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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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竜の棲む地

いつの間にか八十万PV到達です。

この章で完結予定ですが、百万PVいけるかな……?

 朝早く、焔日ほむらびが姿を見せる前に起き出した俺とライムは、結局そのまま庭で過ごした。

 少し肌寒い早朝の空気だったが、俺は倉庫から敷物と毛布を運び出すと、その上に横になって、空を見上げながら物思いにふける。


 ライムはすぐに、横になった俺の胸の上に乗っかると、いつもの様に、その場に座り込んで目を閉じる。何とも落ち着いたもので、薄い毛布を脚から掛け、ライムの背中までかぶせてやると、安心した様子で眠り続けてしまう。


 猫は夜行性だったはずだが(()()()()の事だが)、こちらの猫は、人間の生活に合わせてくれているのだろうか? 朝や昼間に起きている事が多い。

 こちらの猫も、眠る時などに顔を前足でおおったりして眠る様に、光に敏感な眼を持っている(光の中だと黒目が細くなるあれだ)事から、夜に獲物えものを狩り出していたはずである。


 気のせいか、知性も高い感じがする。──いや、知性というか、さっする事が上手いだけかもしれない。

 こちらの考えを察する能力に長けているから、言葉が通じなくても、こうして庭に出たり。食事の用意をする時にも、しつけた訳でも無いのに椅子の上で待機したりするのだ。


 人間に凄く慣れた猫は、皆こんな感じになるのだろうか──いや、これは、無意識下の共通性に関するあれだ──「元型アーキタイプ」に関係しているに違いない。

 ユングの提唱ていしょうした「集合的無意識」という奴だ。


 猫に動物的本能を持たせる無意識領域に、「人間との共存」という部分が大きく反映された結果なのではないか。


 この限りある世界では、獲物を狩って生きるには限界がある。そこで、彼ら猫や犬などの動物は無意識に、人間との共存共栄きょうぞんきょうえいを果たす為の行動や、習性を持つようにと、変化していったのではないだろうか……


 おっと、いかん。

 こんな小難しい話を考える前に、錬金鍛冶師として、冒険先で仲間の助けになる物や、混沌などの敵に立ち向かう力などを強化する方法について、もっと考えなければ──

 目を閉じて、「対混沌攻撃力」を強化する組み合わせなどを考えていると、俺は、そのまま眠ってしまったらしい。


 *****


「団長」

 すぐ近くから、誰かが呼ぶ声がする。

「団長、起きた?」

 すぐそばかがんでいたのはメイだった。

 俺の胸の上で寝ているライムを撫でながら、俺を起こしていたのだ。短いスカートで屈んでいるので、下着が見えそうになっている。


「おはよう……いかん。考え事をしていて、そのまま眠ってしまった」

「夜からずっとここで寝ていたの? 風邪ひくよ」

「いや、早朝に目が覚めて、それで庭に出て来たんだ。眠っていたとしても、たぶん二時間くらいだろう」

 俺の胸の上に居たライムは、メイに撫でられながらも、大人しくじっとしていた。自分が離れると、俺の体を温める物が無くなると考えているのかもしれない。


「団長。私、夢を見たの」

「お? おう……」

「私とユナで、『竜棲の広原と森』に行って、竜を倒しに行く夢。──これ、正夢にしよう」

 やだ、この子。急に無茶な事を語り出したぞ。


「ま、まあ待て。そうは言うが、『竜棲の~』が付く転移門は、その名の通り、危険な竜がむ場所だ。『はい、そうですか』と、簡単に送り出す訳にはいかないぞ」

 すると少女は「わかってる」と真剣な表情でうなずく。

「だから、ユナにも話を聞いて。それから『竜棲の広原と森』に行きたいと思っている人達をつのって、皆で行こう」

 そう言ったかと思うと、少女はさらに続ける。


「私、最近リーファから『循環気功』を習って、使えるようになったし。そのせいか、気を使った自己強化にも磨きが掛かったんだよ。最近、団長と訓練してなかったからわからないと思うけど。さっそく、手合わせしてみよう」

 俺は、乗り気な少女の言葉に「それは結構です」と、お断りの言葉を口にして少し考える。──竜棲の領域に行くのは、リゼミラやリトキス達なら問題は無いだろう。


 しかし、メイは──彼女は特に、拳や蹴りで戦う闘士だ。いくら強力な気による攻撃が打てたとしても、固いうろこ皮膚ひふに守られた、あの巨大な爬虫類はちゅうるいに立ち向かえるかどうか──

 この娘なら、巨大な敵にもおくする事なく向かって行くだろう。その姿がありありと想像できる。


「……分かった。朝食の時に少し話してみよう。ただし、今日は行かないぞ。準備をしてからだ、メイやユナは『竜棲の広原と森』の情報を確認するところからだ。空いた時間にでもリゼミラやリトキスから聞いたり、『冒険指南書』に書かれたものを読んで勉強するのも大事だ」

 そう言って立ち上がると、メイにライムをかかえて宿舎に戻るよう言い、俺は庭で神々への祈りを行う事にする。


 こうした朝の日課を済ませると、庭に出していた敷物などを片づけて、宿舎に戻る。

 すると玄関先でライムと子猫達が待っていた。

 青い毛の子猫とたわむれているメイも居る。

 彼女が循環気功を身に付けたのが影響しているのだろうか? 他の子猫達も、今までよりはメイを避ける様子は無い。


「この子、かわいい……」

 メイが、そうして子猫を撫でている所へ、ユナが二階から降りて来た。

 朝の挨拶を交わし、俺達はそろって食堂へ向かって行く。

詳しく知りたい方は、C.G.ユングの『元型論』または『続・元型』を参照してください。

プラトンの「イデア」と同じ概念である、とユング自身も認めているくらい似ているものですが。興味深い部分を多く含んでいると思いますよ。

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