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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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海底神殿に眠る者(アディーディンク視点)

いよいよ物語が大きく動き出します──たぶん──!

 白い石で建てられた神殿周囲は空気の膜が出来ていた。先頭を行くリゼが空気の膜に触れ、その中へと入って行く。

「……うん。中は空気があるよ」

 リゼが振り向いて、そう口にし手招きする。

 僕達は互いの顔を見るとうなずき合い、神殿をおおう結界の中へ入って行った。


 確かにそこには空気が存在している──周辺の様子を確認しながら、呼吸器を腰の革帯ベルトに付けた物入れにしまう。

 足下には神殿の入り口へと続く、灰色の石畳いしだたみがあり、その通路の両(すみ)みぞが掘られ、その中を水が流れて海へとつながっているようだ。


 どうやら神殿の奥からえず水が流れ、海に向かって流れ込んでいるらしい。何の為に水が流れているかは不明だが、僕達は慎重に、神殿の奥へと向かう事にする。


「見てディーディー、これ、珊瑚さんごじゃない?」

 リゼが柱の陰や、壁に設置された──青や緑色に光る物体を指差す。……確かに、それは珊瑚の様だ。ぼんやりとした光を放ち、壁や燭台しょくだいを置く台座の上に置かれていた。


 神殿の造りは単純で、柱と通路にみちびかれた一本道があるだけだ。その通路を照らす発光珊瑚が通路の両脇に設置され、神殿内をおごそかに照らし出している。

 柱に支えられた通路を進むと、奥にある大きな扉の前に辿たどり着いた。……他には何も無い。


「この奥に行く以外の道は無いようだね」

「大きさの割に、内部の構造は単純ですね」

 扉の両脇にある溝から、やはり水が流れて来ている。扉の奥から止めどなく流れ出ている水が、静かに、ちょろちょろと流れ続けている。


 大きな石の扉を開けるのは大変だった。

 全員の力で押し、何とか両開き扉の片側を、押し開ける事が出来た。

 まさか、リゼが全力で押してびくともしないとは……()()()()()が言うのもなんだが、そんな扉が、この世に存在するとは思わなかったのだ──




 開いた隙間すきまから奥へ向かうと、そこはそこは大きな広間だった。白色や青色、緑色や淡紅色ピンクなど、数々の色に光る珊瑚が、周囲の壁から生え出ているみたいだ。

 高い天井の上からは、どういう訳か、日の光に似た白い光が降り注いでいる。──ここは、地上の光が届かない、海の底だと言うのに。


 周囲の白い壁に設置──あるいは生え出ている珊瑚などを見ながら、広間の奥に向かう。

 そこには大きな灰色の岩が無造作に置かれていた。


 周囲の荘厳そうごんかつ、自然の美にあふれた建物の中に──忽然こつぜんと現れた大岩。まったく周囲にある物と不釣り合いなそれは、広間の中央にまつられているみたいにも見える。

「待って下さい、何か──おかしい」


 床を見ると、無数の小さな溝が掘られて、何かの図形を描いているみたいに見えたのだ。その溝の中を水が流れている。──その水は、どうやら岩の下から溢れ出ているらしい。

 リゼは警戒しながら岩に近づく。……すると。


『これは……人間──か? ぉお、人間が、生き残っていたのか……』

 神殿の広間に響く声。

 それ弱々しい老人の──男の声らしかった。


「なんだ、どこから聞こえている……?」

 皆は武器こそ構えなかったが、未知の声に呼び掛けられて驚いている。


『この大地には──人間は居なかった。守ってやりたかったが……私の管理する場所には、人間は()()、やって来てはいなかったのだ……おお、あの暗い混沌こんとんめが──』

 ゴリゴリゴリ、ゴゴゴゴゴッと音を立て、中央にあった大岩が動き始めた。

 それは──岩では無かった様だ。


 でこぼことした岩の部分が動き出すと、それは岩の甲殻を持った──巨大なかにの姿を現した。


『人間よ──主等ぬしら、どこからやって来たのだ』

 それは優しげな老人の声で、そう尋ねる。

「私達は──別の場所からやって来ました。あなたの大地を、どうか私達の住む場所に繋げ、海の恵を私達に与えて欲しいのです」

 僕はそう告げていた。

 ほとんど無意識に出た言葉だった。


『……そこには、人間が住んでいるのか──そうか。だが……私の力では──いや。今の()()では、主等にとって危険になるだろう。手を貸してやりたいのは山々だが……危険なのだ』

 そう言った岩蟹──の神。


 レーチェさんが進み出ると、持っていた木箱のふたを開け、リーファさんに箱を持たせると、その中に入っている神の力を封じた、宝玉の台座を取り出す。

 すると、その台座が光を放ち、その光の中から──大きな、巨人の戦士の幻影が現れた。


『この大地の神よ。私はウル=オギト。人間の住む大地を管理する四(はしら)の神の一柱なり、そなたの名前をうかがいたい』

 幻影を前にした大きな岩蟹は、目や口のあるらしい岩を動かして、身を正すみたいに脚を動かす。


『私は──エウシュアットア。海の神より、西の大海を管理する権限をたまわった者。小さな島々に住まう精霊達の統括とうかつをしていた──』

 そこまでしゃべると、蟹の下からゴボゴボと水が溢れ出し、大きな岩蟹は身をせて、床に腹を押し付ける。


『どうやら()()()()()、あなた方の力に反応して、目を覚まそうとしているらしい。残念ですが──あなた方は、ここから去った方が良い』

 エウシュアットアは身をちぢこまらせ、床に身体を押し付けたまま動かなくなる。


『どう言う事でしょうか』

 そう言って現れたのは、水色の仮面を付けた女性の幻影。


 巨人の横に現れた女性は──水の女神アリエイラ。

 彼女は大蟹と対峙たいじして、水の溢れるエウシュアットアの下を見つめていた。

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