連休最後の夕食会議
ちょっと伏せ字がうざかったかな……
修正しました。
その後、庭に残っていた者達で訓練を再開しようとしたが、夕食の用意が出来たとメイが呼びに来たので、全員で食堂へ向かう。
リゼミラ達は作って来た料理を持ち込んでいるらしい。アディーディンクが持っている荷物から、箱詰めにされた料理を長テーブル上に並べる。
それと同時に次々に料理が食卓に並べられた。
今回はレオシェルドも居る。
俺は仲間達にレオシェルドを紹介し、レオは立ち上がると、こう述べた。
「レオシェルドだ。少し前まで『金色狼の旅団』に居た。この旅団──『金獅子の錬金鍛冶旅団』では、剣士の訓練教官を担当する事になるだろう。これからよろしく頼む」
先ほどのリゼミラとの闘いを引き合いに出して、レオが優れた剣士であると、カムイやユナが仲間に説明する。
食事を食べながら明日の予定を話し合い、冒険へと出る仲間と、武闘大会に出るリトキスとカムイは、宿舎に残って訓練をする事になった。
剣技を高めたいエウラも残り、レオから斬破の特訓をしてもらおうと考えている様子だ。
武闘大会までは少し時間がある。
俺も大会の前に監視飛翔体を出来る限り、完成に近い形に持っていけるよう努力しよう。
そんな事を考えていると、前の席に座っているメイが手招きしていた。
「どうした?」
「レオシェルド──さん、だっけ? あの人とオーディス団長は、どっちが強かった?」
ずばりと聞いてくる少女。
俺はレオと訓練で闘った時は、六割は負けていただろうと話した。実際はそれほど多く闘っていた訳では無いが、たぶんそれくらいの戦績だったろう。
「木剣での闘いならな」
離れた場所から、俺とメイに向かって声を掛けてくるレオ。
「オーディスの戦い方は実戦向きだ。木剣での闘いでも、おそらく四割以下の力しか使わずに闘っていただろう。全身全霊で剣気の攻撃を打てば──例え木剣であっても、仲間の命を危険に曝すほど、この男の攻撃力は強大だったからな」
そんな補助をしてくれるレオに俺は、純粋に剣技のみの闘いなら、俺の勝率は一割あるか無いかだったろう、と応えた。
「お互いに尊敬し合っている関係だったんですね」とユナがしれっと口にする。
「ははは、自分はオーディスと冒険に出る事は少なかったが、それでもこの男の実力は認めていたよ。──尊敬しているかと言われると、それは微妙なところだ」
激烈な威力の攻撃で敵を粉砕し、持ち帰るべき素材まで破壊したのだ、この男は。と苦言を口にするかつての戦友。
「それを言われると弱い……俺は熱くなると、ついやっちゃうんだ」
心の中で「ランランルー」と口にしておく。
ああ、マッ○が食べたくなってきた。
ダブルチーズバーガーとポテトが。
「ポテトは出せるがな……」
今度、ハンバーガーを作ってみよう。
そう言えばハンバーグは作ったが、ハンバーガーは作っていなかった。ハンバーグを作るとついつい厚く作ってしまうから、ダブルチーズバーガーに合わせて薄く作った物を二枚重ねにして、乾酪も二枚使って作ろう。
「そのうちチェーン店も出しちゃうんだぜ」
心の中で呟くと、ミスランから他の四都市に展開するだけでなく、パールラクーン店まで開いている未来予想図が見えた。
割と本当にイケる気がしてきた。
「ハンバーガーよりはフィッシュアンドチップスの方が、パールラクーンではウケそうだけどな」
猫獣人は「味が分からない」と言っているのでは無い。おそらく鶏肉や魚肉の方が、彼らには受け入れられ易いだろうと考えているのだ。
「何をニヤついてらっしゃるの?」
斜め前の席から訝しげに問うレーチェ。
「懐かしい物を思い出しただけだ、気にするな」
すると彼女は「懐かしい……」と眉を顰める。
彼女を不安にさせる言葉だったのかもしれない。なんとかそれを払拭する言葉を口にしようとして、俺は彼女に別館をどうするか尋ねた。
「別館? ……ああ、新しい建物の事ですわね。もちろん考えてありますわ──近々、業者の方をお呼びして、建物の修繕を初めて頂こうと考えておりますの」
さすがに手回しが良い。
そうした話しをしていると、レオが「そういえばこの旅団の宿舎は広いな、まるで設立から数十年経っている、実績ある旅団の宿舎の様だ」と口にする。
「そうだな、まあ──副団長が領主だからというのもあるが、皆よく冒険で稼いでくれるからな。もちろん俺の鍛冶屋の利益も大きいが」
そんな事よりも、いくらリトキスに誘われたからといって、すぐにうちの旅団に入る決断をするとは思わなかった。そう言うとレオは、困った顔をする。
「それなんですが、オーディスさん。聞いてくださいよ」
離れた場所に居るリトキスが声を上げる。
「レオシェルドさんは金色狼を抜けてから、しばらくは一人で訓練をしたり、探索に行ったりしていたそうなんですが。孤児院の子供達に剣技を教える機会があって、それで──子供達の為に、全財産を寄付してしまったらしいですよ」
ミスランの孤児院だけでなく、四都市にあるそれぞれの孤児院に寄付した為、持っていた財産を全て使ってしまったらしい。
「お前は何をやっているんだ」
ははは……と弱々しい笑い声を漏らすレオ。
「いやぁ……今まで、若人を育てる事をそんなに精力的にやって来なかったので、旅団を抜けてからは、子供達に冒険者になる為の教育をしていたんだが、そこで孤児院の厳しい状況を知ってな。それで──気づいたら全財産を使ってしまっていた」
俺は思わず、盛大な溜め息を吐いてしまった。
孤児院は管理局の傘下にあるはずだ。孤児院に問題があるなら、管理局に改善を訴えればいい。もちろん寄付をするのは自由だし、そうすべきだろう。
俺も孤児院に寄付をするのを失念していた。
冒険で命を落とした冒険者の子供達を育てるのは、旅団にとってもフォロスハートにとっても、大きな意味のあるものだ。
「まあ、うちの旅団からも孤児院に手当てを出すよう、取り計らってみよう」
そう告げる俺を見て、満足そうに頷くレオ。
にしてもだ。
こいつは本当に武骨というか、不器用というか……もう少し考えて行動しろと。
食後に出た蜂蜜酒を口にし、仲間達の明日からの冒険についての会話に耳を傾けながら、こちらも明日の予定について考える。
足に何かが触れている。──下を見ると、そこには子猫が居た。
小さな青い毛の猫を抱き上げると膝の上に乗せ、ニャァニャァと鳴き声を上げる子猫を構ってやると、掌に小さな体を押しつけて甘えてくる。
そうだ、子供達が運動する場所。公園に設置する遊具についても考えて、管理局へ提案書を持って行こう。
そんな風に考えて、子猫を住処に戻す事にした。




