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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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職人の矜持

 ウリスからくわしく話を聞く事が出来た。

 彼女が一人、庭で弓矢を三つのまとに矢継ぎ早に射る練習をしていると、火の神ミーナヴァルズの一団が来たのだ。


 少女ウリスかしこまって、ひざまずかんばかりだったが、女神は気さくに接し、彼女の素質を見抜くと、火の魔法の素質を彼女の中から引き出して、魔法(きゅう)という新たな技も教えてくれたと言う。


「びっくりしました……」

 魔法弓について尋ねると、撃ち出した矢に魔法を込めて、敵にぶつかると爆発を放つらしい。魔法剣の「爆裂斬」に似たものの様だが、強力な反面、矢を確実に消費する攻撃になる。

 爆発の攻撃と貫通の攻撃が増幅され、威力が格段に上昇するだろう。各属性を封じ込めた「魔法の矢」よりも強力な攻撃になるかもしれない。


 属性矢は、やはり汎用性はんようせいを目的に作られており、扱い易さに特化した物だ。貫通力や爆発力に優れている訳では無い。


「なんにせよ、良かったじゃないか。その力なら、上級難度の転移門でも通用するんじゃないか」

 彼女は真剣な表情でうなずくと、「さっそく、市外訓練場で試してきます」と言って、多くの練習用の矢を持って出掛けて行った。




 まさか神が冒険者に魔法を授けたり、戦いの技術を与えるとは。

 ミーナヴァルズが奔放ほんぽうな女神であるのは理解していたが、ここまで自由に振る舞えるとは意外だ。

 巫女達も、神の行動に口を出さなかったらしい。

 そう考えるとまれにだが、こういった事例ケースもあるという事だろうか。


 宿舎に入ると子猫達が「ニャゥ、ニャゥ」「ニャァ、ニャァ」と声を掛けてくる。

「まてまて、俺も飯の時間だ」

 子猫達の「構って攻撃」をかわして調理場に向かう。簡単な食事を用意しつつ

火の神の神結晶を確認して、四つの神結晶を組み合わせる台座を頭の中で組み上げる。


 設計図通りに神貴鉄鋼シルエヴァルリスで作った台座に、各属性に合った宝石も取り付ける予定だ。

 あまり大量に付けると、()()()()()()見た目になるので注意だ。──こうした物は、象徴的しょうちょうてきな意味が重要なので、華美さは必要ない。


「よし、完成だ」

 昼食は鶏肉とチーズを使った雑炊リゾット

 野菜は水菜と玉葱。

「水玉葱でも良かったかな」

 そんな感想を口にしていると、足下には子猫達がり寄っている。


 食堂の椅子に座ったまま、彼らの気の済むようにさせてやり、ささっと飯を済ませると食器を片し、子猫達を連れ立って庭まで連れて行く。

 ライムは巣箱の中で眠っているようだったので、そのまま置いてきた。布などで作った球や、猫じゃらしを使って遊んでやる。


 そうして食後の休憩を取ると、子猫達をライムのそばに置いて、鍛冶屋へと戻る。弟子達も昼食の用意を交互におこなって食べに行った。




 早速さっそく、神貴鉄鋼を用意すると、各属性の精霊石に魔力結晶、宝石なども用意して炉の前に座る。

 今回は弟子の力は借り無い。


 己の技術と──信仰心。あるいは神への愛を込めて作製する気でいた。不純物を混じらせる要因は極力排除する。


 その様な精神的な部分から、徹底てっていして作業に入る。

 妥協は必要ない。

 迷いもいらない。

 つらさや、不安などを感じる気持ちを消し去って、その大いなる作業に臨む。


 錬金術の基本的な考え方と同じだ。

 何かを果たすのに、躊躇ためらいは必要ない。

 準備し、挑み、完成まで辿たどり着く。

 それの繰り返し。失敗しても最初からやり直せばいい。失敗した理由を考え、分析し、己を成功へとみちびいて行く。ただそれだけ。


 神貴鉄鋼を溶かすと、金床の上で、それを金鎚で打つ。


 その昔、「芸術は爆発だ」と言った芸術家が居た。

 鍛冶の仕事はどちらかというと、感情や感性を沈静させ、黙々と完成に至る道を歩む作業だ。

 気持ちの奥底に、あらゆる感情の爆発を持っていても、それを表に、作り出そうとしている物の外面に表す事は無い。


 その内面、本質的な部分に答えを導き出す。


 良く切れる刃物なら、鋭い刃を。

 攻撃を弾く盾ならば、硬く、なめらかな表面を。


 無骨に、実直に、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 我々「職人」の作業に爆発は必要ない。


 内部に、その思いを込め、作り出された物が内なる力を持った物になれば──、それが「仕事」なのである。


 俺達は芸術家では無いのだから。

 職人とは、どこまで行っても「技術屋」なのである。


 それが矜持きょうじというものだ。

すでに(前に)書きましたが、盾や防具の表面を滑らかにするのは、引っ掛かりを無くして「力を受け流す」為です。飾りの無い、真ん丸の防具にはそういった意味があるのです。(ダサいですけどね……)

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