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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第八章 新たなる指標

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地の神ウル=オギトの象徴武具を作製

かなり悪意に満ちたレビューが書かれていたのですが、運営側によって削除されました。メッセージで届いた一文を載せます。


「運営側ではレビューとしての想定を行っていない内容の投稿を確認」したために「対象のレビューの削除を行った」といったものでした。


作者としては、別に悪意あるレビューが残っていても気にしないのですが(笑)

明らかに副アカでのレビューであり、他の方にも悪意に満ちたレビューと感想を送っていたことから運営に知らせたものです。

運営としては作者を誹謗中傷するレビューや感想などにはこうした削除を行うようです。皆さんはそんな事はしないと思いますが、注意しましょう。

 鍛冶屋に来ると、徒弟達が炉の前や作業台の前で作業しているところだった。その近くでは冷房装置が稼動し、冷風を送り込んでいる。

 熱い鍛冶場の空気を外へ送り出す為、壁の上部の小窓が開けられていた。


「カンッ、カンッ、カンッ……」

 金鎚で作っているのは長剣だ。

「硬化」「劣化防止」の他にも鉄歯鮫の歯や灰色狼の牙などを使用し「切れ味強化」や「攻撃力強化」などを付与しているのだろう。


 ケベルは最近、錬成強化を任せてもかなり精度の高い作業が出来るようになっていた。

 複数の効果を付与するのにも慣れ、冒険者になったばかりの新米ルーキー達の間では、「オーディス錬金鍛冶工房」のケベルの作る武器を手にする事が、より強くなる為の大きな一歩になると考えられているらしい。


 サリエの作る装飾品は、所持者の能力を底上げする効果を持たせた物が多く、その効果も価格の割に高いと評判だ。


 二人の徒弟のお陰でこの工房は、より一層の評判を得ていた。

 サリエは今は、判子はんこを作る作業を行っている。

 すでにいくつかの判子を彫って完成させたようだ。


「精が出るな」

 そう二人に声を掛け、俺は作業場の奥にある研究室へ入って行く。そこで今まで書いておいた──地の化身エウシュマージアの象徴しょうちょう武具の設計図を横に置き、地の神ウル=オギトの為の象徴武具を作製する下描きを始める。


 今回は戦鎚せんついを造るよう指示されているが、剣や鎧、籠手などでも地の神の象徴的な武具になるはずだ。


 俺は椅子に座ると研究に入る。

 神貴鉄鋼シルエヴァルリスを使い、縞瑪瑙オニキス黄玉トパーズなどを用い、象徴効果を高める意匠デザインを考えつつ、戦鎚としての形や大きさを考え──そこで再び悩む。


 おそらく地の慰霊祭いれいさいで儀式をおこなうのは男性の神官だと思うが、それでも戦鎚を軽い物にしなければ、儀式に支障が出るかもしれない。


 地の神は戦士達の守護者でもある。戦鎚の形はかなり金鎚に近い形をしていた物を持っていたはずだ。神の石像に戦鎚を腰から下げた物があったのだ。

「いや、それは柄の長くない物だったな」

 短剣程度の長さの、無骨な戦鎚だったと記憶している。

 それならあまり重くない物を造れるだろう。

 叩く部分と、尖った背面部分の戦鎚にすれば、その分重量を減らせる。


 確か地の慰霊祭とは、戦鎚で地面を数回叩く──そんな行動をする儀式だったはずだ。土に還った命をなぐさめるにしては、かなり乱暴な行動だが、俺には分からない隠された意味があるのだろう。


 柄の部分は木製にする事で軽くでき、さらに地の象徴としても木製の方が相性は良い。

 金鎚の頭の部分はかなりゴツい物になりそうだが、全体的には剣と変わらぬ重さになるはず。


 設計図は出来た。

 後は金鎚を鍛えて形にするだけだが──問題は、柄を付ける穴の部分をどう造るかだ。熱と衝撃に強い石の棒を貫通させて造り、後でその石を抜いて木製の柄を通す方法でいこうと決め、さっそく材料を用意する。

 柄の部分はかしの木を用意した。


「あ、そうだ」

 宝石については金剛石ダイアモンドを使うといいだろう。丸く削った石を側面の装飾彫りの中に配置するのだ。縞瑪瑙や水晶を配置しようと思っていたが、金剛石の方が、今回の儀式に相応ふさわしいと思い直した。


 柄の樫には簡易魔力回路を生成し、金鎚の部分に宝石を埋め込む穴を作る。

 そうした作業工程を一度、頭の中で組み上げる。神貴鉄鋼を叩き、鍛え、形を作り上げて行く過程を想像し、何度も炉の中にそれを入れ、形を整えていくのだ。


「よし、やるか」

 ()()を手に取り、これから金属を溶かして()()を造るのだと思うと、少し不思議な気持ちになる。

 金鎚で金鎚を作るのに似ていると思ったのだ。

「多くは鋳型いがたに流し込んで鋳造ちゅうぞうするのだがな」


 俺の勤めていた会社では金鎚は作っていなかったが、同じ中小企業の小さな工場では、そうした大量生産の金鎚の頭が作られていたのだ。

「釘を打てよ、頭を叩くな」

 酔ってはそんな事を言っていたベテラン社員が居た。

 なんでも一昔前のテレビドラマで、金鎚で頭を殴打おうだして殺害する──みたいなのが何度か流れて、不安になったらしい。

 どういう経緯があったかは知らないが、彼は金鎚を作るのを辞めて、俺の勤めていた町工場に転職して来た訳だ。


 まさか、殺人の道具として使われるのが怖くて転職した、というのでは無いと思うが……


 今の俺は、相手が人間では無い前提ではあるが、もっとも危険な──明確な「武器」を作っている。


「俺のは『転職』というか、『転勤』ならぬ『転移』だからな」

 そんな事を思って笑ってしまう。

「おい君、来月から()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんな風に上司に言われて、()()()へ来た訳ではないからな。


 炉の中に燃結晶を放り込むと、神貴鉄鋼を溶かしにかかる。

 ここからこの金属と、熱と、時間との戦いが始まるのだ。魔力回路を生成しつつ、地の力と霊結晶を使って──その力を高める。


 大地の力は「気の力」でもある。我々人間だけではなく、あらゆる生命がその気脈とつながって生きているのだ。


 星としての形は失っても、このフォロスハートには──気の力が息衝いきづいている。

 それは地の神ウル=オギトを中心とする四大神が居るお陰だ。


 俺はその神々と大地に還ったあらゆる命に報いる為に、この戦鎚を打つ。そこには自分自身の深奥にある──命への畏敬いけいの念を込めて行う、真剣な、()()()()()()への取り組みがある。


 この作業は決して他人ひと事ではない。


 その先には、自分もまた──この大地に還るのだ、という揺るぎの無い決意を持って取り組む作業なのだから。


 今の俺は、フォロスハートに生きる命の一つ。

 この世界の一部なのだ。

「大いなる作業オプス」錬金術では物質の中に捕われた霊を解放する、などといった取り組みを経て、真理や叡知に達するといった考え方をしていました。

ユングはそれを心理学的に「個我」へ至る取り組みとして考えているようです。

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[一言] 生産物語は楽しい(´ω`)
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