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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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地の化身エウシュマージア

 盾を構えたレーチェや、防御姿勢を取ったリーファが前に飛び出して、赤黒い光の玉を受け止めようとする。


「だめっ!」

 水の神アリエイラの声が聞こえた。

 その瞬間、アディーの持っていた台座から光が飛び出し、俺達の周りを障壁しょうへきまもる風の神ラホルスと、水の神アリエイラの幻影が現れたのだ。


 赤黒い光の玉が爆発し、大きな音と共に周辺の地面をえぐる。

 地面に落ちていた石が砕け、地面の一部が煙りを上げて溶け出していた。

 見た事の無い魔法、見た事の無い力。

 弱ってきているとはいえ、相手は神なのだと、改めて思い直す。


「これは……俺達の安全の為にも、早々に決着を付けるべきだな」

 リゼミラにそう訴えると、女戦士は大きくうなずく。

「わかった、私が連撃を使って気を引こう。その間に、あんたは背中の()()を」

 今度は俺が頷く。

 互いの意志が決まると、俺とリゼミラの二人で、半人半蛇の魔物と化した神、エウシュマージアへ駆け出して行く。




 二本の剣を胸の前で十字に構えると、リゼミラは瞬迅を使って左右に素早く移動しながら、敵に近づいて行く。

 左右に素早い動きで移動する相手に翻弄ほんろうされ、エウシュマージアもズルズルと後退しながら、警戒した様子で防御の構えを取る。


攻撃に移ったリゼミラの、鋭い多段攻撃を剣で受け止めながら、防戦一方になる魔物エウシュマージア

 この好機チャンスを逃がさない。


 俺は全身に溜めた気をまとい、瞬迅で前に駆け出すと、二歩で相手の間合いに近づき、そこからんで背中の水晶めがけて剣を振り下ろす。

 剣に流れ込む気を破砕の力に変えて放つ一撃。

 大剣から重い斬撃と共に、打ち砕く重い衝撃が放たれる。


 金属音と、硝子ガラスが砕け散った様な音が辺りに響き渡った。


 水晶を砕かれた混沌の化け物が動きを止めた一瞬を狙って、リゼミラの連撃が相手の剣を二本とも弾き飛ばす。


「ゴァアぁあぁァッ‼」

 がっくりと、その場に前のめりになって倒れ、両手で地面をつかむエウシュマージア。

 俺は背中側から移動して、灰色の顔を持つ神の様子をうかがった。


『よ、よく。止めてくれた……だ、だが。最早もはや、私の力は……奪われつつある──い、いまなら、まだ……地の力を……エウシュアットアに、戻すことが……できる、だろゥ……は、はやく……わたシヲ、たおすノダ……』

 ボロボロと、身体の表面が崩れ落ちていく──しかし、背中に残った水晶が、再び暗い光を周囲から取り込み始めると、その崩壊ほうかいが徐々におさまり始める。


 どうやら混沌は、まだこの神を利用しようと考えているらしい。


「オーディス、あんたがやらないなら、あたしが……」

 前に進み出ようとするリゼミラを押さえ、俺はふところから一つの結晶を取り出した。

 ほのかに薄い青色の混じる、透明な結晶。


「あなたは混沌の侵蝕しんしょくえ、何とか神の力だけは守り抜いたのだろう。そんなあなたを、ただ打ち倒す様な真似まねを──俺は選びたくない。だから、この力に賭けようと思う」


 俺は大剣を地面に突き立てると、透明な結晶を上に放り投げて、身体の気を一点に集中する。


 青い光をとおす結晶が、エウシュマージアの身体に重なる瞬間を狙って、てのひらを突き出し、結晶を通して気を撃ち出す。


 結晶を通した気の爆発と衝撃が、青い光を発して、灰色と黒ににじんだエウシュマージアの身体と、混沌の力が集まりつつあった混沌の水晶を打ち砕き、消し去る。


 崩れ去り、ちりと化す半人半蛇体の中から──丸い、黄色にかがやく宝石の様な宝珠が現れた。

 それは空中に浮かび、神秘的な発光を放ってフワフワと浮いている。


「おお、この気配は……! エウシュマージア。無事であったか……!」

 後方の空から声が聞こえてくる。

 上空に浮かぶ水の中から、大きな青い蟹(エウシュアットア)が現れた。


 俺は宙に浮かぶ宝珠を手に取ると、エウシュアットアの元へと運ぶ。

「いったい、どうやって……」

 神が、俺に疑問を問い掛けようとした時、辺りの様子が変わり始めた。

「──今は、ここを出よう。この領域を支えていた混沌が消え去って行くようだ」


 俺やリゼミラ、レーチェ達は、大きなかにの脚に触れると、足元から湧き出した水に持ち上げられて、どんどん縦穴を上って行った。


 下の方を見ると、混沌領域が崩落を始め、見る間に黒い渦の中に飲み込まれて行き、その黒い渦すらも完全な黒い闇へと変わり、跡形も無く混沌は消失してしまったのだ。




「いったい、あの結晶は?」

 エウシュアットアに海底神殿まで連れ戻された俺達。

 リゼミラが結晶の事を尋ねてきた。


「あれは『混沌吸着結晶』と『霊晶石』を錬成して作り出した結晶だ。霊晶石は、魔法の剣に『対混沌攻撃力』を付与する時に使うと、成功率を上げる事からも、混沌から発生した物と精霊力融和も可能にする──いわば、均衡きんこうもたらす性質がある。それに、霊晶石は気とも調和する事から──」

 俺が、そこまで話すとリゼミラが言った。


「うん。さっぱりわからん」

 断言した女戦士の言葉に、一瞬、静寂せいじゃくが訪れ──皆が一斉に笑い出す。


「なにはともあれ、皆、無事で良かった」

 四大神力珠の台座から、アリエイラが幻影の姿で現れると、俺達の苦労をねぎらってくれた。


「よくやった、さすがは私の見込んだ戦士達だ」

 地の神ウル=オギトもそう言って手放しに喜ぶ。火の神と風の神も頷きながら見守っている。


「オーディスワイアと言ったか、お主には感謝せねば。力だけでも取り戻せればと思っていたエウシュマージアを、こうして取り戻せるとは思わなかった」

 エウシュアットアの話によると、宝珠の中には、自分から分離した後に生まれた、エウシュマージアとしての存在が眠りにいているらしい。


 今は、海の神の中に戻って眠りに就き、地の神としての力は、エウシュアットアが引き継いでいるが、いつかエウシュマージアが復活したら、地の神として、また海の大地を共に守ると言う。


 なにはともあれ、混沌の脅威は去り、「海の中の島」は混沌の侵略の魔の手から逃れる事が出来たのだ──

エウシュアットアとエウシュマージアは元々一つの神様なので、こんな内容です。

意味があるからそうなのですが、物語的には関係ありません(笑)

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