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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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混沌に蝕まれし神

混沌領域の不気味さをけと思ったら、上手く表現できん! 力不足ですみません……

 暗い穴の中に飛び込んだ俺や、リゼミラに、レーチェら六人。

 その背後から神々の幻影が付いて来て、アディーの手にする四大神力珠が収まった台座に、光となって溶け込むのが見えた。


 ゆっくりとした落下速度。

 落下傘パラシュートで敵地に降りて行く空挺くうてい部隊の心境だ。

 その先に居るのは──恐るべき敵。


 海の神の半身であり、地の力をつかさど化身けしん

 今は、混沌こんとんに侵され、正気を失った魔物と化している。

 俺達は、神の力も借りて、その荒ぶる神をしずめに行くのだ。


 失敗など考えていない。──全力を尽くして戦いに勝つ。

 それだけだ。

 冒険者時代の覚悟であり、錬金鍛冶師としての心得でもある。

 この訓戒を心に刻んで物事にのぞむのだ。そうすれば、躊躇ためらい迷う事は無い。


 闇に包まれた縦穴の底が見えてきた。

 頭上を振り返れば、そこには水が押し寄せて来ていた。それは落下せずに、さざ波を打ちながらゆっくりと、こちらの落下に合わせて付いて来ている。

 この水が、混沌の侵蝕しんしょくから、海のある大地を守っていたのだろう。


 あの大蟹おおがに──エウシュアットアが守り抜いた世界。


 誰のためでも無く、孤独の中でしのんでいた神。いつかは人間や、他の神と出会える事を信じて、あの大地を守っていたのではないだろうか。

 そう考えると俺は、あの神様の分も背負って戦う覚悟を持った。


 例え片脚が義足であっても、俺にはやらなければならない事がある。

 フォロスハートに、新しい命の息吹いぶきもたらす為に──必ず、成しげてみせる。俺は暗闇の底に着地すると、そう心にちかった。




 暗い、暗い──闇の底は、どんよりとしたにぶい光に包まれていた……薄暗い世界。黒の中に流れる紫や赤の発光。

 人の気持ちを不安にむしばむ、気味の悪い配色の空間。

 その先に──黒いうずがある。


「あれか」

 リゼミラが二本の剣を抜く。

 長年()った冒険者の一人として、俺には感じられるのだ。

 この女戦士は、かつて無いほどに──闘志をその身に、その魂にみなぎらせている。


 ビリビリと、空気を伝播でんぱしそうな気迫。

 こちらもその気迫に圧倒され──そして、鼓舞こぶされている。


「やるか」

 俺も背負った大剣を構えながら、リゼミラの気迫に呼応こおうする。

 仲間達も次々に武器を構え、進むべき道の無い闇の中にうごめく──大きな渦に向かって歩き出す。


 空中に渦を巻く暗黒がある。

 それは黒い雲、または噴煙ふんえんだ。

 その渦の中央に、何かが居る。

 それはぐるぐると円を描いて、目を開く。


 大きな蛇だ。

 ただし、開いた目は、蛇の物では無い。

 蛇の頭部に人の顔らしき物があり、その目が開いたのだ。

 金色に輝く眼。


 大きな蛇が、ガタガタ、ゴロゴロと騒音をき散らしながら、渦の中からこちらに向かって進んで来る。

 蛇の頭部にある人の顔らしき物が目を閉ざし、代わりに蛇の大きな赤い眼が開けられた。


「ギョワァぁあァアぁ……」

 大気をふるわす奇怪な叫び声を上げる大きな黒い蛇。体中のうろこが紫色に不気味に光る。

 鱗の間から赤や青い暗い光が覗き見えた。


 周囲の闇を取り込みながら、ズルズルとすべり、こちらへ向かって来たそれは、六人の前で立ち上がると──首の部分からとげの付いた触手を数本出し、大きく口を開いておそい掛かって来たのだ。


 全身から棘を生やし、固い鱗で身を守る不気味な大蛇。それは、かつて海の神の力の一部であった地の化身。

 大地を蝕む存在と成り果てた、けがれた存在となっていた。


 こちらには「対混沌攻撃力」と──()()()()()()()()()()()()()がある。

 俺は、それをふところに忍ばせている。


「だが──まずは、全力で混沌の侵蝕を叩いてやろう」

 俺とリゼミラは仲間達よりも先に前に進み出ると、地の化身に立ち向かって行った。

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