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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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神結晶と神からの手紙

読んでくれる人、ありがとう~

高評価してくれた人に感謝します。

感想も送ってもらえると嬉しいなぁ……

 宿舎から旅団拠点に移動し、リゼミラやアディーディンクらにも、若手に「竜退治」の為に必要な経験を積ませるようにと言いふくめる。


「ほほう、竜退治ね。──いいじゃない。やっと旅団の冒険らしくなってきたんじゃないの?」

 妻の言葉に童顔どうがんの夫が「()()()旅団の……ね」と、小声で訂正する。

 人の立ち上げた旅団に参加したいと加わっておきながら、まるで「雑魚ざこ旅団」扱いしていたかの様な発言に、アディーも思わず突っ込んだのだろう。


 まあリゼミラも、そんな悪意があって口にした言葉では無いのだが。

 俺も、いまさらこの女の発言内容に穿うがった見方をするつもりは無い。


「あ──、それと。リゼミラからもらった古い武器に『対混沌攻撃力』を付けておいたぞ」

 するとリゼミラがこんな事を言う。

「う──ん、それなら。魔法の剣にも付けられないの? 混沌こんとんに対しても強力な効果が得られる魔法の武器とか、最高じゃん」

 それについては研究中だと答えておいた。


 実を言うと二回ほど試してみたのだが、二度とも失敗したのだ。

 魔力回路と「対混沌攻撃力」は問題なく結び付くのだが、他の精霊力が混じると、途端とたんに崩壊するのである。


 だがこれにも、おそらく混沌結晶から分離させた物を加える事で、魔法の武器の作製方法と同じやり方で、造り出せるはずだ。

 二本の武器は、カムイとレンネルが受け継ぐ事になった。──強力な武器だ。きっと彼らの助けになるだろう。




 ともかく旅団の冒険の方は現役冒険者に任せ、俺の方は鍛冶屋で地道な武器の作製と錬成にはげむのだ。

 今日も徒弟達と共に、外部からの依頼に応えて仕事を行う。


 ──そう思っていたのだが、今日はあまり仕事は入らなかった。まあ、そうなのだ。そう頻繁ひんぱんに武器や防具を強化しに来る冒険者など、そう居ない。


 さらにミスランの──いや、それ以外の都市を含めても、そんなに多くの冒険者が居るだろうか?

 正確な数は管理局員でも無いので分からないが、千人程度だろう。──たぶん。いや、もっと居るのかも……?

 まあ、そんな具合で、ひまになる事もあるのだ。余所よその鍛冶屋に行った者も居るのだろう。


「せっかくだ、俺は魔法の武器に『対混沌攻撃力』を付与する錬成を行おうと思う。──すでに二回失敗しているからな。『三度目の正直』という奴だ」

 ケベルもサリエにも馴染なじみの無い格言だっただろう。()()()()としている。


 いくつかの作業を終わらせると、ケベル達の手も借りて、炉に火を入れ、金属──今回は真紅鉄鋼アウラバルカムを使って魔法の武器を造る作業を行う。

 普段と違うのは、二つの属性を魔力回路に付与した後に、「対混沌攻撃力」を加えるのだが、この時に「混沌多色玉石(たまいし)」を加えてから「混沌鉄鋼アディスヴァルド」を使うのだ。


 多色玉石には各属性に影響する力があった。これを使えば、おそらく安定して「対混沌攻撃力」を付与できるはずだ──何故なら、これらの物は、同じ場所から取り出せる物でもあるからだ。

 精霊の力でさえも、である。


 混沌は表面上はうつろな闇でしかないが、その深奥しんおうには隠された倉庫、あるいは図書館の様な物がある。そこに()()()()()()

 すべては混沌の中に──始まりには終わりが、終わりの中には始まりがあるのである。


 金属を溶かして金鎚できたえ、各素材を加えていく。

 肝心なのは多色玉石を加えて、安定した所へ混沌鉄鋼を加える部分だ。

 魔力回路の様子を見ながら、慎重かつ素早く、的確に加えて金鎚を振り下ろす。


 金鎚で叩いている時に、どうやら鍛冶屋に客が入って来たようだ。俺はそちらを確認する事も出来ないが、客の応対はサリエがおこなってくれた。

 金属から武器を形作るまでの流れで、対混沌攻撃力を付与するやり方は上手くいった。他の属性効果とも安定しており、試しに鍛冶屋のすみで魔法の刃を展開してみたが、異常は無い。


「よ──し、上手くいった。しかし、さらに集中して作業を行わないとならなくなったな──ところで」

 サリエに、客は何を依頼して行ったのかとたずねる。


「それが──風の神様の神殿から来た神官だと言っていました。『これを見せれば分かるでしょう』と言って、金属の入った麻袋に木箱と手紙を置いて行かれましたが……」

 彼女はそう言って、一緒に置いて行った金貨入りの皮袋をを手渡してくる。

 かなり重い──が、それよりも、手紙と()()だ。神殿から届けられたという事は……




『     オーディスワイアへ

  私の力を封入した神結晶を送る。

  事態は理解している。存分に腕を振るってくれ。


  追記。神結晶を生み出す時に出た神貴鉄鋼シルエヴァルリスに、金貨を送る。


                                   ラホルス 』




 なんとも簡潔かんけつな手紙である。

 上司が部下に金を手渡して、「これで出張先でうまい物でも食べて、気張って来い」とでも言っているかの様な、そんな感じだろうか。

 問題は木箱に入った神結晶の方だ。──形だけでも確認しておこう。


 後は他の三(はしら)の神から届くのを待つばかり──とか考えていたら、水の神の神殿から使いがって来た。

 二人の巫女と護衛だ。

 彼女らは手短に、神結晶の入った木箱と、神貴鉄鋼の延べ棒を持って来て、それらをテーブルの上に置いた。


「アリエイラ様からの手紙と、報酬です。お受け取り下さい」

 巫女達はそれだけを言うと、馬車で帰って行く。


 ケベルとサリエに、神貴鉄鋼の延べ棒を素材倉庫に運ばせる間に、アリエイラからの手紙に目を通す。




『  オーディスワイアへ


  私の力を封入した神結晶を送ります。

  このフォロスハートに、他の大地がつなげられるかもしれないだなんて、とても大きな躍進やくしんです。私も力を貸す事を惜しみません。私とオーディスワイア、多くの人々の力を合わせ、げられるよう力を尽くしましょう。


  追伸。神貴鉄鋼と、今回の仕事に対する報酬をお支払い致します。──がんばって。


                                  アリエイラ 』




 なんとも優しく、励まされる内容の手紙だ。

 俺はそっと、胸物入れ(ポケット)に手紙をしまうと、二つの神結晶の形を確認して、これから造るべき台座の形を考え始めた。

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