旅団会議の結論
明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いいたします。
戦争へと活動を開始するオーディスワイア。
いろいろな変化が求められます。
「本当にオーディス、お前も出るつもりなのか」
厳しい口調でレオシェルドが言った。
「ああ、冒険者の出番はまだ先のようだが、小獣人やキャスティ達の事を放ってはおけない。すぐにでも向かうつもりだ」
するとレオは「わかった、小獣人の所には俺も行こう」と宣言する。
「それは頼もしいが……相手は十や二十では済まないぞ」
「理解している。死に物狂いの戦いになるかもしれないのだろう? 上等だ──俺も今まで、全力というものを出し切った事はないからな」
物騒な笑みを口元に浮かべながら、歴戦の強者が口にする。──敵にとっては、恐るべき狂戦士が戦場にやって来る宣言だ。
これが関ヶ原なら、相手は鬼の現出を目の当たりにする事になるだろう。
それもただの鬼じゃない──修羅だ。
俺はレオの身体から噴き出そうとしている、隠された闘気を見た気がして、臓腑が震えるような気持ちになった。
(絶対、戦いたくない相手がそこにはある)
そうすると次々に「私も」「自分も」と、うちの旅団の精鋭達が名乗りをあげた。
「ありがとう、助かる。キャスティの居る小獣人族の領地は、大地の東に位置するらしい。地図を後で届けてもらえる事になっている。敵の勢力は主に北側一帯だという話だ」
まず新人達には冒険に出て、素材や何やらを集めてきてもらう。彼らを戦場に出す気はないと宣言しておいた。
「これにはカーリア、カムイにウリスにヴィナー、レンネルとエアネルも入る」
そう言うと、カムイとレンネルが立ち上がった。
「まってください、若いからとか、そんな事を言ってる場合じゃないでしょう。僕も参加します」とレンネル。
「同感、俺だって戦いに参加しますよ」
俺は手を挙げて「まあ落ち着け」と声を掛けた。
「まだすぐに戦いに参加する訳じゃない。──だが、それは管理局の進める部隊戦闘──つまり集団戦を想定した戦いだが、俺が出向くのは、まだ管理局の送り出した兵士も少ない小獣人族の国だ。そっちへは、俺の決めた数人で──出来れば三日後にはここを出立する、先遣隊だ」
それに加わるようレーチェも手を挙げたが、俺は首を横に振る。
「レーチェには当分、俺の代わりに旅団の運営を任せる。戦場に出るとしても、管理局の指示の元、部隊編成された中に入ってもらう」
「……理由は?」
「お前は強力な魔法剣も使えるが、どちらかというと冷静に、周囲の人間との距離感を合わせながら戦えるからだ。それも防衛戦むきだと思っている、違うか?」
俺の言葉に素直に頷く副団長。
「レンネルやカムイ──その他にも、戦闘に参加する意志がある奴は、管理局が指揮する戦術を頭に入れ、部隊の中に加わって戦ってもらう。カムイとリトキスは、まず武闘大会に行ってもらうからな。それについては変更はない」
リゼミラとアディーディンク、レオシェルドの三人を引き連れて、三日後には小獣人族の国「シュナフ・エディン」へ向かう事を決めた。
「よぉしっ、アディーとキャスの二人がそろえば、例え千の群れでもなんとかなるでしょ」
「いやいやそれは──さすがにどうかな……」
俺は二人の実力に絶対の信頼があるが、子供の事もあるので一度、家に帰って考えるように言う。
「レオも頼んだぞ」
「ああ」
では三日後に、そう声を掛け、残された仲間達には、それぞれ考える時間を与えると言っておいた。
「余所の戦争じゃない──これは、フォロスハートの将来に直接の関係がある話だ。よく考えて決めて欲しい」
俺は若者らにそう言い聞かせると、すぐにケベルとサリエを連れて鍛冶屋へと向かう。
「俺はこれからいくつか武器を作らなければならない、サリエは装飾品に──そうだな、攻撃強化や、防御強化の組み合わせた物を、それと魔法攻撃強化と、魔力回復速度上昇の効果を持たせた二種類を作ってくれ。素材はケチらなくていい」
「ま、魔力回復速度上昇は──成功率、そんなに高くありませんよ……!」
「大丈夫だ、素材はある。練習を兼ねて、思い切って取り組んでくれ」
そう言って少女の肩を軽く叩く。
「ケベルは軽硬合金の剣を作ってくれ、本数は何本でも、作れるだけだ。──錬成強化は『硬化』と『劣化防止』、あとは付けられるなら『攻撃力強化』なども頼む。適当に他の近接戦用の能力を付けてもいい」
少年は「はい」と厳しい顔つきで言った。
戦場で使う武器だと理解しているのだろう。メリッサからも、後で様々な素材が届けられる事になっていた、──もはや、冒険者の為の鍛冶屋ではなく、戦争に使われる武器の工房となるのだ、ここは。
俺も炉の前に様々な素材を用意した。
金属の延べ棒や混沌鉄鋼、各種の結晶など──素材をケチる気はない。
今日と明日で、魔剣を完成させるのだ。




