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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第九章 パールラクーンを巡る戦い

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パールラクーンの異変

 転移門をくぐった先は、遠くの空に灰色の雲とも煙とも区別のつかない、よどんだ空模様がある。

 転移門から少し離れた場所に石造りの小さな建物があり、そこに管理局の職員が詰めていた。彼らは建物の前に天幕の屋根を張り、その下にテーブルや椅子を置いて、通信機で誰かとり取りをしている。


「なんか、以前に来た時と匂いが違うな」

 俺はぼそりとつぶやく。

 季節が変わった所為せいだろうか?

「そうだ、二人にはこいつを渡しておこう」

 物入れ(ポケット)から指輪と、革紐に繋げた銀細工の首飾りを取り出す。

「レオには刀を打ったが、アディーには魔力回復速度上昇などを付与した指輪を。リゼミラには同じような効果を持たせた首飾りをやろう」

「へえ、気前がいいね。……っていうか、レオの刀って魔法の刀? 魔法が使えないレオじゃ意味なくない?」

 リゼミラは首飾りを身に付けながら、俺に向かって言った。


「いや、魔法の武器じゃない。異界の魔剣の効果を持たせた刀だ」

 そう言うと、リゼは納得した様子でうなずく。

「ああ、ディーディーが言っていた、魔剣の解析を手伝わされたってやつか。──それにしても、まさかもう魔剣を作れるようになってたとは」

 リゼミラも魔剣を欲しそうな顔をして、こちらを見てきた。

「お前には魔法の剣があるだろう。爆発的な力で攻撃する分には魔剣よりも、魔法の剣の方が大きな破壊力が期待できるんだから、頼んだぞ」

 アディーも指輪をめながら俺の言葉に賛同し、黙って頷く。




 そこへ、小さな建物から管理局の職員が近づいて来た。

「オーディスワイア様ですね? 実務長(メリッサ)から伺っています。まずは通信機の説明をさせてください」

 職員はそう言って、建物まで俺達を導くと、台の上に置かれた通信機を見せて使い方を説明してくれた。──大まかな使い方は理解していたが、他の通信機との接続方法は、少し簡略化された物に改良されていた。

「三つの数字を組み合わせて、その波長を合わせたものと通信が出来るようになっています。ここ『フォロスハートとの連絡施設』を登録しておいてください」

 新機能として通信機の登録が可能になっていた。もちろん波長(周波数の様なもの)を変更したら、それを登録し直さなければならないが。

 二十個までの登録が可能との事だが、戦争では指揮官との通信が行えれば充分だろう。部隊同士の通信は、同じ作戦を行う場合に繋がるよう設定すればいいのだし。


「なるほど理解した」

 今度は地図を指差し、職員はこんな事を口にする。

「実はつい先ほど、小獣人族の国に通信基地を置くべく、通信機を持った職員と護衛が向かいました。あなた方がシュナフ・エディンに着く頃には、こことのやり取りも出来るようになっているはずです」

 まだ通信機の量産は始まったばかりなのだ、中央神殿都市にも通信機を持った職員を向かわせる予定だが、まずはシュナフ・エディンと、北にある最前線の部隊に通信機を送り届ける事になっていると説明する職員。


「それではまずは、中央神殿都市に向かってください。実は神殿の方からオーディスワイア様を呼ぶよう言われまして……」

「そうか、了解した」

 俺は丘から下りると、近くにある町ボロッコスに向かった。そこから馬車に乗り、中央にあるアーカムまで行くのだが、戦争状態の為か、馬車の数はかなり減っているようだ。だが神殿から来たという神官らが待っていて、馬車で中央神殿都市まで送ってもらえる事になった。

 女神アヴロラが手配させたらしく、護衛つきの馬車でさっそく移動する。




「あんたもえらくなったもんね、この大地の神に呼び出されるなんて。──そういえば、ここの女神に治療してもらったんだっけ?」

 リゼミラは馬車の中でそんな事を言ってきた。

「ああ、どうやら女神は、犬亜人ババルドの侵攻に思い当たる事があるようだな」

 呼びつけるという事は、何か協力して欲しい事柄があるのだと思われた。


 女神の話も気になるが、仲間と共に戦場におもむくという方が、個人的には気に掛かるのだ。

 しかし──この三人からは、不思議な余裕が感じられる。犬亜人には負けないという確信があるのだろうか。

 再三、戦争での戦いは物量で押し寄せる、群れとの戦いだと言い含めておいたが、冒険先でも群れをす敵の集団と戦う事はある。──ただ、その規模が下手をすると、桁が違ってくる訳だが。


 仲間達の余裕が、ただの自信過剰でないのは、俺自身もよく知るところではあるが……

 彼らの自信どおり、敵の軍勢を前にして一気呵成いっきかせいに敵軍を叩きつぶしてくれれば、何も言う事はない。

 馬車ががたがたと揺れる中、俺は真剣にこれから起こるであろうと思われる「あれこれ」について予測を立て、それに立ち向かう意志を持とうと考え込んだ。

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