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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第一章 錬金鍛冶の旅団

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若い冒険者達の帰還

 夕暮れ前に、昼間来た三人組の冒険者が鍛冶場にやって来た。彼らは皆疲れた顔をして現れたが、男だけは様子が違った。


「凄いですよこの剣! 昨日までとは別物みたいです!」

「いや、まあ……別物なんだがな」

 強化をした物はしてない物とは違うのだ。強化を重ねて行い(失敗の危険も増えるが)、ただの鉄の剣を剣の達人に、名剣だと思わせる程の事ができた錬金鍛冶師も居るという──斬れ味だけでは無い、持つ者の身体能力を底上げしたり、魔力の力で防御力を上げる事も理屈では可能なのだ。

 それが同じ武器であるはずがな無い。


「それでですね……」

 若い冒険者の男が後ろに居る女二人を示す。

「彼女らの杖や弓にも強化はできますか?」


 彼女らは狩人と魔法使いだ。狩人の娘は腰に短刀も装備している。魔法使いの娘が持つ杖は、普通の樫の木を使った杖。弓はいちいの木と、獣の皮、海獣のひげを使って造られている物だ。つるは動物や海獣のけんを利用して造られた物──この弓は駆け出しにしては、中々上等な部類に入る物だった。


 彼女らはこの若者が鉄の剣を()()()()褒めるので、とうとう彼の意見に従わざるを得なくなった、とでも言いたげな顔をしている。

 物事の表面的な事だけを見て──確かに小汚い外観の鍛冶屋だろうが──中身を決め付ける若い女にありがちな愚かさに、一々目くじらを立てていても仕方が無い。


 幸いにと言うべきか、三人組はそこそこの稼ぎを得て帰って来たようだ。二人の武器を強化するだけなら問題は無いだろう──だが。


「杖に関しては複雑だな、杖自体の攻撃力を上げても、魔法には影響しないのは分かるだろう? しかし魔力を高める強化には『魔力結晶』や『魔晶石』が必要になるんだが、これは結構高価だ」

「い、いくらですか……」

 銀色の長い髪をした女が恐る恐る尋ねる。俺は例の、薄汚れた布に書かれた素材の価格表を見せる事で返答した。


「それに、こんな杖を強化するくらいなら、指輪や腕輪の方がマシだろう。指輪はいくつか付ける事が出来るが、杖は基本、一本しか持てないからな」

 俺は初心者の彼らに、最初の内は前衛を強化し、後衛は徐々に強化して行くのが一般的だと説明して、それなりの素材を手に入れられるようになったら、杖を造ったりするのが望ましいと伝えた。


「勉強になります」

 そう言ったのは赤茶けた短髪の男冒険者だった。他の二人はに落ちない感じである。

 だが三人は相談し合って、弓と男の持つ鉄の剣をさらに強化する事を選んだ。三人でやって行くに当たって、誰がどういった役割を担うかを考え始めたようである。


 彼らはまだまだ駆け出しなのだ、男の革鎧や革の籠手、女共の革の胸当てと、安い法服ローブでは、武器のみを錬成強化した方が良いだろう。

 結局彼らは宿代と食事代を残して、他は全て強化に当てる決断をした。賢明なその判断に応える為に俺は、二つの武器の錬成を入念に行う事にしたのである。

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