表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第九章 パールラクーンを巡る戦い

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

383/585

旅団会議。戦争への参加を──友邦の為に──

他国の戦争に介入し、友邦を助ける決断をする。

仲間の命がかかる、重い決断です。

 管理局から告げられたパールラクーンの危機的状況。

 その布告を聞いた俺は、宿舎に戻って仲間と相談する事にした。

 すると宿舎の敷地には、管理局の職員が来ていて、各旅団に対して協力要請をおこなっていると告げた。職員が渡した紙を見ると、先ほどの布告の内容や、旅団に対するパールラクーンでの活動要請など、事細かに書かれている。

「分かっている、君はもう帰っていい」

 職員に告げると、その男は真剣な表情で頭を下げ、宿舎を出て行く。──職員もせわしなく動き回っているはずだ、別の大地で起こっている事とはいえ、共に生きていく仲間の危機なのだから。


「よし、すぐに会議を開こう」

 俺は職員の持ってきた紙に目を通しながら、皆にそう呼び掛ける。

「オーディス団長──まさか、これは……」

「そう、犬亜人ババルドとの戦争に、俺達にも参加要請が来ているという事だ」

 レーチェの言葉にそう答え、俺からも話す事があるといい、新米冒険者達も呼ぶよう、ニオとフィアーネに鍛冶屋まで行かせる。──ケベルとサリエにも、こちらへ来るよう伝えさせた。




 食堂に集まった仲間達。

 彼らも事の重大さを理解している様子で、真剣な表情を向けていた。

 新人や鍛冶の徒弟も交えており、立って話を聞いている状況だった。


「さて、管理局から届けられた紙には、こう書かれている。

 仮にパールラクーンでの戦いに参加するにしても、()()()()()()()、集団での戦闘訓練に参加し、()()()()()()()()()()()()()()()、実際の戦闘に加わるとの事だ」

 これは書物で戦闘について理解している五賢者や、管理局に居る専門家達の意見が反映されているのだろう。


「今はパールラクーンの猫獣人フェリエス小獣人エルニス、それにフォロスハートの街を守る兵士の一部が、戦いに参加している。

 これは犬亜人との戦争だ。冒険とは違う、数百単位の、あるいは数千単位の敵と、こちらの軍勢がぶつかり合う戦いになるかもしれない。その事を肝に銘じて欲しい」

 リゼミラはまるでウズウズしているみたいに、身体から闘志があふれ出ている。もうすでに、この戦争に参加する気でいるのは一目瞭然いちもくりょうぜんだった。


「管理局の紙にはこうも書かれている。『ゲーシオンで行われる武闘大会は、予定どおり開催する』と」

 そう言うとカムイが立ち上がる。

「そんな! 悠長に大会を開いている場合じゃないでしょう!」

「まあ落ち着け、それには理由があるらしい」

 そう言って紙に視線を落とす。

「武闘大会の場で、管理局と旅団の新たな繋がりについて説明する予定で、私達は『旅団統合支援課』というものを設置し、旅団と管理局は一体である事を宣言する予定でした。

 冒険者同士で高め合い、大地を守る戦士を育成するという方針を明確に打ち出し、人間に力を与えてくれる神々と共に、私達は困難を乗り越えて未来永劫、生き続けていかなければならないのです──だそうだ」

 カムイはまだ納得がいかないらしい。


「カムイ──お前はまず、当初の予定どおり武闘大会に参加するんだ。お前がパールラクーンという友邦の事を想って焦るのは分かるし、嬉しくも思う。しかし、そう簡単に戦場に送り出す訳にもいかない。戦争になれば、冷静さも必要だからな。──生き残る為に」

 俺はそう言いながらふところから二枚の手紙を取り出す。


「実はさっき、二枚の手紙を受け取った。一枚は小獣人のミリスリアから、力を貸して欲しいという内容の手紙。

 そしてもう一枚は、()()()()()()()()()()()。──キャスティとアウシェーヴィアは、かなり前から犬亜人との戦いに参加しているらしい」

 そう言いながら、テーブルに手紙を広げて置く。


 レーチェやエウラは、なぜ二人の行方が分からないままだったか、その手紙で納得した様子を見せる。

 キャスティの手紙を手にすると、リゼミラがその中身を読み上げた。




 しばらくの沈黙の後で、リトキスがいつにない重い口調でこう言った。

「キャスティが『助けてお願い』なんて言うなんて、本当に厳しい状況なのでしょう。僕もすぐにでも協力したいところですが」

 俺は真剣な顔でうなずくと、それぞれの顔を見る。

 大勢の敵を相手にするという事に恐怖する者、むしろ過酷な戦いを期待して戦意をたぎらせる者、旅団長の判断を聞こうと、耳を澄ます者など──色々だ。


「俺もパールラクーンの友邦を守る為、この戦いに参加するべきだと考えている。しかし──俺は片足の無い状態だ、本来ならまっさきに戦いに参加すべきなんだが……」

 そう言いながら、俺は頭を横に振る。

「だが、それでも行かなければならない。最前線という訳にはいかないが、俺もこの戦いには参加しようと思う。魔法核を作り、届けなければならないしな。皆も危険なこの戦いに参加し、共に生きる仲間である二つの種族を守りたいと思う者は、この戦いに参加して欲しい」

 俺がそう呼び掛けると、レーチェが立ち上がった。

「まさか! 団長は参加せずともいいでしょう。あなたは武器や防具を作り、そうした物で支援をしていただければ──!」


「いや」と、俺は反論をする。

「もちろんその手はある。しかし、俺も昔は他の冒険者から恐れられるほど、絶大な破壊力で魔物を相手にしてきた戦士だ。その力を使って、敵に恐怖を与えなければならないと考えている。軍勢を殲滅せんめつするのは容易ではない、相手に『これ以上たたかい続けるのは無理だ』そう思わせる何かが必要なんだ」


 するとカーリアが手を挙げた。

 少女のその手は震えていた。

「わっ、わたしの──魔法剣! あれなら、広範囲にも攻撃できるし、威力だって! わわっ、わたしも戦いに参加する!」

 力強く言ったが、声は震えていた少女。

「ありがとうな、カーリア。だが──お前の参加は少し考えさせてくれ。いざという時に冷静に戦える者でないと、正直いって戦力としては不安なんだ」

 そう言うと少女は悔しそうに「ぅうぅ……」と声を漏らしながら、崩れ落ちるみたいに椅子に腰かける。


「だがもし、どうにもならなくなったら──カーリア、そうも言っていられなくなるんだと覚えておいてくれ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んだと。──戦争ってのは、そういう危険なものなんだ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ