表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

258/585

冒険、その戦果

 水飴入りの瓶をかかえて宿舎の中に入る。

 その後ろから、子猫達を抱えたカーリアが玄関に足を踏み入れた。


 玄関先の廊下で待っていたのは母猫のライムだ。後ろ足で耳の後ろをきながら、億劫おっくうそうに立ち上がる。


「ニャァ──ゥ」

 母猫の鳴き声に子猫達が「ニャゥ、ニャウ」「ミャゥ、ミャゥ」と、返事を返している。


 カーリアが前屈みになって廊下に子猫達を下ろしてやると、子猫達は母猫のそばに駆け寄って行く。母猫の方は眠っていたのだろう。大きな欠伸あくびをして見せ、のろのろと巣箱の方へ歩いて行った。




 食堂の方へ向かおうとした時に、宿舎の敷地へ入って来た音が聞こえ、脱ぎかけた靴をき直し、玄関を開けると、リトキスやメイ、ユナ、カムイとレンネル、エアネルが冒険から戻って来たところだ。


「おう、お疲れさん──大丈夫そうだな? 例の討伐とうばつ対象はどうなった?」

 メイは、背負っていた荷袋を前に差し出してから地面に下ろす。その口を開くと、中から大きな爬虫類はちゅうるいの脚が二本出て来た。


「団長──私、この大鰐おおわにのお肉は食べたく無いなぁ……」

 メイは如何いかにも深刻そうな表情で、そうらす。よほど気持ち悪かったらしい。


 跳躍大鰐ジャーガナックの姿は、見た目は大きな守宮やもりに牙だらけのわにの口。長い脚は、まるで蜘蛛くもの様に体の外側に向いた爪先。硬く鋭い刃状の先端を持つ尻尾しっぽなど。不気味な外見をしているのだ。


「いやいや、食べる為に持って帰れと言った訳じゃ無いぞ」

 その荷袋を受け取りながら「まあ、食えるらしいけどな」と呟く。


「今日は『跳躍ちょうやく大鰐』一体。『槍角蜥蜴ラスリザーデ』二体を倒しました。明日も同じ構成員メンバーで行くつもりです」

 リトキスはそう報告して、「まあ、見た目は気持ち悪くても鰐ですから、鶏肉みたいな物ですよ」と味の感想を言う。

「そうだよな、せっかくだから塩漬けにしたり、燻製くんせいにしたりするか」

 俺の言葉にメイが「うえぇ──」と声を漏らすが、ユナは、それほど抵抗を感じていない様子だ。


「私は食べてみたいかな……見た目よりも、味と栄養が大事ですし」

「うん、そうだな。俺もそう思う。まあ、これは脚の肉だから、良く煮込まないと固くて食えなさそうだけどな」


 俺は倉庫から解体用の短刀を取り出して、水洗い場で解体を始める。

「肉を食べるので無ければ、何を取る為に持ち帰らせたんですか?」

 興味を持ったリトキスやユナ達が、俺の解体作業を見ている。

「まあ、待ってろ」


 うろこ部分をけて皮をぎ、骨から肉を取り外す。

 その中にある、白い大きな筋状の物に刃を当てて、白い筋から肉をぎ落として行く。

 そうして次々に脚の中から白い物を取り出して、肉はかたまりのまま集め、それを調理場へ持って行かせる。


「この白い物ですか? 欲しかった素材って」

 ユナが不思議そうに言う。

「これはけんだ。こいつのは少々変わっていて、関節から関節の間までの長い腱を持っているんだ。跳躍力が凄いのは、この腱のせいなのかどうかは知らんが」

 それを何に使うつもりなのか、と問われたので。


「この前、管理局の『開発技術総覧』を見ていたら、義手をこの腱で作った。というのを見たんだ。この腱で義足を作れば、もっと良い物が出来るんじゃないかと期待してな」

 そう言いながら腱を用意した液体の中に漬けて、表面の肉やあぶらを取り除く。

 液体から取り出した腱を別の液体に漬け、これを保存しておく。


「これで明日には使えるようになる。皮や鱗、爪などは錬成素材として使うとしよう」

 そう言いながら俺達は宿舎に入る。

 食堂へ向かうと、まだ調理場で料理を作っているようなので、俺は調理場に運び込んだ大鰐の肉を、大きめの塊に切り分けて塩漬けにしたり、香辛料をまぶして冷蔵庫に入れた。




 食事の用意が整うと、皆で集まって今日の冒険について聞いたり、これから作って欲しい物などについて語り合う。


 気づけば、この旅団の団員の多くが、上級難度の転移門を使っての冒険に向かうようになっていた。

 慎重に、慎重にと思っていたのは俺だけだったのか? そんな風にすら思う。


 カムイだけでなく、エアとレンの双子も今回の跳躍大鰐の討伐に向かい、なかなかの戦い振りを見せたとリトキスが報告する。


「これからは、上級難度の冒険を多めにしても、問題なさそうですね」

 リトキスの言葉に、俺は「それはありがたいな」と答えつつ、若者達の成長の早さに驚き、こちらも彼らの成長に合わせた、より良い武具の作製を行う必要があるなと思わされたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ