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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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冒険への準備

そろそろこの物語の結末へ、話が動き出すので──真面目な内容も増し増しですかね。

自分の書くものは、シリアス多めなので。面白いだけではなく、何か学べる機会を読んでいる人に与えられたら幸いですね。

 休日の朝。

 パンや生野菜サラダなどの軽食を口にすると、食堂で打ち合わせ(ミーティング)が始まる。

 食器を下げながら、こっそりとレーチェが「脱衣所の暖房機、ありがとうございました。団長」と声を掛けて来た。魔力結晶を消費するから、使い過ぎには注意しろと警告すると「分かっていますわ」と応え、自分の席へ着く。


 香草を加えた紅茶(ハーブティー)を口にしながら、各人がそれぞれの成すべき事について行動を起こそうとしていた。


 竜狩りへと向かう団員は、庭で訓練を開始する。初めて「竜棲の広原と森」に向かう者ばかりだ。

 緊張や不安もあるだろう。


 それを払拭ふっしょくすべく、体を動かして、どういった戦い方をするか頭の中で想像しながら、いざという時に俊敏しゅんびんな行動が取れるようにと、何度も訓練を重ねる。


「旅団長」と、メイが話し掛けてきた。

 今日の彼女は、普段の様な薄着では無く、防御効果もある上着やズボンなどを身にまとっている。

「竜のどういった行動に注意が必要? どういった時に、どこを攻撃するのがいい?」


 もちろん彼女はリトキスからそれらを聞いて学んでいるだろう。

 リトキス以外からも積極的に情報を取り入れ、柔軟じゅうなんに答えをみちびき出そうとしているのだ。


「そうだな──やはり、前面に立たない事だ。みつかれたら危ない、というか死ぬ。前足の長いものは、それで攻撃もしてくるが、体当たりや押しつぶし、尻尾による攻撃など。一切いっさい気は抜けないな」

 うん。と少女は答える。


 気づくと俺と少女メイの周辺に、カムイやユナ、エアネルやレンネル達も集まって来ていた。


「攻撃すべき瞬間は──すきが出来た時だが、相手の攻撃をかわして、ふところもぐり込んだり、側面に回り込んで攻撃するのがいい。人間と同じで、身体の内側に血管などが集まっている。特に鱗や硬い外皮よりも、腹部などを狙うのがいいだろう。脚の関節も狙い目だが、首や頭もいい。硬い部分には打撃が有効だが──うちには、ハンマーを扱う者が居ないからな……そこは、拳闘士のメイの出番だが……噛みつかれるなよ?」


 その後も仲間達に竜の頭を狙い、昏倒こんとうさせて倒れたら、首や腹部など柔らかい部分を狙うやり方をすすめた。

 メイの気による爆発的な衝撃を頭に打てれば、脳震盪のうしんとうを起こさせられるだろう。その為には、脚を狙って転がす必要がある訳だが。

「閃光弾や煙幕なども多めに持って行って、遠慮せず使え。予備ならいくらでも作ってやる」


 レンとエアが同時に「魔法剣が利くか」どうかと尋ねてくる。一応、アラストラが管理局に報告している情報によれば、「通常の魔法よりは高い効果が得られる」と記されていた事を説明する。


「魔法の剣や槍も、使い方次第(しだい)だろう。弱点や攻撃が有効な場所を見極めて戦うんだ」




 俺は出来るだけ彼らの求めに応じて答えてやったが、まずは鍛冶屋へ行かなければならない。

 鍛冶場に入ると、ケベルとサリエが鍛冶場の掃除を始めていた。


「ご苦労さん。──旅団の方が今日は休みになったんだが、明日から大変になるので、今日の内にやれる事はやっておこう」

 そう宣言すると、昨日、延べ棒の型に入れて置いた金属を取り出して、それを素材保管庫に運び入れた。

 ケベルは、そういった雑用を手伝おうとするが、徒弟達には掃除が終わったら、鍛冶場のすみにある販売所に置く商品を作らせる事にする。


「実力を上げて行く機会だ。しっかりと取り組むように」

 俺はそう言うと彼らの横に立って、一つ一つの作業をどのようにこなせば、良い物が出来るかを説明し、時には手を貸しながら、彼らの技術向上を図る。


 真に価値ある物とは、他者と共有できる事柄の中に。

 より良い力や技、知識や思想は、継承けいしょうされて行く事で、その価値を示す。

 これらのもの、あるいはそれ以外のものでも、独占されて良いものなど無い。


 独占も独善も、その根幹こんかんにあるものは同じ。


 小さき「個」の肥大よりも、大いなる魂の継承を求めよう。価値ある思想の流布るふこそが、人の人生足り得る。俺はそう考えている。


 俺の辿たどって来た道はいつも、世界の神秘と対決してきた哲学者や思想家達が居た。彼らは錬金術師と呼ばれ、あらゆる誤解や誤謬ごびゅうの元に迫害されてきた。


 だがそれは、()()()()()()()()()()()

 ここフォロスハートでは、錬金術は科学の一端である。


「我らは錬金術師という道を歩む孤独なる者。その道は険しく、無秩序の中にただ独り。──だが、()()()()()()()()()()()()()()()ゆえに、()()()()()()()()()()()()


 それは、こちらの錬金術の文献ぶんけんで読んだ一文。

 例え、この身がちても──受け継がれたものは不滅。


 それこそが、人の生ではないだろうか。

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