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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第二章 集いし者達

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黒き錬金鍛冶旅団の始動

第二章の始まりです。

感想を送ってくれた方に感謝します。


第二章部分を読み易いように改稿しました。

読んでもらえると嬉しいです。

「ただいま戻りました」

 そう言って修理中の鍛冶場に入って来たのは、剣士のカムイと魔法使いのヴィナーの二人だ。二人は合金製の胸当てや肩当てを身に着け、カムイに至っては籠手こてと脛当ても合金製の物を身に着けている。


 これらの防具は彼らが「黒き錬金鍛冶の旅団」に入ってしばらくしてから、彼らの為に俺が造り、贈った物だ。今ここには居ないウリスにも胸当てと肩当てを贈ってある。


 そう、彼らは俺の立ち上げた旅団に参加すると申し出てくれたので、まずは彼らが安全に冒険をこなせるようにと、新しい防具を用意したのだ。

 軽硬合金フラウレグムはチタンに似た、素材の軽くて硬い耐熱性に優れた素材で、一流の冒険者達の中にも、この合金製の防具を好んで使っている者も居るのだ。


 外側を軽硬合金で作り、内側に革と通気性の高い布地を入れた防具は、カムイ達にも喜ばれた──だが、もちろんただでくれてやった訳ではない。合金を作る為の鉱石を回収する為に、彼らは防具を貰った後もせっせと採掘の為に転移門を潜り、「鉱山と荒野の大地」に向かって何度も探索に行っているのだ。


「鉄鉱石集め、もう飽きましたよ」

 とカムイが言えば。

「最近全然魔法使ってないんですけど、あの大地、敵がほとんど出ないから」

 ヴィナーも文句を口にする。

「まあそう言うな、今日で採掘は終わりでいいから。明日からは『塩の山と泥の沼地』にでも行ってこい」俺はそう話しながら鍛冶場の壁の修復を続ける。


 そう話しているとウリスとメイが帰って来た。

「ただいま」とメイが言う。この少女は武闘家で以前所属していた「朱き陽炎かぎろいの旅団」で使っていた革製の防具や脛当て、革の手袋に金具を取り付けた物などを装備している。


 元気そうな少女の横で疲れた顔をしているのは狩人かりゅうどのウリス。彼女は布袋の中からうさぎきつねなどの皮を取り出して「五匹分です」と報告する。

「肉は言われた通り管理局にお金と換えて貰ったよ」

 そう言ってメイがお金の入った皮袋を渡してくる。


「ありがとう、皮は防腐処理をしておくからゆっくり休んでくれ。ご苦労さん」

 俺はそう言いつつ、彼らの入手した素材やお金の額を帳面ノートに記録していく。こうやって記録しておかないと、旅団の運営管理をするレーチェが怒鳴りつけてくるからだ。

「収支の記録を付けておかなければ、運営の善し悪しが分からなくてよ!」

 そんな声が今にも聞こえてきそうである。


「これはさっそく加入者の選別を間違えたかもしれないな」

 俺が思わず吐いた独り言に。

「何かおっしゃいまして?」

 と後方から高慢ちきな女の声がする。


「う、うむ。人員を増やさないと運営が大変かなぁ──と」

「そうですの? あなたはこの小さな鍛冶屋に籠もりっきりで、退屈そうにしてらっしゃるのに? おかしいですわね……鍛冶師としてのお仕事もここ最近は日に数件あれば結構な、閑古鳥かんこどり()()()()()()()()()()様な状態なのに?」


 そんな鳥が来たら猫に食わせてしまえ。そんな悪態を心の中で吐きつつ、レーチェとユナの二人から探索で得た素材を受け取る。

「暗生草(暗闇に生える草、魔力を吸収して育つ)と魔鉱石(魔力を蓄えている鉱石)、水晶、紫水晶、翠玉をいくつか手に入れました」

 ユナはそう言って背嚢はいのうからいくつもの鉱石や結晶を取り出す。ユナとレーチェには「暗黒の鉱山(焔日ほむらびが無い大地、火の神の力で焔日が維持出来ない浮遊大地は、魔力を発生させる危険な大地だが──魔法使いにとっては魔法が使い放題に近い状態になるのでありがたい場所でもある)」に探索に行ってもらったのだ。


 彼女らは他の旅団と共同で鉱石等を採取する探索に行く、共同任務(管理局から依頼が出される)に参加してもらった。「暗黒の鉱山」には危険な生物や魔物も多いが、ユナの身に着ける「昇華錬成した形見の腕輪」があるので彼女には積極的に戦闘に参加する(後方から前衛の支援にてっする)よう指示を出しておいた。


「大丈夫でしてよ。わたくしがユナを守りますわ」

 レーチェのその言葉を信じ、危険な任務に向かわせたが──大丈夫だったようだ。

「暗闇の中では注意が必要だ。俺が脚をくした時も洞窟の暗闇の中での事だった」そう警告しておいて彼女らを送り出した。


「レーチェさんも凄い活躍でしたよ、ガムルー(蝙蝠こうもりの翼を腕から生やした人型の魔物)を二体も倒していたんですから」

 他の人達は一体倒した人が居るか居ないかってくらいでしたよ、とユナは彼女を誉める。

「ま、まあ。ざっとあんなものですわ」

 少女に誉められ慣れていないレーチェが照れている……珍しい光景だ。

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