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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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個人と集団のあり方

今回のうんちく、ちょっと乱雑になり過ぎたか──;


 鍛冶屋で徒弟に指示を出し、これから管理局に行く事を伝え、地の神から譲り受けた神結晶の入った木箱を、保管庫に収めておく。


 神貴鉄鋼シルエヴァルリスの延べ棒は、すぐに使う事になるので、取り出しやすい場所に置いておく。──火の神から神結晶が届けられたら、すぐにでも設計図を元に修正して、「四大神力珠の台座」を作り上げるのだ。

 神結晶の大きさはどれも、ほぼ同じくらいだった。たぶん設計図通りの物を作る事になるだろう。


 ケベルとサリエは外部からの仕事を受けつつ、残りの新人用防具の作製に入る。

 上級冒険者からの錬成強化依頼などが無ければ、彼らだけでも、それなりの仕事をしてくれるというのは、もう理解している。二人に鍛冶場を任せると、対混沌攻撃力についての新たな報告と、海藻から水飴を作る方法などを書いた紙を手に、管理局へと向かう。




 その道の途中で、ノロノロと歩いて転移門のある広場に向かう一団を見かけた。身に着けている物を見る限りは、中堅階級の冒険者達の様だ。

 彼らの歩みからは冒険への期待や、高揚感といった物は微塵みじんも無く、やる気になれない労働へと向かう、給与労働者サラリーマンの後ろ姿を彷彿ほうふつとさせた。

 おそらくは、旅団内での関係が上手くいっていないのだ。


()()()()()()」みたいな「まれ」であるのか「良くある」事なのか、判別の付けがたい、曖昧あいまいとした、あるいは矛盾むじゅんを含んだ言葉で表現したくなるほど、そうした事は、人間集団には起こる事だ(認めたく無いものだな)。


 うちの旅団は今のところは、そうした対立や軋轢あつれきみたいなものは発生していないはずだが、こうした状況になったら、見過ごしていてはいけない。

 まして上の者(管理する側)が「当事者達に任せる」などという判断を下すのは骨頂こっちょうだ。

 本人達では解決できないからこじれるのだから。


 やる気は個人の中から自然に沸き立つものと、()()()()()()()()()()()()もの、二つあると考えた方がいい。


 同じ旅団で活動する者同士の間で、この様な「行き違い」が起こる理由は多岐たきに渡り、一つ一つを語っていては切りが無い。

 いずれにしても、こうしたものの本質は「()()()()()()()()()()()()()」事から来るのだと思う。


 反発したり、拒否したり、中には嫌な相手に自分から突っ掛かって行き、気に入らないと文句を言わなければ気が済まない、そんな(屈折した)人間も居る。


 旅団の場合は、こうした事柄の中で重要になるのは、「実力」か「協調性」か、を選ばなければならない。そうした問題が起こるのだ。

 個人的には「実力さえあれば、何をしてもゆるされる」という考えは、猿山の猿と大して変わらないものだと思っている。


 協調性を大事にしつつ、実力を互いに認め、伸ばし合う。こうした関係性が成り立てば理想なのだが、言葉で言うほど、こうした問題の解決は簡単には行かない。


 だが一つ、言える事がある。

 人々の対立や非融和的な態度に、理不尽な理由を見つけた場合は、その問題を引き起こす要因を取り除かない限り、その組織は駄目になる。という事だ。


 反目し合う二つの勢力や人が、同じ場所に居る事が問題になるのだ。こうなったら手の施しようが無い。

 ゆえに、問題点を探り出し。その中で、集団生活を乱す。または、規律ルールに反する行動や思想を持つ者は、矯正きょうせいされるか、排除されるしか無いのである。


 本人のやる気次第(しだい)、などと口にするのは簡単な事だ。


 病気になった時、その原因となった習慣しゅうかん嗜好品しこうひんを止めるように医者から言われる。

 さて、、何人の人間が、今まで続けてきた習慣や嗜好品を止めるだろう?

 本人のやる気次第だ、この場合は。


 個人と個人の対立では、そうは行かない。


 軋轢の原因を取り除かなければならないのだ。

 それが個人の偏屈へんくつな性質にるならば、もはや、その個人を追い出す以外には無い。


 願わくば、うちの旅団で、そのような問題が起こらないようにと祈るばかり。

 旅団員は皆、上手くやっているはずだ。

 仲違なかたがいや喧嘩けんかは──ヴィナーとカムイがするくらいか? それもすぐに終わるものだ。害は無い。




 こんな事を考えている内に、管理局の技術班のある建物の前に来てしまった。


 メリッサは俺の持って来た二つの資料に目を通し、簡単な契約金の様な物を払うと約束してくれた。海藻から水飴を作る技術はともかく、対混沌攻撃力についての新たな発見部分は、以前提出した物の続きなのだが。


「ところで、何を深刻そうな表情で考え込んでいるのですか」

 メリッサは無表情のまま、そう言ってきた。

 俺は、う──ん。と少し悩んだ後、彼女に尋ねる。


「例えば、技術班内で人間関係に問題が起こったとする。さて、どうやって解決する?」

 彼女はあごに指を当てて、目線を横にらす。

「当事者同士の意見を聞いて、それからこちらの意見をべるでしょうね」

 それは、どういった意見かと聞く。


「簡単な事です。その問題点よりも、『フォロスハートの為にすべき事を考えなさい』と告げるでしょう。成すべき事よりも、個人の感情を優先させるような人物は、管理局員に相応ふさわしくありません」

 彼女の言葉に「それはそうだな」と納得してしまう。


 旅団は仲良し同好会では無いが、個人的な感情をぶつけ合う場でも無い。それを徹底させる事は、旅団の、いてはフォロスハート全体の利益になると考え、互いに認め合う様になるべきなのだ。


 共通する目標を持っている。そういう認識を持てば、つまらない感情の対立を少なく出来るだろう。

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