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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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双神と混沌

 義足が完成すると、予備の義足を作っておく──古い物も手入れをし、改良できる部分については新しい物に替えて、いつでも使えるようにはしておいた。


 徒弟とてい達の様子を見ると、鍛冶場のすみで売り出している武器や防具、装飾品などを作り、錬成台でいくつかの強化をおこなっている──

 集中しているのを邪魔する気は無い。


 俺は、余った素材などを倉庫の方に戻し、そのついでに倉庫の中の片づけを始める。




 倉庫での作業を始め、在庫の確認をしていると──急に背後から名前を呼ばれた気がして振り返る。

「あれ?」そこには誰も居ない。

 変だな。そう思ったが、気のせいだと考える事にして在庫の確認を……


『オーディスワイア、我の声が聞こえぬのか』

 はっとした。その声は火の神ミーナヴァルズのものだと、はっきり気がついた──が、彼女は今、都市フレイマから──俺の作った「四台神力珠の台座」を通して、別の大地の神と接触しているはずだ。


「女神……? もしかして、念話テレパシーですか?」

 俺が呼び掛けると、頭の片隅に女神の声が聞こえてくる。

『そうじゃ、今は──アリエイラが例の大地の神の話を聞いているところよ。それで、どうやら厄介やっかいな事になりそうじゃ……その厄介事の解決に、お前の力を借りる事になりそうじゃ』


 女神の話によると、あの大地を維持する神は、属性の異なる二つの力を持ち、そして双神として顕現けんげんしていたらしい。

 ところが、大地の力を持った半身が混沌こんとんおかされ、魔物に近い存在になってしまったのだという。


「それで……俺にどうしろと言うんです?」

『うむ。まずは、この水の力を持つエウシュアットアの力を回復させ、混沌の支配を受けている半身からの影響から守ってやる必要がある。そして──半身を倒す必要もありそうじゃ』

「半身を倒してしまったら、双神としての力を失うのでは?」

『いや、それは大丈夫らしい。エウシュアットアとエウシュマージアは、元々一つの神だったのじゃ。混沌からエウシュマージアを解放し、その力を再び一つに、元の状態に戻す事になる。そういうわけじゃ』


 しかし、混沌に汚染されたエウシュマージアから、混沌の支配力を除去するには──俺が作った「対混沌攻撃力」を付与した武器が必要になりそうだ、と女神は言う。


「エウシュマージアを傷つけ、弱らせたところで、純粋な神の力だけをエウシュアットアが回収する。その為には、()()()()()()()()()()()()()()()事になる訳じゃが……」

 俺は、女神のその言葉に、即座に反対の意志を伝えた。


「そんな無茶な。神に対して挑む様なものではないですか。そんな危険な戦いに、仲間達を送り込むのは──反対です」

 女神は『うむ』と言った後で。

『しかし、リゼミラとアディーディンクは、この依頼に前向きであるようじゃぞ。その他の者達も、このまま海のある大地を失う訳にはいかんと、──そう考えているのは、言うまでも無いじゃろう』


 まったく、忌々(いまいま)しいクソ混沌め!

 俺は腹の中で呪詛じゅそを吐き、気持ちを落ち着けてから「分かりました」と返事をする。

 女神は、『安心せい、我等もお前達の力になるのだからな』と守護を約束してくれた。


「すぐに対混沌武器の作製に入りましょう。──期限は明日まででいいですか?」

『……いや、どうやらそんな猶予ゆうよは無いらしい。これから、すぐにでも用意してくれ』

 そんな無茶なと、俺はまた──そうつぶやく。


『今から、リゼミラ達の武器をそちらへ転移させる。それに錬成をしたら、我等を呼べ。そうしたら()()()()、こちらへ転移させるとしよう』

「俺もですか」

『お前の鍛冶技術だけで無く、戦いの技術も借りようと言うのが、ラホルスとウル=オギトの意見じゃ。……リゼミラもな。──まあ我も、その意見には賛同するが』

 無茶の上に無茶を言う神様達だ。

 しかし、仲間だけをきびしい戦いの場に送り込む訳にもいかない。


「……それでは、一時間ください。その間に、武器に錬成を施します」

 うむ、頼んだぞ。火の女神はそう言うと、俺の足下に仲間達の武器を転移させてきた。

 一時間以内に、リゼミラとレーチェの剣、そしてリーファの手袋グローブに「対混沌攻撃力」を付与し、俺の使う武器にも同様の作業をして──戦いの場へと向かう事になったのである。

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