表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第八章 新たなる指標

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

311/585

旅団名の変更と武闘大会

お読みくださりありがとうございます。

これからもよろしくお願いします~

 その日の夕食後に、完成したチョ○(プラノクリージュ)バッ○(ゼルヴ)の試食会を開いた。甘い物好きのメイは特に喜んでいる。

「こんな物を作っていたのですか……体を休めてほしかったのですが」

 レーチェはそう言いながらも、二種類のお菓子を口にして「苦みもある変わったお菓子ですわね」と言って「美味しいですわ」と紅茶を口にする。


 メイは黒い物よりも茶色い物の方が好きなようだ。ほんのり甘く苦みなどがある物よりも、素直な甘さのお菓子がいいらしい。


 この場に居た旅団員にどちらが好みかを聞くと、意見は真っ二つに分かれる感じになった。

 ユナにいたっては「茶色い方を食べてから黒い方を食べると、また茶色いのが食べたくなり……」と無限(ループ)状態になりそうだと言う。


「それで、このお菓子の名前は?」エウラが棒をくわえながら尋ねるので、俺は「プラノクリージュ・ゼルヴ」だと告げた。

棍棒ゼルヴ? なんでそんな名前に……」とか。

「プラノクリージュ……? それは何ですか?」

 とか──いくつもの戸惑いの声が聞こえてきた。

「名前は気にすんな。上にかかった黒っぽい物をプラノクリージュと命名しただけだ。『香り高い甘味と苦味』そんな意味だ」

 ああ、と一部の仲間は理解した様子だが、その他の者は今一つピンと来なかったみたいだ。


「まあ、お菓子の名前は置いておこう。それよりも、もう一つの重要な名前について話しをしようじゃないか」

 皆は「何の事だろう」と隣り合う者同士で話し合ったりしている。

「ほら、旅団の名前の頭に付いている『黒き』から、『白金の』とかに変えようと言っていた件についてだよ」

 そう言ってはじめて「ああ~~」みたいな声があちこちから聞こえてきて、がっくりとする。


「ま、まあいい。それで……その件に、賢者ヴォージェスからこんな意見があった『金獅子』と名乗ったらどうか、というものだ」

 すると今度は「賢者ヴォージェスって誰だ?」とざわめく食堂。


「賢者ヴォージェスは……元冒険者で、かつては『黒獅子』という異名を持っていた人物だ。彼の活躍は相当なものだったという噂を聞いた程度だが──たった一人で黒獅子三体を仕留めた事から、その異名が付いたらしい」

 団員の中からは「おおっ」と驚く者や、「黒獅子」自体が分からない者が居たようだった。


「黒獅子ヴォージェスが⁉ いったいいつの間にそんな話しになっていたんです?『金獅子』という事は、『黒獅子』から期待されているという事ですよね?」

 リトキスは黒獅子ヴォージェスを知っていた様子で、興奮した感じで声を上げる。


「あら、あの方からそんな話しがあったのですか? わたくしとしては『白金の』でも良いと思うのですが……金獅子も悪くありませんわね」

 レーチェはそう言って、金色に輝く獅子を想像しているみたいに上を見上げる。


 食堂では新たな旅団の名前をどうするかについて、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が……起こる様子は無い。

 むしろ一部では新しいお菓子についてどちらが好みか、といった話題で盛り上がっているくらいだ。


「おいおい、自分の所属する旅団の名称が変わるんだぞ。少しは意見を言ったらどうなんだ……」

 リトキスやレーチェは金獅子でいいのではないか、といった考えを示し、ユナやエウラやカムイなどは白金でも金獅子でも、どちらでもいい。といった答え方をする。

「名前は旅団長や副団長が決めてもいいんじゃない?」

 そう言ったのはエアネル。

 彼女の意見に賛成するレンネルやウリス、カーリアなど多数……

 どうやら旅団の新たなる名前は「金獅子の錬金鍛冶旅団」(「旅団」の前に付けていた「の」を取る事に決めた)に決まりそうだ。


「それでオーディスさんとレーチェさんは、いつヴォージェスさんと知り合ったんです? というか、あの人が五賢者の一人になっていたなんて初めて知りましたよ」

 リトキスは改めて驚きを示す。

「ああ……西海の大地と接合する時に、橋が架かるのを見届けたと教えただろう? その前くらいからだな」

 リトキスはヴォージェスを知っているのかと尋ねると首を横に振る。


「いえ、話で聞いただけで、会った事はありません。僕が剣の修業の為に一人で各地を回っていた時に、黒獅子ヴォージェスの孫弟子まごでしだという冒険者と会って。一緒に冒険に行ったり、ヴォージェスの話を聞いたりしたんです」

 その孫弟子とやらも相当の槍使いだったそうで、あのリトキスが互角の戦いを演じたのだという。

「まあ、かなり前の事ですが」


 都市ゲーシオンの「黒獅子のたてがみ旅団」に居るバウラムという若者らしい。正確な突きと、変則的な回転攻撃で剣を弾かれ、しっかりと握っていないと剣を落としてしまう。そんな相手であるようだ。


「へえ、お前がそこまで言うとはね。かなりの槍使いだろうな」

「まあうちの旅団でも、近頃はカムイやレーチェさんなども、かなり伸びてきてますからね。今月末に行われるらしい武闘大会でも、参加すれば結構いい試合をしてくれるんじゃないでしょうか」

 そんな事を言うリトキス。


「なに? 武闘大会? 何だそれは」

「あれ? 知りませんか?」とリトキスは言い、都市ゲーシオンで開かれる予定だと説明した。

おもに中堅どころと、若手の冒険者を各地から呼び集めて、慰霊祭いれいさいの前に武闘大会を開くらしいですよ」

俺はレーチェを見る──彼女も首を横に振った。


「手紙なら配達が来たので、()()()()()()()()()()()()に置きましたけれど……」

 そう言ったのは、一週間ほど前に休みを取っていたカーリア。

 俺達の話を聞いていて、何やら嫌な予感がしたのだと彼女は言う。


「執務室か……いやまて、あの部屋のドア、ライムが開けるんだよな」

 まさかと思い、執務室に行って机の下などを探し回ると──あった。長椅子の下に、ゲーシオンの管理局からの手紙が落ちていたのだ。

「ライムゥウゥゥ──!」

 廊下の先に居た白猫に向かって叫ぶと、彼女は危険を察知したのか、慌てて巣箱に逃げ去る。


 食堂に戻ってレーチェやリトキスの前でそれを読んでみると確かに、中堅や若手の冒険者を対象とした武闘大会を開くので、一人から三人まで参加して欲しいといった事が書かれていた。


「おいおい、参加登録まで三日無いぞ。誰か、参加してみたい奴は居るか?」

 俺がそう尋ねるとカムイがすぐに手を上げた。

「力試しをしたいと思っていたところです」

 俺はうなずき、最近のカムイならかなり良い成績が残せるんじゃないか、といった事を言いながら──リトキスを見る。


「え、なんですか?」

「そうか、参加したいか。よし、うちからはこの二人だな」

 そう言いながら出場者登録のらんにカムイとリトキスの名と、「金獅子の錬金鍛冶旅団」の名を書いて、翌日に管理局へと持って行く事にしたのだった。


「ぼ、僕の意思は無視ですか」

「うん。頼んだぞ。別に優勝とか、そんなのどうでもいいから、新しくなった旅団名のお披露目ひろめに行って来てくれ?」

 俺は二人の旅団員にそう声援エールを送ると、彼らから気の無い返事が返ってきた。


「いやいや、なら優勝しろ! と言った方がいいのか? まあ気楽に行けよ。『自分の力を確かめるのにいい』くらいの気持ちでいけ」

 そう言うとカムイは「はい」と返事をするが、リトキスはあまり気乗りがしない様子だ。


「まあ俺は、リトキスとカムイの今後に期待しているからな。その試金石となる大会だと、そう考えているだけだよ。自分の実力がどの程度かはっきりと分かると、また日頃の訓練や冒険にも力が入るだろ?」

 リトキスは「わかりました」と大会への参加を承諾しょうだくしたのであった。

308話でヴォージェスが「まだ聞かされていないのか?」と言っていたのは、この武闘大会の事だったんですね。

旅団名は「金獅子の錬金鍛冶旅団」に決定~という今回の話。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ