表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第八章 新たなる指標

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

319/585

ミスランの旅団に起こる変化

フォロスハートの若者達も頑張っているらしい、けれど──?


次話は金曜日の午後6時~を予定しています。

「ところで『黎明れいめいの白刃旅団』って知ってるかにゃ?」

 お金を背嚢はいのうにしまいながらナンティルはそう聞いてきた。

「いいや? 聞いた事が無いな」

「最近ミスランで急成長してきた新人の多い旅団にゃ。ミスランの市民の間では、ミスランの上位旅団と言えば数年前までは『金色狼こんじきおおかみの旅団』と『蒼髪の天女旅団』の二つだったにゃ。最近は『蒼髪の天女旅団』に『黒き錬金鍛冶の旅団』と『黎明の白刃旅団』の三つと言われ始めているにゃ」


 金色狼はどうした、そう尋ねると彼女は「うにゃぁ……」と言い渋る。

「最近はいい噂を聞かないですにゃぁ……古強者が退団して弱体化したのを切っ掛けに、鳴かず飛ばずという感じですにゃ」

「マヂか。そこまで酷くなっているのか」

「ですにゃぁ……今では『黎明の白刃旅団』の方が勢いがあると評判ですにゃ」

 そんな若手の台頭たいとうがあったのか。

 自分の旅団と鍛冶屋の事ばかり考えていて、まったく気にしなかったな……


「それにしても、お前の情報網も大したもんだな。諜報スパイ活動はもう止めたんじゃ無かったのか」

「これは諜報じゃ(にゃ)いにゃ。商売に必要(にゃ)情報ですにゃ」

 彼女はそう言って鼻を鳴らす。

「ああそれと、その情報の一部は古いぞ。『黒き錬金鍛冶の旅団』は『金獅子の錬金鍛冶旅団』に変更したからな」

「にゃっ⁉」

 ナンティルは「いつそん(にゃ)事に(にゃ)ったにゃ」と問い詰めてくる。


 黒獅子ヴォージェスの提案を受け入れて、そう名乗るよう変えた事を説明すると「そん(にゃ)事が……」と呟いている。

 黒獅子ヴォージェスを知っていたらしい。


「ま、それはともかく。なんだ黎明の白刃旅団って……なんか辻斬りでもしそうな名前だな」

「辻斬りって(にゃ)んにゃ」

 武器の切れ味を試す為に、闇夜にまぎれて通行人を斬る事だ、そう説明すると。

「残酷にゃ! 許せんにゃ!」

 彼女はウニャ──ッと怒り出す。


「いやいや、そんな時代もあったらしい。という──お話だよ、お話」

 そう応えながら確かに、どう考えても理不尽きわまり無い話だと思う。

 封建ほうけん時代の制度が如何いかに自分勝手な奴を生み出していたか、その最たるものの一つかもしれないな。




 ナンティルをなだめながら、金色狼の旅団はいったいどんな事になっているのかと──古巣の様子も気になってきた。

 彼女に金色狼の事を尋ねると、旅団内の対立が激化しているのでは、という噂もあり──中堅どころの冒険者が仕切る二派閥が出来て、それが対立しているという話もあるらしい。


「ああ──そういう展開か」

「管理局の方でも問題を重く受け止めているらしいにゃ。そのうち旅団内の争いに発展する前に(にゃ)んとか治めようと動き出すんじゃ(にゃ)いか?」

 そういや「旅団・冒険者統率機構」とか言っていた管理局の一部署が新しくなるとか、そんな話を耳にした事はある。もともと役に立たない部署がいくつもあるらしく、無駄を無くす為に冒険者や旅団に関する部署を統合して一つの部署にするとか、なんとか……だいたい「旅団員登録書」と「旅団員推薦状」とかが、別々の部署で取り扱われるなんていうのが意味が分からん。

 ……後者の「推薦状」なんてそれ自体が無駄だから──この際、きっぱりと廃止にすべきだ。


「私としては、フォロスハートの海産物よりも、『オーディス錬金鍛冶工房』の魔法の武器を輸入する権利を与えて欲しいのだけれどにゃ」

 急にナンティルはそんな事を言い出した。


 彼女の今回の目的は、新しい大地から得られる恵みの定期的な買い付け交渉と、犬亜人ババルドの討伐協力依頼の二つだったが、彼女は強力な武器を前線の戦士に提供する方も求めたかったのだと言う。


「──しかしだな、簡単には造れないんだぞ魔法の剣とかは。一種類の属性魔法の力を封入するだけなら失敗は少ないが……」

「すぐ作れにゃ」

「簡単に言うな!」

 ()()()()()、と彼女は得意げな笑みで返す。

 おのれ……ヘルフェルト霊山を奪い返せと言った当てつけだな?


 しかし、このまま霊晶石の採掘場所の一つを犬亜人に奪われたままではまずい。それはパールラクーンにもフォロスハートにとっても同様だ。

 魔法の剣を造ってパールラクーン側に売るのは、そのうち何とかなるだろう。

 だがこちらにもやるべき事が山積みなのだ。


 霊晶石も重要だが、地の化身エウシュマージアの象徴しょうちょう武具についても、そろそろ準備をしなくてはならないだろう。

「まあ今日は、このくらいで勘弁してやるにゃ」

 謎の言葉を残して猫獣人フェリエスの行商人は鍛冶屋から去って行く。


「それよりも何とかして霊山を奪い返せよ……」

 俺は呟きながら、大きな背嚢が出て行くのを見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ