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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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期待と不安

高い評価をしてくれた方に感謝を~


少し固い内容が続いてるかな……現在の社会情勢が悪いんだ! 俺は悪くねぇ! ……みたいな事はさておき、少し自粛するくらいがなんだっていうんでしょうか。この状況が長く続くより、一時の我慢。どちらを取るかなど、考えるまでも無いでしょうに。

 そこには、四つの神結晶を一つにまとめる台座が置かれていた。

 日の光を受け、白銀色に輝く台座を見つめる四つの影。

 ぼんやりと感じるそれらは──大きく、力にあふれ、内在するものから流れ出る奔流ほんりゅうを、止める事が出来ずにいるみたいだ。


 丘の上にある、真っ白な大きな岩。

 その上に置かれた台座を見守る人影。

 彼らは四大神であった。


 自分は、丘の下から彼らを見上げている。

 その彼らの身体から、それぞれの色を象徴しょうちょうする発光気オーラが放たれて、目に見えているのだ。


「おう、来たか。オーディスワイアよ」

 そう言ったのは、この場に居る誰よりも屈強な身体を持った大きな男。軽装の鎧や籠手などを身に着け、腰からは大振りの剣を下げている。

 少し日に焼けた肌をした、銀色の短髪を後ろに撫でつけた──いかにも「戦士」という若者の姿で現れたのは、地の神ウル=オギトである。


「それにしても、この台座による精霊力の増加と安定は、フォロスハートの大地に掛けられた、都市をふくめた大きな結界の力にも匹敵する──範囲こそ、この台座に収められた神結晶のみに働くようだが」

 今度は、鳥の頭を持つ──緑色の法服ローブを纏う、風の神ラホルスが、感心しきりといった様子で何度もうなずいている。


「この力の増大は──うむ。これなら離れた地でも、それなりに大きな力もふるえるじゃろう」

 小麦色の肌をした美女──赤い薄衣を身に纏う、火の神ミーナヴァルズが腰に手を当て、感慨かんがい深げに台座を見つめる。


「オーディスワイア。よくやりました……しかし、あなたは丘の上に来ては駄目。今の私達は、この力の制御に精一杯なのです」

 少女の要素と、大人の女性の要素を持つ、水の神アリエイラが青い法服を身に纏って、こちらを見下ろしている。


 その身体からは、不思議な明滅を繰り返す青や、水色に輝く光が立ち上っている様だった。


「行きたくても、身体が動かないのです」

 俺は棒立ちのまま、丘の上を見上げる彫像だ。

 指先すら、動かす事が出来ずにいる。


 だが、不安も恐怖も無い。


 神々が俺の作った台座を中心に置き、話し合っている様子からは、焦りや逡巡しゅんじゅんは一切感じられ無かったからだ。


 四(はしら)の神は、その後も何事か話し合っていたが、俺の意識は緩やかにその場から離れて行った。

 まるで視界がせばまりながら、丘からゆっくりと遠ざかるみたいな感覚。自分が時間も空間も何もかもを失って、その場から離れて行くようだ。


 後ろに引っ張られているみたいな、そんな視野の狭まりの中で──俺の意識は、暗い静寂せいじゃくの中へと落ちて行った。


 *****


 目覚めると朝になっていた。

 あまり眠った感覚は無い。……けれど、寝足りないといった感覚も無い。

 どこまでも穏やかな朝。


 つい先程──見てきたものが、精神世界での事だったのか、それともただの夢であったのか。もう分からなくなっていた。


 上半身を起こすと、寝台ベッドに腰掛けたまま、今日の予定について考えてみた──が、明日の冒険の事についてばかり考えてしまう。


「いよいよ、明日に『大地の接合計画』が好転するか、今まで通り停滞ていたいのままになるかが決まるんだな」

 そう思うと色々と不安になる。


 海底へ向かう仲間達も、表面上はいつも通りに振る舞っていたとしても、内心は緊張し、恐怖も感じているかもしれない。

 なにしろ真っ暗な海底へと向かうのだから。


 新しい事に挑戦するのは不安が付き物だ。

 期待や希望だけを抱いているのは、失敗を知らぬ者か、失敗を恐れぬ者。あるいはただのおろか者。そのいずれかだろう。


 期待や不安は、新しい何かを始めるに当たって、毎度の様に現れる。

 それを忘れてはならない。

 期待も不安も緊張も、そういった感覚が失われると、人は苛立いらだちだけをかかえるようになるものだ。


 生きるという事は、感情との付き合いでもある。


 この感情を上手く利用して、明日の冒険を成功へ導いて行くのが、冒険者達の仕事になる。それを陰から支えるのが、俺の様な裏方の成すべき事だ。

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