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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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大地の接合へ向けて

あれ? 昨日投稿したと思ったのに、出来ていなかった……

 その後、驚いた事に──海底にあった神殿の周囲の地面が盛り上がり始め、転移門のある島から少し離れた場所に、もう一つ島が誕生する事となった。

 それほど大きな島では無いが、神殿の外へ出て来た大蟹おおがにのエウシュアットアが、はさみで地面を叩くと、地面の状態があっと言う間に変化し、石ばかりの土地に土が生まれ、草花がすくすくと成長すると──島全体に緑が宿り、新しい命の芽吹きに満ちた島へと変化したのだ。


 空に浮かぶ陽光が、海の神(エウシュアットア)の青々とした甲殻を美しく照らし出す。

 大きな螯を持ち上げて二度、三度と螯を打ち鳴らすと、空に白い雲が浮かんで、霧吹きの様に細かい雨を島全体に降らせる。


 海岸沿いには真っ白な砂浜が広がり、周囲の状況は見る間に変化してしまった。──まるで魔法……いや。これは魔法を超えた、神的権能の発現だろう。


「いや──、すごい変わり様だね」

 リゼミラが白い砂浜に立つと、そんな感想をらす。


 海は相変わらず穏やかで、空もあおく晴れ渡っている。新たに浮かび上がった陸地には、新たな命に満ち、明るく輝く道を指し示している啓示けいじの様に感じていた。




「ところで、何故この大地がある事に気づいたのか? そして、この大地とつなげたいという事であったが……どういう理由によるものか」

 エウシュアットアの疑問に、俺やアディー、そして四つの属性神も加わって話し合いがおこなわれた。


 フォロスハートには人々が多く住んでいるが、塩や食料の供給に問題があり、この土地との接点を持つ事で、安定した食料の確保をしたい、という望みを訴える。


「……なるほど、わかった。そちらの大地のそばへ、この大地を移動させ、物理的に繋げようと言うのだな。それは構わないが……こちらとそちらでは、微妙に気候が違うだろう。大地の周囲に張っている結界けっかいことなるものであるだろうし──それについては、どの様に考えているのか?」


 この問題については、俺がおもに話を進める事になったが──あくまで、仮の話だという前置きをして──エウシュアットアには納得してもらった。


「なるほど、二つの大地の間に橋をけるわけか。それなら、結界を二つに分け、気候などの環境も影響し合わずに済む」

「細かな部分は管理局との話し合いを通して行われるので、実際どうなるか分かりませんが……おそらく、いま説明した様な内容のものにまとまるでしょう」


 地の神ウル=オギトも、互いの大地の間を空けて接続する方が良いだろうとう。

「二つの大地の間に、外側に飛び出した岩場を作って、そこに橋を架けると良いだろう」

 こうして、大地の接合についての相談が終わると、最後にエウシュアットアが──こんな事を言い出した。


「そういえば、一つ思い出した。──私の親しくしていた友も海の神なのだが、混沌に世界がみ込まれる直前まで、あの者と念話ねんわで話していたのだ。もし、あの者も無事なら、フォロスハートに導いてやって欲しい。あの者は南の海を治めていた。私の管理する海とは違い──暑い、常夏とこなつの海を管理していたのだ。──そなたらの役にも立つだろう」

 エウシュアットアによると、その南の海の神は女神であり、エウシュアットアやエウシュマージアと違い、強力な力を持っていたと言う。


 四大神は、そうした大地を見つけたら管理局に報告しよう、と告げる。

 こうして俺達は一旦いったん、ミスランへ戻って、管理局に話を通したり、旅団の仲間達に事の経緯けいいを説明する事にした。


 *****


 俺は仲間達と別れて、レーチェと共に管理局へ報告しに行く事になった。──俺の手には四大神力珠の台座がしまわれた箱があり、それはミスランの中央にある、大地を守る結界を作り出す、柱の元に預けられる事になるだろうと神々は言う。

 なんでも、この台座の力で結界の力も安定させる事が出来るらしい。


 元々、結界を構築する術式を応用し、神々の力を安定させる為に作り出した台座なので、そうした使い方をした方がいいのかもしれない。


「今回は本当にお疲れ様でした」

 レーチェが隣を歩きながら、怪我は無いかと尋ねる。

「それは、こっちの台詞せりふだぞ。あの混沌こんとんの毒の牙──あれを喰らった時のお前の悲鳴を聞いて、心臓がつぶれるかと思ったほどだ」


 彼女は無意識に肩などに触れ、痛みを思い出したみたいに恐怖に顔を強張こわばらせる。


「お恥ずかしいですわ。あの時の事は、苦痛で良く覚えていないのです」

 それにしても、そんなにも心配してくれたのですか? と俺の顔を覗き込む様に見る。

「当たり前だろ。声を掛けるのも躊躇ためらわれるくらいの、悲痛な叫びだった。──もう二度と聞きたく無い」

 俺の言葉に、何故か顔を赤らめるレーチェ。


「そ、そうですか……これからは気をつけますわ」

 頼む。と彼女に言いつつ、今回、無事に帰って来れたのは、神々の力のお陰だと思っていた。

 なにしろ、戦いの後に「身代わりの護符」を調べてみたら、リーファ以外の護符が砕けていたのだ。


 それほど混沌に操られた神エウシュマージアとの戦闘は危険な物だったのだ。──全員が生きて、五体満足で戻れた幸運に、神に感謝すると共に。仲間達を守る、新たな装備をもっと積極的に作っていかなければならない、そんな風に思うのだった。

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