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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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魔法の武器の作製依頼と「旋風炎竜」

ブックマーク数800。ありがとうございます〜

九十万PV達成! ありがとう~

 午後までに入った仕事は、錬成強化が数件だけだった。

 中級の転移門で集めた素材を持って来た──その若者は、人生をけるみたいな真剣な様子で、錬成をお願いしますと言って来た。


 伸び悩む冒険者が、なんとか現状を打開する策を考えて、錬金鍛冶師の所に来るのは昔からあるらしいが、伸び悩んだら旅に出て、別の転移門をめぐるか、初心に返る方が適切ではないだろうか。

 まあ、それを語るのは、その若者が所属する旅団の先輩なり、旅団長に当たる人物がおこなうべき事であろう。


 俺は彼から預かった長剣に複数の強化を行って、増加指数以上の結果を導き出した。これならあの若者の手助けになるだろう。




 ──一休みしようと考えていると、そこへダリアとフレジア、ラピスの三人が鍛冶屋にやって来たのだ。

 彼女らは、素材を入れた背嚢はいのうを背負っており、小柄な少女であるフレジアまでもが、身体に見合わぬ大きな背嚢に、多くの素材を入れて運んで来ていた。


「魔法の武器の素材、持って来たよ」

 ダリアはそう言って、机の上に大量の鉱石やら精霊石、霊晶石、魔力鉱石などを取り出す。

「おいおい、金鉱石まであるじゃないか」

「それは、武器を作る代金にしようと思って」


 ラピスやフレジアの背嚢からは、竜革や竜鱗りゅうりん禍々(まがまが)しい輝きを放つ朱色の大きな角や、鋭く尖った牙も出てきた。


「これは……フレイマ転移門に出る『旋風炎竜ファルレギアス』の素材か? まさか、三人だけで討伐したのか」

 俺が驚いて口にすると、ラピスが冷静な口調で「死にかけましたけれど」とつぶやく。


「いやぁ──『火竜ブラスラーグエングナス』を討伐しに行ったんだけど、出会ったのが旋風炎竜だったのさ。危険だと思ったけど、やるしかない状況だったから……」

 俺はあきれつつ、閃光弾に煙幕なども使って撤退てったいしろ、と忠告する。


「私はそのつもりでした」とラピス。

 フレジアも彼女の横で、こくこく、とうなずいている。

「いやぁ──、強敵を見ると、つい熱くなっちゃうんだよな」

 俺は盛大に溜め息を吐き出すと、「危険だな」と呟く。


「うちの旅団の若手達も明日、初めての竜種討伐にのぞむんだが。──お前らの力も借りようかと思ったが、止めた方が良さそうだ」

 私達は大丈夫ですよ、とラピスがフレジアの肩に手を置いて、ダリアから距離を取る。

「あ──、わかった。悪かったよ。もう、無茶はしないからさ」

 危うく親友にも、妹にも愛想を尽かされそうになったダリアが泣きを入れる。──とはいえ、まさかミスランで旋風炎竜の素材を見る事になろうとは。


「無事だったから良かったものの、あまり仲間に無茶をさせるもんじゃない」

 大人しく反省している様子のダリア。


 しかし、彼女に魔法の大剣を与えた後の事だ。彼女が魔法の武器を手にし、さらなる高みへ行けるのではと考えたとしても無理は無い。

 新たな技術の獲得、新たな挑戦は、常に不安や緊張と共に、高揚感こうようかんあふれているものだ。


「それで? この鉱石や精霊石で、誰の武器を作るんだ?」

 そう尋ねると、三人はあらかじめ話し合っていた結論を口にした。

「今回は、妹の──フレジアの手斧を。二本、作って欲しい」

「──分かった。フレジアの対応属性は……火と地属性だったか? 二本共に二つの属性を付けるとなると、その分、価格も高くなるが」

「そこは──ほら、旋風炎竜の素材と金鉱石でなんとか……」


 姉がモゴモゴと口にすると、妹はお願いしますと頭を下げる。

 俺は机の引き出しから紙を取り出して、それを少女に見せた。


「魔法の剣は、姉の使うのを見ただろうが、刃の部分が大きく伸び、そこから斬撃を撃ち出す事も出来るようになる。──斧は、刃が広がる形になるので二本同時に使うと、自分自身も危険になりかねないが、大丈夫か?」

 手斧の刃の部分からおうぎ状に広がる、魔法の刃の図面を見せる。形状によっては、魔法の刃の部分の大きさが、かなり変わった物になるだろう。


 少女フレジアは腰に下げた手斧を手にすると、俺から離れた場所で、二本の手斧を鮮やかに振り回して見せる。

 刃の先の部分が身体に向く事は無さそうだ。


「分かった、では大体の形状を決めておこうか」

 今回は意匠デザインもさる事ながら、旋風炎竜の素材を組み入れたつかさやとなる部分も作る。そう告げて、大まかな絵を描いて少女に見せた。


「大きさは、これより少し大きいくらいで」と手斧を一本、手渡してくる。

「了解。金属は──火と地だからな……真紅鉄鋼アウラバルカム黒銀鉄鋼グラズアルドの合金でやってみるか。やや暗い刃の色になるが、強度と柔軟性を持った壊れにくい金属になる」

 そう言って棚に置かれた短剣を見せる。


 真紅鉄鋼と黒銀鉄鋼の合金で作った短剣だ。

 フレジアは、その短剣を鞘から引き抜くと、指先で触ったり、叩いたりした後で「これでいいです」と応えた。

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