迎賓館 ー女神の誘惑ー
今回は少しアダルティー(笑) な内容なのでご注意を。
迎賓館の広い敷地には数々の施設が完備されている──その中でも最も目を引くのが庭園であろう。
様々な植物が植えられ花を咲かせる、それらの中に、女神や蛇の彫像などが置かれ、噴水には水を司る竜の彫像。庭園の左右にはそれぞれ風の神の彫像(鳥の姿)と、地の神の彫像(戦士の姿)が飾られている。
この世界を表しているのだろうか、庭の芝生には小鳥達の姿もあり、なんとも生き生きとした生命に満ち溢れる庭園となっていた。
俺とユナ、メイの三人は同じ部屋で話をし、食事を取りながら(意外というか何というか、どちらかというと質素な食事が用意された)これからの事や、俺の冒険者時代の話などをして夜まで過ごし、浴場で汗を流すとそれぞれ別の部屋で眠る事にする。
ミスランの鍛冶付きの家の寝床とは比べものにならない大きさの、寝台の上に横になっていると──ドアを叩く音が聞こえ、ユナ達かと思いドアを開けると、そこには火の神──もちろん女神の姿をした方の──が立っていた。
しかもお付きの巫女も居ない。
「邪魔をするぞ」
女神は自らの口でそう喋り、俺の横を通って部屋の中へ入って来た。格式張った遣り取りを捨てて、話をする気なのだろうとぼんやり考えながら、女神が寝台の端に腰掛けると俺はその前に立った。
「なにを突っ立っておる。ここはお前の寝室ではないか、くつろぐが良い」
火の神が高級感のある白いシーツが掛けられた布団をぽんぽんと叩き、横に座るよう促してくる。
俺は溜め息を吐き、彼女の指示に逆らう事はせず、少し離れて寝台に腰掛ける。
しかし例の仮面を付けた女神は、薄い絹の寝間着を羽織っただけの格好で現れたので、健康的に日焼けをしたかの様な艶めかしい肌を晒しており、大きく開いた胸元からは美しい形をした豊乳がちらちらと見えてしまう。いかんと思いながらも視線が吸い寄せられてしまう。
「それにしても竜の吐く炎にすら耐えたと言われる三勇士の一人が、ああもあっさりと膝を屈するとは、些か拍子抜けと言わざるを得ない」
「あのですね、冒険に出る時はそれなりの装備をして行くものなのですよ。それを普段着姿の俺に言われても困ります──というか、危うく死にかけましたよ。殺す気ですか」
俺が不満を露にすると女神は「ふふふふふ」と声を潜めて笑い、真っ赤な仮面の向こうからこちらを見つめる仕種をすると、寝台に膝を乗せ、前屈みの格好でじりじりと躙り寄って来る。
「ちょっ……!」
「あの時のお前の顔を思い出すと、何やら胸の辺りが疼くのよ。あぁ、意地の悪い事とは思うが、愛する者が堪え忍ぶ姿というのも、また一興であるものなのだな」
「その考えは変態的、または件の連中の様な地位に身を落としますよ」
俺がそう警告すると、彼女は急に俺を柔らかい布団の上に押し倒し、馬乗りになって俺の腰に跨がる。
「いいや、彼奴等の様な妬みや優越感など持ち合わせておらぬ、只の愛欲よ」
「神様がそれを言うのはどうなんですかね」
俺は何とか逃れようとするが、腕を押さえつける力は女性のそれではない。
「なに、この体で居るとそういう気にもなるものだ。お前はこういった体付きが好みだと思うていたが、違ったかな?」
彼女はそう言いながら寝間着を脱ぎ捨てる。
「ぉ……俺の知る神話では、大抵女神の裸を見たりすると碌な事にはならないので──」
女神は呵々と笑い、淫らな笑みを口元に浮かべる。
「お前の言う『神話』を我は知らぬ。少なくとも我の知る『事実』では、神と人が交わりを持ったところで何も起きぬわ」
「散々自分を母だ。我が子だと語っておいてそれですか、挙げ句焼き殺そうとするわ……酷い神様も居たものですね」
女神……ミーナヴァルズは少し寂しげな表情を浮かべる。
「そう言うな、お前は厳密には我が子とは呼べぬ。だがな、お前のしてきた行いは、我等の子供と変わらぬのだ。それを『我が子』と読んでいたに過ぎぬ。お前は異邦人、外の世界の子、それで満足か? ならば早う抱け、意地の悪い男よな其方は」
彼女はそっと俺に覆い被さると柔らかな乳房を俺の体に押しつけ、俺の手を掴むと自分の臀部へと誘うのだった……
女神の言葉から推測すると──?
「オーディスワイアは異世界の人間だったのだよ‼」
「な、なんだって──⁉」
みたいな感じか。 でも今までのオーディスワイアの台詞を纏めると……
結構ヒントは出ていたりする(分かる人には分かる)。




