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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第九章 パールラクーンを巡る戦い

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撃火魔砲(ヴァルガーラント)

 石造りの塔は、灰色の石を積み上げられて建てられていた。上部が青く塗られている意味について考える間もなく、その影の中に足を踏み入れた。

 大きな、大きな塔だ。小獣人エルニスだけでなく、人間が立ち入れるだけの階段が準備され、塔の中をぐるぐると螺旋らせんを描いて上がって行く。

昇降機エレベーターもありますが、私達しか入れない大きさなので……申し訳ありません」

 俺達四人は塔の中央分にある柱の周りをのろのろと上って行き、頂上へと辿り着いた。


 そこには巨大な鉄のかたまりが置かれていた。

 巨大な大砲。いかつい見た目をした回転式の砲台だ。

 砲台の周囲には何人かの小獣人が居て、砲台の調整などをしている。

「すごいな……!」

 俺はそれを見上げながら、写真で見た巨大な列車砲を思い出していた。無骨な形の長大な砲身。これを小獣人が建造したのかと、感嘆かんたんが漏れてしまう。

 これほど大きな砲身を持つ大砲を準備していたとは。

「おっかないな」

 俺は砲身を見上げながらつぶやいた。


「魔砲をご存じなのですか?」

 魔砲を操作するらしい黒毛の女が話し掛けてきた。

「うん、──いや。魔砲の事は知らないけれど、本で大砲の知識は持っているから」

 と言葉をにごしながら大砲の周辺を回っていると、一角にあったテーブルや壁に架けられた掲示板みたいな物を見つけた。

 そこには地図が貼り付けられ、塔を中心に円形の線が引かれていた。


「ひょっとしてこれ、攻撃範囲を表しているのか?」

「ええ、そうです」

 その線はかなりの距離を囲んでいる。

 中央神殿都市の近くまで攻撃が届くみたいだ。

 距離にして──四十キロくらいか?

 街の北側に位置する高い塔。それは街を囲む壁よりも高く、いざという時は、街に近づいて来た敵に向けて撃ち下ろすように砲撃を喰らわせるつもりなのだろう。


 ラクシャリオの北側に砦があるらしく、地図には首都の南や南西に町があると記載されている。

 シュナフ・エディンは町の数が相当に少ないらしい。この地図には三つしか描かれていない。


「ところで、あなた方の誰がオーディスワイア殿でしょうか」

「俺だよ」

「そうでしたか」彼女はそう呟き、砲台の台座に近づくように言う。

「こちらに『火の魔法核』を投入して頂きたいのですが。お話では、あなたなら強力な魔法核を準備できるという事でしたが……」

 獣の耳を持つ小さな友人達が集まって来て、期待するような眼差しを向けてくる。

「ああ、作ってきたよ。──これでどうかな」

 おお──と、歓声を上げてそれを受け取ると、砲座に付けられた座席の前に立つ。

「この核を装填そうてんすれば活動力エネルギーが得られ、砲撃が可能です。必要な力を発揮できるかは、この魔法核が持つ力しだいですが」


 数人が集まって慎重に操作を始めた。

 鍵を使って小さな金属の扉を開けると、そこから円形のくぼみがある金属の塊が出てきた。

 丸い魔法核をそこに乗せ、ボタンを押すと出っ張りが引っ込み、魔法核を砲台の内部に運び込む。


『動力源の装填を確認』


 砲台から機械的な少女の声がした。


『問題が発生』


 びゅうん、びゅうん、そんな耳障みみざわりな音がして、砲台に飲み込まれた魔法核が吐き出される。

『問題が発生』

「えっ、何が問題なの」

 ざわざわと小獣人の研究員が騒ぎ立てる。

 そこには硝子ガラスの画面があり、文字などが浮かび上がっているようだ。


「なんて事!」

「信じられない!」

 彼女達は画面を見て、何やら相談を始めている。

「どうした、何がまずかったんだ?」

「────いえ、この魔法核で砲台を起動させ、砲撃を行う事は可能なのですが。──その、魔法核から放出される活動力が想定よりも大きく、内部にある装填機構では、()()()()()()()()()()()()()()可能性があるみたいです」

 魔法核が砲台に取り付けられている魔力結晶を使って、砲撃の活動力を生み出すのだが。それがかなり大きなものになって、内部の魔法機関部と反発してしまうらしい。


「それはまずいな。なら──魔法核から供給する活動力エネルギー量を下げればいいんじゃないか」

「それが──一度、内部の機構を取り出して、そこで調整しなければならないのです」

 外部端末からでは、そうした操作が出来ないのだと説明する。

「それは面倒な機構だ。……今回は急いで使えるようにした方がいいだろうから、取り出して設定を変更する方が早いが。これからは外部で活動力量を制御コントロールできるよう、設計を変えた方がいい」

 あるいは内部を頑丈にして、魔法核の放出する力に耐えられる構造にすべきだ。俺はそう注文をつけた。

 それは確かにと、小獣人の間で納得する声が聞こえてくる。


「ともかく、あなたの持って来てくださった魔法核は素晴らしい物です! 本当にありがとうございます。今からきちんとこの魔法核が使えるよう、調整いたします」

 砲台を操縦する研究員達は、こぞって砲台に取り付いて作業を開始する。

「なんだなんだ、大丈夫なのかな?」

 台座の下からリゼミラがいぶかしげに話し掛けて来た。

「ああ、少し調整が必要なだけだ。すぐに使えるようになるだろう」


「この魔砲ってやつがどんなにすごいのか、あたしにはわからないけど。こんなに巨大な物で敵を攻撃するなんて、小獣人の技術力はすごいんだねぇ」

 大砲を知らないリゼミラには、この砲台がどういった攻撃をするのか、想像がついているのだろうか? まさか()()()()()()()()()()などとは考えていないはずだが……

 一通り砲台の様子を見て回った俺達は、次に怪我人が収容されているという天幕テントに向かって移動を始めた。

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