表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第八章 新たなる指標

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

378/585

金色狼を抜けた人材の行方

次話は火曜日に投稿します。

次の日曜日の投稿がこの章の終幕となります。

今までの話の中で出てきた事柄と、今回の話で表される不穏な予兆──

急展開は目前!

 夕食前に猫のえさを運んで行くカーリアとメイ。

 ユナは自室で読書中らしい。

 俺も餌を入れた皿を持ち、小屋まで運んで行く。


「私ね、補助魔法を習得できたよ」

 とカーリアがつぶやく。

「おお、おめでとう。やったじゃないか」

 攻撃強化魔法と防御強化魔法を習得したのだという。

「魔法障壁は、二つの補助魔法に慣れてからでないと、私の場合は習得が難しいって言われた」

 そんな事もあるのか、……魔法障壁は位階が一つ上の魔法だったかな?

「けど、がんばるよ」

「おう」


 少女が積極的になれたのは良かった。やはり新人達の統率を任せたのは正解だったな。


「カーリアも偉いね。カムイもかなり、格闘戦の技術を覚えてきたよ。武闘大会でも、簡単には負けないと思う」

 メイが子猫に餌をあげながら言う。

 武術家の戦う者への感覚は鋭い、メイが言うなら間違いないだろう。以前のカムイの蹴りは、まだまだといった感じだったが、メイがつきっきりの訓練をしたお陰で、かなり鋭いものになっているのは、傍目はためからも確認できる。

「剣と足技の連携を自然に出来れば、言う事なしだな」

 猫達に餌を与えると、俺は食堂に向かいながら、今日の訓練での出来事を聞き出し、仲間がそろそろ訓練よりも、実戦に戻りたがっているらしいのを聞いた。


「短い時間で、そんなに上達を感じられたのか」

「エアネルもかなり戦闘のかんを鍛えられたみたい。あのレオシェルドって人──本当に強いし、教え方も上手いみたいだね」

 それは良かったと答えながら席に着く。

 カーリアも周囲の仲間に気を使えるようになり、子供から一つ、大人への階段を上がった感じだ。──メイは相変わらずだが。


「あ、そうだ。団長──ありがとう、プラノクリージュ。作ってくれて」

「あ、おう。あまり一度に食べ過ぎるなよ」

 少女は「わかってる」と答えて、まだ冷蔵庫に残ってるよと告げた。

 メイも少しは大人になっているのだろうか。彼女に必要なのは精神的な成長だと思う。肉体的な強さや戦闘技術は、かなり高い水準レベルにある彼女。あとは戦い以外の繊細センシティブな感覚を身につけて欲しいところだ。




 食事が運ばれて来ると、今日も大勢での食事となった。わちゃわちゃとそれぞれが皿に食べ物を盛りつけ、自分の席に運んで行く。

 今日は豚肉の角煮っぽい料理が出された。味付けは単純で、豆と一緒に煮込んである。


 他にも小魚を骨ごと砕いて、ひとまとまりにした物を焼いた、魚肉鉄板焼きの様な物など。

 これには果物の調味料が掛けられ、爽やかな酸味が魚の風味に合っていた。

(西洋料理っぽいかな?)

 それと干し葡萄ぶどうなどが入った焼き飯を食べる。

(今度は民族料理エスニック風……⁉)

 香辛料の利いた焼き飯、なかなかにくせになる香ばしさだ。まだまだ香辛料の少ないフォロスハートだが、パールラクーンから入ってくる香辛料もあったのだろう。

 今日の料理もリーファがおもに作ったのだ。彼女の料理は最近とくに、様々な味付けを試しているみたいだ。勉強熱心な戦闘侍女である。


「ところでオーディス団長」

 とレーチェが真剣な顔で話し掛けてきた。

「私、金色狼こんじきおおかみを抜けた古強者ふるつわものかたを探していたのですが」

「おい待て、古強者って……キャスティやアウシェーヴィアの事か? あいつら俺よりも年下だぞ」

 すると彼女は「あら、そうですか」と、俺の言葉を切り捨てる。────ひどいっ。


「イヴァニクスさんとロザンディードさんの二人は結婚していて、ウンディードのほうで旅団に入っているのは確認できましたが、キャスティさんとアウシェーヴィアさんの行方がわからないのです」

「なに?」

「金色狼を抜けたあとの足取りは追えたのですが、ここミスランからパールラクーンへ向かったあとの行動が、まったく追えないのです」

 すると、その話を聞いていたエウラも会話に加わってきた。

「私も以前からアウシェーヴィアさんや、キャスティさんの情報を聞いて回っているのですが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()です」


 パールラクーンから帰って来ていないのか? だとしたら向こうで活動をする冒険者として、管理局が記録しているのでは……? 管理局に届け出ているのは、転移門を使う時くらいだろうが。

「パールラクーンにか……あいつら、冒険拠点を向こうに移したのかもしれないな」

「だとしても、旅団に入っている訳でもなく、たったお二人で活動されているようですから──」

 大丈夫でしょうか? と心配そうにしているレーチェ。


 キャスティは、アディーディンクに迫る力を持つ魔法使いだった(ただし、彼女は攻撃魔法ばかりで、アディーのような万能型とはまったく違う類型タイプの魔法使いだ)。


 アウシェーヴィアは、リゼミラの弟子といった感じの女剣士だ。強化魔法で自分の身体能力を強化する戦い方も、リゼミラをしていた。もちろんこの二人は強い、並の冒険者など比較にならないほどに。

 あの二人が共に活動しているのであれば、たいていの敵を退けられるだろう。

 問題は彼女らが、いったいパールラクーンのどこで活動しているかだ。犬亜人ババルドとの戦争状態だという猫獣人フェリエス小獣人エルニスたち、もし犬亜人の勢力圏に近い場所で冒険していたら、危険なのは間違いない。


「無事にやっているといいんだが」

 俺の言葉にレーチェが同意し、「もう少し情報を集めるよう、()()()()()()()」と告げた。

 興信所こうしんじょでもあるのか? そんなものがフォロスハートにあるなんて聞いた事がないが……


 いや、冒険者の中には、様々な事情通が居たものだ。そうした人間を頼っているのだろう。

 古巣の仲間を想うと、不安な気持ちが胸の中に去来する。──パールラクーンの情勢について、もう少し詳しく聞いた方がいいかもしれない。俺はそう考え始めていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ