬亜人の軍勢の多くを駆逐できるでしょう」
画面に表示された砲撃地点と時間。それは砲撃開始の釦を押せば、すぐに行われるようだ。
どれほどの破壊がこの砲撃によって発生するか、それはここからでは見えないだろう。
小獣人は釦に手を乗せようとして、躊躇った様子を見せた。
これによって多くの敵を滅ぼせる。──しかしそれは、この危険な兵器が初めて使用され、封印されていた暴力を解き放つ事になるのだ。
彼女らは決して好戦的な種族ではない。奮う力に対し、恐れを感じているのだろう。
「俺も押そう」
そう言って小獣人の手の上に俺の手を重ねる。
この一押しで多くの敵の──下手をすると、味方の命を奪ってしまい兼ねない。敵の命だとしても、多くの生命を殺す釦だ。それを気軽に押せはしないだろう。
大地に降り注ぐ破壊の爪痕は、きっと凄まじいものになる。
「押します」
小さな小獣人の声。
俺は小さな少女の手の上から釦をぐいっと押し込んだ。
「ドウゥン、ドウッンン、ドウゥンッ──」
周囲に反響する魔砲の砲撃音。
滑らかな動きで三発の砲撃が放たれ、光弾が空を飛翔する。
遠くの空で、それが弾けるのを望遠鏡で確認した。
上空で拡散した砲撃が、無数の光を大地に降り注ぐのが見えた。ここからでは戦場の様子は森や丘の陰になり、確認できない。
上手く敵が陣を構える位置に着弾しただろうか? 俺が画面を見ながら待っていると、画面上に文字が現れた。
それは戦場に居る者から送られてきたもので、「的中」という意味らしい。
周りから歓声が沸いた。
どれほどの打撃を与えたかは定かではないが。
「やりました!」
「ありがとうございます!」
次々に声を掛けてくる小獣人。
俺は彼女らに応えながらも、リゼミラやレオの顔を見て、次の行動について相談しなければならないと考えていた。
シュナフ・エディンの防衛は、この撃火魔砲ひとつあれば事足りるだろう。射程内に接近して来た軍勢を狙い、遠距離から砲撃するだけでいい。
『魔力結晶を交換してください。──魔力結晶を交換してください』
魔砲から機械的な声で警告が入る。
小獣人達が急いで行動し、魔力炉に接続する魔力結晶を取り出し、新しい結晶を装填する。
「魔力結晶は五本装填してありますが、その内の二つが消費されてしまいました」
砲撃一発でかなりの魔力を消費したらしい。拡散爆炎弾の効果範囲を広く設定した所為もありそうだ。かなり広範囲に広がる爆撃を行う魔砲攻撃。
着弾地点を確認する必要があるかもしれない。
俺の予想ではアディーが使った、三連発の爆裂弾よりも広範囲を爆撃する様な攻撃だろう、と考えている。
「さてさて、それであたしたちはどうする? このままこの街に残る訳じゃないでしょ?」
「そうだな……キャスティとアウシェーヴィアにも顔を見せに行かないとだし。二人は前線に出ているのかな?」
近くに居た小獣人に声を掛けると彼女は頷く。
「人間の魔法使いと剣士の女性二人ですね? ええ、北にある前線で敵の侵攻を抑える役割を引き受けてくださっているはずですが」
じゃあこれから前線に移動しよう。そう仲間達と話をしていると、ロネアが声を掛けてきた。
「それでしたらぁ、前線に荷物を運ぶ人達とぉ、一緒に行ってくれませんかぁ? 食べ物に薬、包帯とかを送る用意をしてありますぅ」
「なるほど、了解しました」
俺達はすぐに塔を降りていく事にした。研究員らの拍手を受けながら階段を降り、荷車が停まっている場所まで案内される。
そこは広場があって、荷物がたくさん置かれている場所。木箱や木樽の他、武器なども用意されていた。
小獣人の使う家畜は普通の馬ではなく、驢馬や小馬であった。
「大丈夫かな。この子らで運んで行けるの?」
「あ、フォロスハートの兵士さん達から、馬も預かっていますよぉ」
ロネアはそう言って、奥にある大型の厩舎を指し示す。
俺達はそこから馬数頭を荷車に繋いで、それに乗って行く。
戦場では馬を使っての戦いはしていないらしい。──確かに数頭の騎兵だけでは、犬亜人に対抗するには決め手に欠ける。突撃するにしても、それなりの数が揃わなければ戦力にはならない。
大急ぎで荷物を載せると、俺達はさっそく馬を進め、前線へと荷物を届けに向かうのだった。
応援してくださる読者様に感謝を。
前書きに書いたことは、わたしも読者として読みたい作品があるのに、更新が止まったままになると残念でしかたがない。そう思うからです。
作者によるでしょうが、多様な作品を書きたいと思うほうが、作者として成長しようとしている。そう考えてほしいです。




