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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第八章 新たなる指標

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新人達の装備を用意する

ブックマーク1500超え、ありがとうございます~


せっかくなので、水曜日に次話を投稿しようと思います! まあ日常回なんですがね……

 翌日、いつもの取り組みを終え、宿舎に戻ると──階段からリーティスが降りて来た。どうやら姉と同じ部屋で眠ったらしい。

「おはようございます」

「ああ、おはよう」

 彼女が一階に降りてそう言うと、彼女の足下で子猫が「ニャァ──」と挨拶をした。

 リーティスは姉とは違い猫が好きなようで、子猫を撫でて抱き上げたり、頬ずりしたりしている。

 さて、食堂へ行こうか。そう声を掛け、彼女と共に食堂へと向かう。


 今日の予定は錬金鍛冶の作業に取り組む事だった。


 朝食を食べ終えた俺は、すぐに鍛冶場へ向かい、軽硬合金フラウレグムの胸当てや籠手などを錬金強化する作業に入った。

 鍛冶屋の一角で売られていた商品も必要であれば、旅団員の為に利用してしまおう。別に販売利益を当てにして置いてある訳でもないのだから。

 戦士用の装備から作ろうと考え、長剣と大剣、それに槍も用意する。

 エクスダインやローレンキア、リグザミトとアリスシア。まずはあの四人に合う防具を用意し、それに防御力強化などを付与する。──もちろん硬化に劣化防止も付けて、新米の彼らに有益ないくつか性能を持たせるのだ。

 すでに作ってある防具に錬成台で素材を使い、効果を付与するだけなので、仕事の数は多かったが、正午までには防具一式を人数分、錬成させる事が出来たのだった。


「オーディスさん、僕も手伝っていいですか?」

 ケベルが言うと、サリエも「よかったら装飾品のいくつかに、魔法強化の力などを付与した物を作っても……」と言ってくれた。

「そうだな、新米の力を底上げし、冒険で役立つ力を付与した物を贈りたいからな」

 今まで訓練で辛い思いをしてきた彼らに贈る、新たな冒険という旅立ちへの餞別せんべつ

 出来れば彼らに怪我なく、無事に帰って来てほしいものだ。


 魔法使いのブラナラッハとアローレにはくさり帷子かたびら法衣ローブ、腕輪に短刀や杖を用意する。

 弓も強化しておこう、いざという時に用意してなかった、では済まないからな。

 ケベルには鎖帷子に錬成強化をしてもらい、サリエには彼女の作った指輪などに効果を付与してもらう。──彼らも初級から中級程度の錬金術なら、かなり効果の高い錬成をおこなえるようになっていた。


 成長いちじるしい二人の徒弟を見守りながら、俺はカムイに与える新たな剣の構想を練る為に、研究室での作業に入る。──ある程度は考えてあるが実は、魔剣の性質と、混沌こんとん結晶を分解して解析した事で、この二つの物に共通する性質を見出したのだ。

「もしかすると自分の力で、魔剣を鍛造する事が出来るようになるかもしれない」

 今までは異界の敵から手に入れるくらいしかなかった魔剣を、自分の手で作る事が出来るかもしれないのだ。


 ことわりの違う力と思っていた魔剣を、まったく同じとまではいかなくとも、複製を作る事が出来たなら、いずれはフォロスハートの技術者から、魔剣を自在に創り出す者が現れるだろう。

 混沌鉄鋼アディスヴァルドと混沌()()()を用意し、魔法でそれらを擬似的に組み合わせて錬成する作業を行う。他の金属や各種の精霊結晶などとの組み合わせも試して数時間、集中してそうした取り組みに励む。

 ケベルが恐る恐る研究室のドアを叩いて、昼食に行ってもいいかと尋ねてくる。

「あ、もうそんな時間か、いいぞ。俺が店番をしておく」

 今まで得た情報を紙に記し、それを手にして鍛冶場の方へ戻った。幸いというか、客の姿はない。


 二人の徒弟が旅団員の為に錬成した物を確認し、それらをまとめて置いておくと、椅子に腰かけてさらなる探求を続ける。──精神と思考、それらを魔法で纏め上げた、解析と作成を行う()()()()()()

 もう少しで魔剣を創り出すのに必要な素材と、法則が得られそうだと感じている。大まかな組成は理解したが、それに精霊力や能力強化などを組み込ませられるかが問題だ。

 じっくりと魔法を使って、精神内で魔剣の構成要素の把握に努める。




 どれくらいそうしていたか、自分でも分からない。あまりに集中していたので、自分の状態に気づかなかった。

「危険ですよ」

 ぽん、と肩に手が置かれ、俺の意識が現実へと引き戻される。──危なかった、あまりに魔法への集中を行い続け、精神虚脱を起こしかねないほど、魔力と精神力を使っていたのだ。

「や、……これは、すまない。ありがとう」

 肩に手を乗せる人物を見ようとするが、視界がぼやけて、相手が男か女かも分からない。

 頭を左右に振り、机の引き出しから魔力回復薬を取り出すと、ぐびぐびとそれを一気に飲み干す。

「ぷはぁ──っ」

 パンパン、と両手で頬を叩き、気合いを入れる。


「やあ申し訳ない、お客さんかな?」

 その相手を見ると、どうやら女の──魔法使いの様だった。少なくとも剣や槍を使う体ではないだろう。

「ええ、ここのお店に錬金鍛冶師のオーディスワイアという人に作って欲しい物があって……もしかして、あなたが?」

「そうです、俺がその錬金鍛冶師です」

 なんだか「へんなおじさん」的な挨拶をしてしまったが、彼女には伝わらない事だった。


 彼女は二十代前半くらいの年齢の魔法使いだろう、重々しく頷きながら「それにしても凄い集中力ですね」と口にして、上級魔法使いでもあそこまで入り込んで、意識を集中させるのは難しいのでは、などと言う。

「ちょっと研究をね……それで、どういったご用件でしょうか?」

 彼女は肩に掛けた麻袋をテーブルに置き、中から様々な結晶を取り出した。()()()()()()()や霊晶石、魔力結晶、それに混沌結晶もある。──見た目は若いのに、相当な実力を持つ魔法使いだという事だろう。


「これらの素材を使って、魔法の杖を作って欲しいのです」

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