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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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決戦前の覚悟

前話に書き忘れていた「象徴武具の作製」に関する部分を書き足しておきました。

──申し訳ありません。

『準備は整った様じゃな?』

 頭の中に女神の声が聞こえる。

「はい」

 俺は仲間達の武器を手にして、そう答えた。


 目を閉じるよう言われた言われた俺は、女神の言葉にしたがって目を閉じる。

 一瞬、身体が落下した様な感覚になったが、すぐに足が地面を踏み締めた。

「目を開けて良いぞ」

 女神の声が、目の前から聞こえてくる。


 そこは、白い壁に囲まれた場所。──様々な色の珊瑚さんごあわい光を発している奇妙な場所。

 白くぼんやりと光る女神の幻影の背後を見ると──仲間達が集まって、なにやら相談をしていた。


「待たせたな」

 俺が声を掛けると、武装した俺の姿を見て、レーチェやリゼミラがこくりとうなずく。

「あら、その足……」

 目敏めざとく足の変化に気づいたレーチェ。

「ああ、ちょうど、新しい義足を作り終えたところだったんだ。多少の運動性能の向上を図ったくらいだが。前の物よりは、動きやすくなっていると思う」

 俺の言葉にリゼミラが「それはいい」と口にする。


「また一緒に冒険が出来るね」

「いやいや──俺はもう、冒険に対する情熱とかは昔ほど無いな。きびしい戦いを繰り返す気力も無いよ」

 そう応えた俺に、リゼミラは「じじ臭い……」とつぶやく。

「何とでも言え」

 俺はばっさりと切り捨てた。




 仲間達の背後に、大きな灰色の岩のかたまりがある。荘厳そうごん雰囲気ふんいきの中にある、異質な巨岩。

「あの岩が、ここの神様ですよ」とアディーディンクが耳打ちする。

 俺は「へえ」と返事しながら、リゼミラやレーチェ達に武器を手渡して行く。


「対混沌(こんとん)攻撃力は付与してある。それと──これも持っていろ」

 俺は物入れ(ポケット)から、透明な小さい結晶の塊を取り出して、全員に持たせた。

「うちの徒弟に錬成させたんだが、強力な攻撃をらっても、その結晶が身代わりになって損害ダメージを引き受ける護符だ。念の為に持っていろ」




 俺達は相談の結果、アディーが全員の防御や回復を担当し、その他の五人でエウシュマージアを攻撃する事になった。

 短時間で決着を着けないと、エウシュアットアに使った象徴武具の効果を、双神であるエウシュマージアも受ける事になる。

 これから向かう混沌の領域りょういきは、こちらとは時間のへだたりがある為、少しの猶予ゆうよがあるらしい。


「まずは、エウシュアットア様の力を回復し、異界──混沌への入り口を開いてもらいます。その後、僕が皆に攻撃強化、防御強化、魔法障壁などの補助魔法を掛けます。後は異界へ向かい、混沌に侵蝕しんしょくされた神を──弱らせるだけです」

 アディーはそう言ったが、神を相手にする畏怖いふの様な想いがあるのは明らかだった。


 レーチェやリーファにも同様の様子が見られる。

 エウラは落ち着いた表情で立っているが、魔剣の柄を握り締め、武者震いを抑え込んでいるみたいだった。

 ──リゼミラは、むしろワクワクしている様な、そんな前向きな感じさえ出し、二本の剣を手にして、これからのぞむ戦いへ闘志をたぎらせているみたいだった。


「みんな、聞いてくれ。──混沌に侵蝕されているとはいえ、神を相手にするのは気が引けるし、恐ろしいと感じているだろうが。ここでやらなければ、俺達は、せっかくの海を失う事になる。それは何としても阻止そししなければ。……全員、覚悟を決めてくれ」

 俺は皆にそう呼び掛けて、一人一人の目を見る。


「大丈夫じゃ、我等われらも力を貸すからな。お前達だけに無理をさせるつもりは無い」

 火の神ミーナヴァルズが言うと、彼女の横に居る、鳥の頭を持った法服ローブを着た風の神が頷く。

「そう。今回の問題は、人間だけの問題じゃない。神と、その大地を生かし続ける為の戦いになる。私達も力を尽くして、君達を守ろう」


 大きな巨人の幻影が、胡座あぐらをかいた格好で言った。

「戦士達に勝利の気運を」


 水の神アリエイラ──彼女は、水色の仮面付けた幻影の姿で静かに立ち、皆を見回すと、はっきりとした声で言葉をつむぐ。

「大丈夫です、私達はあなた方と共に。……混沌を打ち破りに行きましょう」




 俺は女神達から求められ、手にした神貴鉄鋼シルエヴァルリスの杖を振りかざす。水の神アリエイラも力を貸してくれて、海をつかさどる神エウシュアットアの力を増幅させる──


 光が杖から放たれると、周囲の珊瑚に共鳴するみたいに光が束ねられ、その暖かな光が神殿の中央にあった大岩に集まって行く。

 力を取り戻した海の神が立ち上がり、身体の表面をおおう岩を打ち砕き、灰色の石の塊の下から、水色や蒼い色に輝く美しい甲殻が現れた。

 表面につややかな光沢を持つ大きな蒼いかにが、その場を退いて、座り込んでいた床の黒い穴にはさみを突き立てる。


「さあ、行け。戦士達よ。私が異界への入り口を開き、侵蝕を抑え込んでいるうちに、我が半身を──倒してやってくれ」


 アディーは神の言葉を聞くと、全員に複数の魔法を一気に掛けて強化する。

 さらに四(はしら)の神が俺達六人に、それぞれの力で守る障壁を張り、アディーに「四大神力珠台座」を持たせて──俺達は異界の中へ向かって飛び込んだ。

身代わりになって損害を引き受ける「錬成品」から「護符」に変更しました。形は結晶に近いので、そのままです。

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