神の謝罪と感謝
高評価してくれた読者様に感謝~~。あなたの優しさが私の勇気(書き続ける気力)!
その日の夜に眠りに就くと、アリエイラによって精神世界に呼び込まれた。
彼女はレーチェに、俺と再開した日の様子を語る過程で、うっかりと表情や態度に出してしまったかもしれないと謝罪する。
「でも、あなたを愛する気持ちに嘘はつけませんから」
ある意味、開き直りとも取れる発言をするアリエイラ。
「まあ別に構いませんが。それにしても、レーチェと謁見する事になった段階で知らせて欲しかった気も……」
そう言いつつ、神に対し、そんな事でわざわざ報告しろ、と要求するなど論外だという事に気づき、謝罪する。
「いいえ、そんな、そんな。──そうでしたね。私も気が動転していて、うっかりと、あなたに相談するという手段を忘れておりました」
アリエイラはレーチェからの手紙を読んだ時、俺の過去について詳しく調べており、隠し立てするのは無理だと悟ったという。
「まあ、面倒臭い女ですしね」
「そんな事を言っていると、また、彼女に睨まれますよ」
「『また』って事は……見ていましたね? 俺とレーチェの遣り取りを──」
水の神は少し取り乱し、慌てて口を開く。
「それは──! それは、仕方が無いでしょう。あなた方と繋がっているのですから。まるで覗き見ていた、みたいな言われ方は心外です」
湖の前でそんな話をしていると、不意に背後に誰かが現れた。
「楽しそうに話しているところを、すまないが……」
薄い緑色の衣を纏っている、利発そうな青年が現れた。
彼は青色のズボンと濃い緑色の靴などを身に着けている。
「ラホルス──珍しいですね。あなたからこちらにやって来るなんて」
「うん。実はオーディスワイアに聞いておきたい事があって」
風の神はそう言って、俺の隣に腰掛けた。
「混沌結晶を分解したそうだね? その影響を『吸着結晶』なる物で無効化する事も発見したようで、なによりだ」
アリエイラも彼の言葉を受けて、混沌に対する武器を作ったのを誉めてくれる。
「混沌に対する有効な攻撃手段を発見するなんて、素晴らしい偉業です。私の住む都を守る城壁に取り付けられている弩砲にも、『対混沌攻撃力』を付与する事が決まったみたいです。もちろん兵士達の武器などにも付与される予定です」
彼女の言葉にラホルスも。自分の住む街にも、それなりの対応が取られる事になった、と報告する。
「──それで、本題だが。私とミーナヴァルズは管理局と協力して、混沌から大地を守る結界と、結界を守る為に混沌の近くに配置している──。言わば我々の分身である『戦う者共』を使って、混沌から侵入しようとする敵の排除に、オーディスワイアの発見した『対混沌武器』を持たせて臨んでいるのだが」
ラホルスの言う「戦う者共」──別名を「神の手」と呼称される──とは、四大神の力を有した半霊的存在の事で、フォロスハートに侵入しようとする外敵を排除する。そんな役目を担っているらしい。
それは大きな力を持った存在らしいのだが、それでも広大な(四方八方から敵は襲って来るのだ)大地の周辺を守るのは困難な事なのだろう。
大勢力で攻めて来られると、戦線を突破される事もあるみたいだ。
「お前の発見した新たな力を宿した武器のお陰で、かなり戦い易くなり、また防御面でも強化が望めた。これからも我らは管理局の者達と協力して、この大地を混沌から守って行くが。お前の力も頼りにしているぞ。オーディスワイアよ」
風の神は、そう言葉を残し、文字通り風の様に消え去った。
風の神から直接あのような言葉を掛けられるなど、なかなか無い事だ。
アリエイラにも、新しい力を発見してくれてありがとうと言われ、嬉しくて嬉しく、なんだか気が遠くなってきた──
*****
そう思ったら、現実に戻って来てしまっていた。
薄暗い部屋の中で目覚めると、窓の外から月火の青い光が入って来ていたが、もうすっかり目が覚めてしまった。
部屋を出て暗い廊下に出ると、しんと静まり返った廊下を歩いて、玄関で靴を履く。
「ミャァァ──」
すると起きていたのか、ライムが俺に気づいて声を掛けて来た。
「庭に出るだけだよ。お前も来るか?」
するとライムはトコトコと歩いて近づいて来る。
扉を開けて外へ出ると、久し振りに外へ出た為か、ライムは花壇の所へ行ったり、水洗い場に行ったりして、うろうろと歩き回っていた。
空を見上げるとそこには、薄暗い紫色や、青色に染まる空があった。
だがこれは、結界によって外の混沌を見えなくしているのだ。この空の向こうでは、四大神力を持った──言わば、対混沌用の兵器が飛び回り、混沌からの侵略者を迎撃しているのだ。
俺は芝生の上に腰掛けると、脚に擦り寄って来たライムを抱き抱えて、空を見上げた。
無限に広がる宇宙の代わりに、虚無が広がる真っ暗な世界──。それを目の当たりにさせないようにと、神々が作り出した虚構の空を見上げながら。
この危機的な世界の中でも、俺達は何とか生き抜いて行ける。そう信じ、明日からも仲間を守りながら、共に生きて行こうと心に誓った。




