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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第八章 新たなる指標

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連休最後の夕食会議

ちょっと伏せ字がうざかったかな……

修正しました。

 その後、庭に残っていた者達で訓練を再開しようとしたが、夕食の用意が出来たとメイが呼びに来たので、全員で食堂へ向かう。

 リゼミラ達は作って来た料理を持ち込んでいるらしい。アディーディンクが持っている荷物から、箱詰めにされた料理を長テーブル上に並べる。


 それと同時に次々に料理が食卓に並べられた。

 今回はレオシェルドも居る。

 俺は仲間達にレオシェルドを紹介し、レオは立ち上がると、こう述べた。


「レオシェルドだ。少し前まで『金色狼こんじきおおかみの旅団』に居た。この旅団──『金獅子の錬金鍛冶旅団』では、剣士の訓練教官を担当する事になるだろう。これからよろしく頼む」

 先ほどのリゼミラとの闘いを引き合いに出して、レオが優れた剣士であると、カムイやユナが仲間に説明する。


 食事を食べながら明日の予定を話し合い、冒険へと出る仲間と、武闘大会に出るリトキスとカムイは、宿舎に残って訓練をする事になった。

 剣技を高めたいエウラも残り、レオから斬破の特訓をしてもらおうと考えている様子だ。


 武闘大会までは少し時間がある。

 俺も大会の前に監視飛翔体を出来る限り、完成に近い形に持っていけるよう努力しよう。

 そんな事を考えていると、前の席に座っているメイが手招きしていた。


「どうした?」

「レオシェルド──さん、だっけ? あの人とオーディス団長は、どっちが強かった?」

 ずばりと聞いてくる少女。

 俺はレオと訓練で闘った時は、六割は負けていただろうと話した。実際はそれほど多く闘っていた訳では無いが、たぶんそれくらいの戦績だったろう。


「木剣での闘いならな」

 離れた場所から、俺とメイに向かって声を掛けてくるレオ。

「オーディスの戦い方は実戦向きだ。木剣での闘いでも、おそらく四割以下の力しか使わずに闘っていただろう。全身全霊で剣気の攻撃を打てば──例え木剣であっても、仲間の命を危険にさらすほど、この男の攻撃力は強大だったからな」

 そんな補助フォローをしてくれるレオに俺は、純粋に剣技のみの闘いなら、俺の勝率は一割あるか無いかだったろう、と応えた。


「お互いに尊敬し合っている関係だったんですね」とユナがしれっと口にする。


「ははは、自分はオーディスと冒険に出る事は少なかったが、それでもこの男の実力は認めていたよ。──尊敬しているかと言われると、それは微妙なところだ」

 激烈な威力の攻撃で敵を粉砕し、持ち帰るべき素材まで破壊したのだ、この男は。と苦言を口にするかつての戦友とも


「それを言われると弱い……俺は熱くなると、ついやっちゃうんだ」

 心の中で「ランランルー」と口にしておく。


 ああ、マッ○が食べたくなってきた。

 ダブルチーズバーガーとポテトが。

「ポテトは出せるがな……」

 今度、ハンバーガーを作ってみよう。


 そう言えばハンバーグは作ったが、ハンバーガーは作っていなかった。ハンバーグを作るとついつい厚く作ってしまうから、ダブルチーズバーガーに合わせて薄く作った物を二枚重ねにして、乾酪チーズも二枚使って作ろう。


「そのうちチェーン店も出しちゃうんだぜ」

 心の中でつぶやくと、ミスランから他の四都市に展開するだけでなく、パールラクーン店まで開いている未来予想図が見えた。

 割と本当にイケる気がしてきた。


「ハンバーガーよりはフィッシュアンドチップスの方が、パールラクーンではウケそうだけどな」

 猫獣人フェリエスは「味が分からない」と言っているのでは無い。おそらく鶏肉や魚肉の方が、彼らには受け入れられ易いだろうと考えているのだ。


「何をニヤついてらっしゃるの?」

 斜め前の席からいぶかしげに問うレーチェ。

なつかしい物を思い出しただけだ、気にするな」

 すると彼女は「懐かしい……」とまゆひそめる。

 彼女を不安にさせる言葉だったのかもしれない。なんとかそれを払拭ふっしょくする言葉を口にしようとして、俺は彼女に別館をどうするか尋ねた。


「別館? ……ああ、新しい建物の事ですわね。もちろん考えてありますわ──近々、業者の方をお呼びして、建物の修繕を初めて頂こうと考えておりますの」

 さすがに手回しが良い。




 そうした話しをしていると、レオが「そういえばこの旅団の宿舎は広いな、まるで設立から数十年()っている、実績ある旅団の宿舎の様だ」と口にする。


「そうだな、まあ──副団長が領主だからというのもあるが、皆よく冒険で稼いでくれるからな。もちろん俺の鍛冶屋の利益も大きいが」


 そんな事よりも、いくらリトキスに誘われたからといって、すぐにうちの旅団に入る決断をするとは思わなかった。そう言うとレオは、困った顔をする。


「それなんですが、オーディスさん。聞いてくださいよ」

 離れた場所に居るリトキスが声を上げる。

「レオシェルドさんは金色狼を抜けてから、しばらくは一人で訓練をしたり、探索に行ったりしていたそうなんですが。孤児院の子供達に剣技を教える機会があって、それで──子供達の為に、全財産を寄付してしまったらしいですよ」


 ミスランの孤児院だけでなく、四都市にあるそれぞれの孤児院に寄付した為、持っていた財産を全て使ってしまったらしい。


「お前は何をやっているんだ」

 ははは……と弱々しい笑い声をらすレオ。

「いやぁ……今まで、若人わこうどを育てる事をそんなに精力的にやって来なかったので、旅団を抜けてからは、子供達に冒険者になる為の教育をしていたんだが、そこで孤児院の厳しい状況を知ってな。それで──気づいたら全財産を使ってしまっていた」


 俺は思わず、盛大な溜め息をいてしまった。

 孤児院は管理局の傘下にあるはずだ。孤児院に問題があるなら、管理局に改善を訴えればいい。もちろん寄付をするのは自由だし、そうすべきだろう。

 俺も孤児院に寄付をするのを失念していた。


 冒険で命を落とした冒険者の子供達を育てるのは、旅団にとってもフォロスハートにとっても、大きな意味のあるものだ。

「まあ、うちの旅団からも孤児院に手当てを出すよう、取り計らってみよう」

 そう告げる俺を見て、満足そうに頷くレオ。


 にしてもだ。

 こいつは本当に武骨というか、不器用というか……もう少し考えて行動しろと。


 食後に出た蜂蜜酒ミードを口にし、仲間達の明日からの冒険についての会話に耳を傾けながら、こちらも明日の予定について考える。


 足に何かが触れている。──下を見ると、そこには子猫が居た。

 小さな青い毛の猫を抱き上げると膝の上に乗せ、ニャァニャァと鳴き声を上げる子猫を構ってやると、てのひらに小さな体を押しつけて甘えてくる。


 そうだ、子供達が運動する場所。公園に設置する遊具についても考えて、管理局へ提案書を持って行こう。

 そんな風に考えて、子猫を住処すみかに戻す事にした。

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