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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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冷暖房と「竜の護り」

「いやぁ──、涼しいですね」

 ケベルが冷房を使って、感想を呟いた。

「上部と、側面の穴から冷気が風と共に出てくるんですね」

 サリエが冷暖房装置に手をかざして言う。


 大きさとしては人の胴体ほどの大きさに収まった。術式によっては、もっと小さくする事も可能だろう。ただそうすると、装置の周辺にしか影響しない物になりそうだ。


「風力と冷気、暖気だんきの発生に三段階……弱、中、強の三つを付けた。背面の扉から冷結晶と火の精霊石などを交換出来る。上にある小さな扉を開けて魔力結晶を入れれば、それが動力源となる訳だ」

 色々と試したが、やはり精霊石よりは、精霊結晶の方が効果は高かった。


「精霊結晶のみに対応した物の方が、燃費も良くなるし、効率も上がるだろう。次からはそうしよう」




 これらの事を紙に書き、設計図と共に管理局へ持って行った。

 実物は必要ないだろう。設計図にある通りに作れば、それほど難しい物では無い。


「冷暖房装置ですか──気温差の少ないフォロスハートでは、あまり重要ではありませんが」

 とメリッサは前置きしつつ。

「ですが、火を使う鍛冶師や料理人によっては、ありがたい発明であるでしょうね。──新技術開発品として登録しましょう」

 こうして報酬の契約を済ませると、もう一つの案件。四大神の力を使って、「海の中の島」に居るという神の探索を行う準備が整った事を話しておく。


「分かりました。管理局でも後援バックアップの準備は出来ています。……いよいよですね、『大地の接合』が上手く行くか行かないか、歴史的な第一歩を踏み出しましょう」

 彼女は表面には出さなかったが、内面では、もの凄く今回の事に興奮している様子だ。言葉の節々(ふしぶし)に力が込められている。


「ああ、こっちも団員達に伝えておくよ。明後日に、海底にあるという神殿へ向けて、調査に行くよう指示を出す」

 彼女は重々しくうなずいて、必要な物があったら言うように、と俺を送り出してくれた。




 帰り道の途中に以前、野良猫を見かけた路地を通って行く順路を辿たどったが、野良は見つからなかった。

 どこかで日向ひなたぼっこをしているのだろうか。小さな公園にも、猫の姿は無い。

 とぼとぼと、鍛冶屋へ帰る。


 弟子達は早速さっそく、冷房装置を使いながら、溶錬炉の前で作業していた。

 どうやら旅団の仲間達が集めてきた、様々な種類の鉱石から、金属を取り出そうとしているらしい。


「そうだ、余っている金属板があるな? それを使って小型の冷暖房装置を作ってみる」


 宿舎の風呂場──その脱衣所が寒いと、女子達が訴えるのだ。むろん男達も裸になれば寒いに決まっているが。

 小さな脱衣所を暖めるくらいの暖房なら、小型の物で充分だろう。


 金属板で外側の箱部分を作り、内部の術式を組み込んだ機構を作ると、それらをささっと組み立てる。──言うほど、簡単では無いが。


 多くの溶かした金属を、延べ棒を作る型に流し入れ終えた徒弟達。

 俺の方も小さな冷暖房装置を作り上げた。


 せっかく溶錬炉が景気良く燃え続けているので、金属板なども作っておく。

 今度は徒弟達の作業に俺も加わり、溶かした金属を金鎚で打ち伸ばしては、不純物を取り除き、それを仕上げの圧延機あつえんき円筒形ローラーの圧力機の間にはさむ)で板状に伸ばす。


 さらに、銀の指輪などを用意すると、それにいくつかの錬成を施し、防御性能に特化した物を作製しておく。

 こうした作業に取り組んでいると、午後も、あっと言う間に終わってしまった。

 時間がいくらあっても足らない。そんな風に感じる。




 鍛冶屋から宿舎に戻ろうかと後片づけ始めた時、鍛冶場に誰かが飛び込むみたいに入って来た。──見覚えのある少女。というか、メイだった。


「なんだなんだ、騒々しい。もっと落ち着いて戻ってこれないのか」

 メイは冒険から直接、こちらに来たのだろう。彼女の後からリトキスやユナ、カムイなどもやって来る。


「旅団長。跳躍大鰐ジャーガナック槍角蜥蜴ラスリザーデを倒して来たよ。『竜棲の広原と森』に行ってもいいでしょ?」

 リトキスを見ると、黙って頷く。問題は数を倒した事では無く、竜との戦いにのぞめる働きを出来そうか? と意思疎通いしそつうを図ったのだ。


「彼女をふくめ、全員が積極的に戦いに臨めると判断します。大丈夫だと思いますよ」

 リトキスはそう言って、彼女らの実力を保証する。

「分かった。竜との戦いを許可する──ただ、赤翼竜ゼルラギスには注意しろ。奴は炎を吐き出すからな。ほら、これを」

 そう言って全員に銀の指輪を配る。


「この指輪には、『火耐性』、『防御力強化』、『竜の護り』の効果を付与してある。竜の護りの効果は、奴らの特殊攻撃に対する防御力を上げるものだ。『竜棲の~』転移門に行く場合は有効だろう」

 メイは喜んで「ありがとう! 旅団長!」と珍しく笑顔を見せる。ユナやカムイ、エアネルとレンネルも感謝を口にした。


「まずは『大顎獣竜ボアヴァーケル』でも倒してくれ──。後、リトキスは分かっていると思うが、大きな竜を倒した後は、管理局に報告して素材を回収するからな? 管理局に任せずに、雇った素材回収業者に任せる方が、多くの素材を旅団側に持ち帰れるから、その辺りはリトキスから聞いておくように。その為の金は旅団費から払うからな」

 こうして俺達は、一通りの説明をして、宿舎へと帰るのであった。

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