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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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三人の冒険者

高評価ありがとうございます! 嬉しいです。

 ダリア達は小さな丸テーブルを囲んで、食事を食べている。椅子には座らずに、立食会合(パーティー)雰囲気ふんいきを楽しんでいる様だ。


「お疲れさん。聞いた話だと、三人だけで竜を討伐したそうだな? 素材も分けてくれるとか──いいのか?」

「ええ、もちろん。私の魔法の剣を作る時のお代分ですが」

 とラピスが応える。

「なるほど、そうだった」


 うちの旅団員の戦い方はどうだったかとたずねる。

初陣ういじんにしては良い方だと思うね。特に、最後の魔法剣の挟撃きょうげきは、息が合ってないと使えない技だろうし。リトキスと……カーリア? だったかな? カーリアは──まだまだこれからって部分もあるけれど、魔法剣の威力はかなり強力みたいだ」

 ダリアはいかにも先輩冒険者らしい意見をくれる。


 しばらくそこで、三人と飲み食いしながら冒険についての話を聞き、客観的に「黒き錬金鍛冶の旅団」の実力を把握はあくしようとした。

 ラピスもフレジアも、今回の竜狩りに参加して、うちの旅団実力の高さを再確認したらしい。


「最近関わった旅団の冒険者達の中でも、『黒き錬金鍛冶の旅団』の冒険者──特に若手は、ずば抜けた実力を持っていると思いますよ。魔法の剣などの装備品も一級品ですし。私個人の意見では、あの『金色狼こんじきおおかみの旅団』よりも格上だと考えています」

 ラピスの言葉に、二人の仲間達も「うんうん」という感じでうなずいている。


「私も、そう思う。……まあ『金色狼』は最近、特にヒドいみたいだし。──あの『無双の太刀たち』レオシェルドが抜けたらしいし」

 フレジアはそう言って、炙り焼き肉(ローストビーフ)はさんだパンを食べる。


 レオシェルドが旅団を抜けた。その話は初めて聞いたが、今まで「金色狼の旅団」を抜けずにいたのは、あいつの義理堅さゆえだと思っていたが……ついに、あいつも愛想を尽かして出て行く事にしたのだろうか。


「そうか、それはありがたい言葉だ。これからもちょくちょく、うちの旅団の冒険に参加してくれ。きっと、団員達の良い刺激になるだろう」

 フレジアが急に足下を見ると、ひょいっと下から何かを持ち上げて、そばにあった椅子に座り、膝の上にそれを置く。

 見ると、スカートの上に子猫が乗っている。この少女は本当に動物に好かれる体質をしているらしい。


「私はミスランに居る時は、ここの旅団に来る事にしてるよ」

 子猫をでながらフレジアは応えた。

 彼女はメイやユナともすっかり仲良しになっていた。今回の竜狩りが、互いの実力を認め合うものになったのではないだろうか。


 彼女らは年齢こそ低いが、自分の実力をひけらかしたり、それでおごり高ぶる様な──幼稚ようちな精神は持ち合わせてはいなかった。


 人の優勢は、永遠では無い。

 生者必滅せいじゃひつめつ盛者必衰じょうしゃひっすい

 それを理解しない者をおろか者と言う。


 まともな冒険者や戦士なら、その事は身にみて良く知っているものだ。

(俺の場合、少しの油断で片脚を失うまでも無く、その事を知っていたからこそ──泣きわめく事もせず、その現実を受け入れられたのだ)


 自らの経験で無くとも、周囲に居る知人や、共に戦う者が傷つき倒れる。その姿を見ても、自分は大丈夫、などと思う者は──思考力や想像力を持ち合わせてはいないのではないか。


 自分の興味ある事にしか反応を示さないメイではあるが、そうした事をわきまえている分、まだマシなのかもしれない。

 少なくとも彼女は、他人を思いやる気持ちを持っているのだから。


 猫を可愛がるフレジア。姉の方は竜の内臓を煮込んだ料理を食べながら、魔法の大剣や、妹の魔法の手斧の出来を誉めてくれた。


「いや──、今回の竜の討伐は、これのお陰でかなり短時間で決着が付いたよ。早いところラピスの分も作って欲しいが……金と素材がなぁ」

「まあ、今回の竜素材で結構な金額にはなると思うが──三つの属性を持つ魔法の剣は、少し割高になるからな。霊晶石を採取さいしゅしてくれれば、それなりの金額分にはしてやれるぞ?」


 彼女らとそんな話をしていると、メイとユナがやって来て、フレジアに挨拶をする。

 なにやらソワソワとした二人に引っ張られて、小さな丸テーブルを囲む事になった。


「な、なんだなんだ。急に、どうした」

 彼女らは真剣な表情で訴えてきた。

「旅団長、冒険に出られるようになったって本当? なら、一緒に冒険に行こうよ」

「お? ぁあ……そういう話か」

 今回の「海の中の島」での活動報告を聞いて、俺も一緒に戦闘をおこなったと、誰かから聞いたのだろう。


「いやぁ……冒険は無理だな、そんな気力が無いよ。以前の様には行かないさ。錬金鍛冶師として冒険者を支えようと決めたからな。──まあ、たまには、気分を変えて冒険──というか、採取にでも出掛けるかもしれないが」

 ユナとメイは、がっかりした顔をする。


「まあ、そのうちな」

 そんな言葉を告げて、今日の宴会はお開きとなった。

盛者必衰など、上から目線でうっとうしいなあ、などと思う人もいるかもしれませんが、敢えて言います。

知識として「知っている」事と、心に「刻み付けて理解して」いる事とは違うのです。

昨今のコロナ関係の自粛で言えば、知っているけど警戒もせずに出掛けている人と、ちゃんと警戒して行動を控えている人の差で言い表せると思います。

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