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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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神の力を高める二つ目の方法

「お疲れ様でした、オーディスワイア」

 目覚めると──そこには、アリエイラが居た。

 いや、反対側を見ると、そこにはミーナヴァルズの姿もある。

 いつの間にか、精神世界に入り込んでいた。


 ……寝そべっている俺の身体の上──胸の上にライムが、お腹の方には子猫達が固まって眠っている。

 相変わらず、眠ったまま目を覚まさない猫達。

 ここ(上位精神世界)では、動物の精神──あるいは霊は、活動できないのだ。




 今日のライムは、俺が無事に帰って来たのがよほど嬉しかったのか、ずっと俺のそばに居ようとして来た。

 風呂場に行く時も付いて来たし、風呂を上がると、戸口の前で子猫も一緒に俺が出て来るのを待っていた(何故か、メイも子猫の側に居た)ほどだ。


 部屋にまで猫達は付いて来ると、メイに自分の部屋に戻るよう言いつけて、仕方なく俺は、部屋に猫達を入れて、横になる事にしたのだった。




「それにしても、今日のお前は──我々の期待を超えた成果を出して見せたな、さすがじゃ」

 火の神はそう言うと、胸の上で寝ていたライムをつまみ上げて、自分の膝の上に寝かせる。

 俺が上半身を起こすと、腹の上に居た子猫達がコロコロと転がり、太股の上で眠りこけてしまう。

 彼らを丁寧に並べて寝かしてやると、俺はアリエイラとミーナヴァルズを交互に見る。


 いつもの様に火の神は露出ろしゅつの多い朱色の薄布を羽織り、水の神は青い色の上着やスカートをいていた。


 アリエイラは子猫の一匹をそっと抱き上げる。

 青い毛の混じった子猫は、ぐっすりと眠ったまま女神のてのひらに収まって、かすかに上下に動いて呼吸している。


「オーディスワイアよ」

 唐突にミーナヴァルズが声を掛けてくる。

「あの台座──我らの力を封入した神結晶の力を引き上げた、あの台座と同じ様な物を、また作ってくれぬか」

「あの台座は今、ミスランの中央にある結界柱の元に置かれていますが、四つの都市にある結界柱にも、各都市を治める神の力を引き上げる、神結晶付きの台座を設置したいのです」

 アリエイラが続きを言うとミーナヴァルズも、その後を続ける。


「そうして四つの都市に神結晶の台座を設置すれば、我らの力は増幅され、新たな転移門を開く力、また──他の大地を探索する力も広がるであろう、と言うわけじゃ」

 なるほど、と納得しつつ、神結晶そのものの力を吸収するよりも効率が良いのかと尋ねた。


「そうですね。おそらく、二倍近い精霊力を得られると思います。──ただ、神結晶の力を増幅して吸収する台座を作っても、神結晶は吸収の度に失われてしまいますが」

 四大神力珠の台座は、四つの力の安定を目指したが、一つ一つの属性力を引き上げる台座を作るのは──比較的簡単だ。


「分かりました。時間が空いた時に神結晶の力を研究してみます」

 そう応えると、二柱ふたはしらの神は「よろしく頼む(お願いします)」と言って、小さな神結晶をいくつか送る事を約束する。


 神結晶は冒険先で入手すると、全て管理局に買い取られ、集められているので、市内には出回らない。いわば神が、この大地を維持する為に使う活動力エネルギー変換へんかんされるのだ。


「海のある大地に転移門を使わずに行けるようになれば、その分、他の事に力を使えるからな。今回の件は実に大きな進展だ。──その為に、お前には大きな負担を掛ける事になったが」

 火の神はそう言うと、すすっと身を寄せて来る。

「お前の気苦労をぬぐう為に、我のみやこに来るがいい。せいぜい持て成してやるぞ?」

 そっと肩に手を置き、顔を近づける女神。


「ミーナヴァルズ」

 警告を含んだ鋭い言葉が飛ぶ。

「それ以上オーディスワイア近づくのは止めなさい。あなたの体温で彼の肌が火傷やけどしてしまいます」

 水の神アリエイラの言葉を鼻で笑う火の神ミーナヴァルズ。


「はっ、何を言うか。我の肌の温もりをオーディスワイアが愉しまなかった訳があるまい。火傷どころか、進んで我を強く抱き締めたものよ」

 火の神の言葉に、周囲の温度が下がった気がした。

 精神世界で物理的な現象が、どういった意味を持つのかは分からないが。


「そ、そうですか。──なるほど? あなたの奔放ほんぽうさはウンディードにまで鳴り響くくらいですから、多くの男と、その様な関係を迫ったのでしょうね?」

 ピリつく空気。──しんと静まり返った周囲に、猫達の寝息だけが、静かに響く。


 不意に、鳥の羽音が聞こえ、青と緑色の羽を持つ鳥が近くの地面に降り立った。


「おやおや、これはこれは、水の神さまに火の神さま。おひさしぶりでございます。ええ」

 鳥は何度も頭を大きく縦に振り、身体も大きく上下に揺らす。

「ふたはしらの神さまを前に、しつれいします──わたくしのあるじが、そちらの──ええと、そう。オーディスワイアに伝えたいことがあるというので、ええ。わたくし、その言葉を持ってまいりました」


 鳥は一呼吸置くと、呆然ぼうぜんとする二柱の神を置いて、風の神ラホルスの言葉を一気にしゃべったのであった……

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