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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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混沌の攻撃

 リゼミラの攻撃を受けた大蛇──エウシュマージアの頭部が、ブスブスと音を立ててくすぶり続けている。下顎したあごを左右に割った口から、ボロボロと牙や──崩れた身体の一部が落下する。

 地面に落ちた肉は石と化していた。


 崩れ落ちる大蛇の身体。

 しかし、首の後ろに刺さった水晶に、周囲のにぶい光が集まると、その崩壊が治まった。


 リゼミラは、よろつきながらもリーファと共にレーチェを引きずって後退させ、脚や肩に突き刺さった灰色の牙を引き抜き、アディーに回復させる。


「くぅうぅぅっ……!」

 傷口はふさがるが、痛みはまだ残っているらしい。四大神力珠の台座から幻影となって現れた水の神アリエイラが、彼女の中の混沌の影響を取り除く。

 アリエイラの力で混沌の毒が中和され、レーチェは何とか立ち上がった。

「ありがとうございます、女神アリエイラ様」

 レーチェの言葉に黙ってうなずくと、女神は台座の中へと戻って行く。


 大蛇は崩壊した身体を修復し始める。──しかし、その姿は、先ほどの大きな腕を生やした大蛇では無く、蛇の胴体から、人間の上半身を生やした──半人半蛇の怪物へと変わっていた。


「だいぶちぢんだみたいだね」

 アディーから魔力回復薬をもらって飲んでいるリゼミラが言う。

「そのようだな……もう、無茶はするなよ」


 崩壊を起こした大蛇の身体は、大きさからすると、半分近くにまで小さくなっていた。人間の頭部や上半身は、俺達と変わらぬ大きさの物になっていた。


「グルるラァアァぁあァッ‼」

 灰色の肌をした人間の口から叫び声が響く。

 その手に暗く光る──紫色の魔力を集めると、ゆるやかにがった片刃の剣を二本、両手に生成し、ゆっくりとした動きでこちらに近づいて来る。


「ゴワぁあァアぁァッ!」

 開かれた口から恐ろしい咆哮ほうこうを放つ大蛇──地の化身エウシュマージア。

 蛇の下半身を左右に振りながら、ズルズルと地面をっている。


「まずは、俺にやらせてもらおうか」

 大剣を構えると、負傷したレーチェとリゼミラをアディーとリーファに任せ、エウラに四人の護衛を頼む。


 威圧的な気配を漂わせながら、半人半蛇の化け物は、二本の剣を振り回して襲い掛かって来た。

 金属音が鳴り響く。

 振るってきた剣を大剣で弾き返すと、思わぬ反撃を受けた、とでも言うみたいに蛇の下半身がズルズルと後退し、金色の眼を見開いた無表情の顔で、こちらをじっと見つめる。


 素早い剣の振りだが、攻撃に重さが無い。腕の力だけで振っている──まるで、()()()()()()の様に。そんな程度の攻撃だけなら、なんとかなりそうだ。

 後退した敵に一歩踏み出しながら、後方から振り下ろした剣の一撃で、相手の剣を叩き折ってやった。


 不用意に受け止めようとした剣の腹を断ち切り、その勢いのまま半歩進み出ると、今度は突きをお見舞いする。


 エウシュマージアは身体を回転させて突きをかわすと、その遠心力のまま、斬り掛かって来た。

 鋭い一撃だったが何とか避けて、こちらも回転しながら剣に気をまとわせ、「破砕撃」を相手の身体に叩き込む──


「なにっ⁉」

 なんと、折れた剣をこちらの大剣に突き出し、爆発を地面に向けて暴発させたのだ。

 爆発が蛇の身体の横で起き、地面をえぐると、周囲に土煙と小石を飛び散らせる。


「シャァアァァ──ッ!」

 人型の口から威嚇いかくの吐息がれる。

 毒気を持った息吹。

 それを避け、蛇から離れながら横へ、横へと回り込む。


 人間の上半身を持つ背中には、暗い色に光る水晶が刺さり、大蛇の背中にあった時とは違う、赤色を含んだ発光を放っていた。──その変化に、どんな意味があるかは分からないが。


 尻尾で殴りつけて来る瞬間を見計らい、前に進んで背中に回り込み、水晶を攻撃しようとしたが、身体を反転させて躱しながら、剣を振り下ろして攻撃してくる。

 折れた剣を放り捨てると、新たに一本の剣を生成し、迫って来た。

 正面に立つと、互いの連続攻撃が空を斬り、小さな傷を互いの身体に刻み込む。


「あたしらも加勢するぞ!」

 リゼミラとエウラが前線に加わる。

 三人に取り囲まれた怪物は、手にした二本の剣と尻尾で応戦していたが、劣勢に立たされると、さっと間合いを離して、魔法への集中を始める。


「まずいっ……! 止めろ!」

 一斉に襲い掛かったが、相手の魔法の始動が早く、黒い波動を撃ち出す攻撃を喰らって、後方に吹き飛ばされてしまった。


 回復したレーチェとリーファも、戦いに加わろうとしていた矢先に、衝撃波で後退させられる。

 威力はそれほどでも無いが、身体を締め付ける様な痛みが残り、力が入らない──


「『聖霊の祝福(プレアルカーマ)』!」

 アディーが瞬時に俺達の状態を見抜いて、状態回復魔法を使う。


 混沌の侵蝕しんしょくが取り除かれると、リゼミラとエウラが同時に攻撃に移り、半人半蛇の胴体と腕に傷を負わせた。


 ところが、さらに敵は魔法への集中をおこなっていたらしい。背中の水晶が赤と紫の光を放つと、二本の剣を地面に突き刺したエウシュマージアが両手を突き上げ、その手の先に赤黒い光のかたまりを発生させて、それを俺達に向かって撃ち出して来たのだ。

オーディスワイアが魔法剣を使った描写を「破砕撃」に変更しました。

オーディスワイアの剣は魔法の剣では無いので、魔法剣は使えないのを失念していました……;


誤字報告ありがとうございます。

「よろめく」は「よろつく」よりも正しい読みなのかもしれないと思いつつ、俗的な響きの「よろつく」を採用する事にしました。──しかし、再度検討してみたいと思います。

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