表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

294/585

管理局での会議に参加

 朝、目が覚めた。

 やはり、じっとりと胸元が蒸れているのを感じる。

 ライムの顔が目の前にある。いつも、この猫は俺の上で眠ると、こうして胸の上に居座いすわって目を閉じるのだ。


 それにしても夢──精神世界での出来事が、凄く生々しく記憶に残っていた。

 風の神ラホルスの言葉は、だいたいこんなものだった。


 *****


 ──神結晶の台座を作るのに必要な神結晶を、ウル=オギトも送ると言っていた。私からも送るが、神結晶の台座を一つ一つ設置するのでは無く、一遍いっぺんに四箇所(かしょ)の結界柱に設置するのがいいだろう。また以前の様に、一つの神の力だけが大きくなり過ぎて、暴走したりさせない為だ──


 *****


 と──そして、風の神の最後の言葉は、辛辣しんらつなものだった。


「君達も神だと言うのなら、少しばかりの節度せつどを持ってくれないか。見るにえない争いをするもんじゃない」


 俺は風の神の配慮はいりょもあって、どうやら無事に、現実世界に戻って来れたようだ。


 どうか、火と水が争って戦いを始めないようにと、祈る思いで目が覚めた。


「ほら、お前達も起きてくれ。暑くてかなわん」

 ライムの頬の皮を両手で引っ張ると、歯をき出しにして笑った様に見える。

「ゥナァ──」

 不機嫌そうな鳴き声を発した後、彼女ライムは大きな欠伸あくびをして、俺の上から降りると、床の上で伸びをする。


 そうなのだ、子猫達の事を配慮して、床の上に毛布をき、その上で寝たのだが──若干、背中が痛い。


 子猫達を一匹一匹、そうっと毛布の上に降ろしてやると、ライムが子猫達に寄りってやる。

 やはり猫達も寒いのだろう。

 俺は毛布を集めて、猫達の周りを囲むようにして包んでやると、霧吹きを持って小鉢植物園テラリウムに水をやり、部屋を出る。──もちろん、ドアを半開きにしてだ。




 その日の始まりは、そんなおだやかなものだったが、朝食を食べ終えて、仲間の今日の予定(全員休日を取る事に昨日決まった)を開き、訓練や買い物に行くなど、それぞれの行動をだいたい把握はあくしたころ、来客が来た。


「団長、管理局の人が来ています」

 来客の対応に出たカムイが言うので、玄関に向かう。


「本日の正午前に、管理局の中央会議(とう)に来て下さい。是非ぜひ、大地の接合について、お知恵を拝借はいしゃくしたいとの通達です」

 職員は紙を数枚差し出し、地図に場所が書いてあります、と丁寧に説明して去って行く。


「どういった用件でしたか?」

 食堂から出て来たカムイやヴィナーに、そうたずねられた俺は、「厄介やっかい事だ」返事をして、数枚の紙に目を通す。


 そこには古い時代(世界が崩壊する前)の建築技術書から写された、「り橋」の作り方が書かれていた。

 これに錬金鍛冶師として、応用する方法を探せというのだろう。

 どうやら管理局の考えでは、二つの大地の間にける橋の長さは、十数メートルに満たない長さの物を想定しているらしい。


 縄を使った吊り橋を作る考えで、すぐにでも工場での縄の大量生産を開始すると書かれている。

 これについては一つ、違った答えを用意できそうだ。




 その後、俺は管理局に向かい、目当ての会議棟へと向かった。

 そこは大きな建物に囲まれた二階建ての建物で、周囲の建物の二階と通路でつながった奇妙な作りをしている。

 建物の白い壁にはった装飾が施され、仰々(ぎょうぎょう)しい雰囲気ふんいきを持たせてある。──窓には硝子ガラスめられ、外の明かりをふんだんに取り入れる作りになっていた。


 建物に入ると、その先の広間に数名の職員が居て、俺は案内されるまま、二階の会議室へと連れて行かれた。

 そこには長テーブルが向かい合うように置かれ、数名の若い職員やメリッサらが椅子に腰掛け、資料に目を通している。


「良く来てくれました、オーディスワイアさん」

 彼女は俺が会議室に入って来たのを知ると、そう声を掛けてきて、長テーブルの上に置かれた一塊ひとかたまりの資料を俺に渡してきた。


「間もなく七……五賢者の中の三名の方が来られるので、何か意見があれば──」

 俺は首を横に振り、この短時間では、一つの案しか持って来られなかったと、一本の鉄線ワイヤーと、その鉄線を束ねて作ったロープを見せる。


「これは?」

「見ての通り、金属製のひもと、それを束ねて作った縄だ。これを新技術として提案する。『鋼糸(かいこ)』の糸よりも簡単に入手できるし、何より太く丈夫だ。これなら、普通の縄よりも長持ちするし、加重にも堪えられるだろう。錬成容器を使って作る方法は、ここに書いて来た」

 そう言いながら紙を一枚、彼女に見せる。


「じゃ、後はよろしく」

 そう言って立ち去ろうとする俺のそでを、ぐっと掴んで、彼女は声に力を込める。


「五賢者の方が来るので、あなたの、口から、説明して下さい……!」

「はい……」

 俺は彼女の気迫にされ、そう応えたのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ