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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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神々との繋がりを告白する

 宿舎に戻ると食事を終えた後の会議で、水中でも呼吸できる錬成品を作った事を発表した。


「仕事が早いですね。さすがです」

 アディーは小さな道具を手にすると、興味深そうにそれを見る。

 他の団員にも、いくつか手渡してやった。


「この錬成具の左右の──、小瓶に入った黄緑色と濃い青い色の液体は何ですか?」

 アディーは錬成品を「錬成具」と呼称するが、それでも間違いでは無い。魔法師側の呼び方は「~~具」と呼ぶ言い方が一般的だというだけだろう。


「その液体の入った小瓶は、この様に捻子ねじで固定されている。こうして──回して取り付け、取り外しが可能だが、空になるまで外すなよ」

 そう言いながら、空の容器が付いた吸入口を外して見せる。


「二つの液体は、濃縮のうしゅくした『空気発生液』だ。これの元々の製作者は二百年近く前の人物だが、彼の残した製法をさらに改良して作った物で──、おっと、中身についてだったな。……ええと、これをくわえて呼吸すると二つの液体の間にある濾過装置フィルターが反応し、液体が気化し、二つの気体が混合して空気を生み出す仕組みになっている」

 団員の中には、何を言っているか分からない。とでも言いたげな顔をしている者も居たが、隣の仲間から講義を受けて初めて理解した様子だ。


「分かり辛かったか? すまん。まあ──重要なのは、この小瓶の中にある液体は、水の一滴にもおよばない、もの凄く小さな容量で、一回の呼吸に必要な空気が得られるという点だ」

 ちなみに、小瓶の中身を空気に触れさせても揮発きはつしたりはしない。吸入口に取り付けた濾過装置を通して吸い込まないと、空気を発生させる気体を呼吸器の中に流さないのである。


「取りえず、六人分の呼吸器と、専用容器は大量に作り置きしてある。だが、まだ海底神殿に行く準備は出来ていないので、それまでは皆、今まで通りの冒険をしておいてくれ。海底神殿に向かう用意が整ったら、その時は改めて海底に向かう団員を選出するが──、もしかすると危険な目にうかもしれないので、実力の高い者に行かせる事になる。──あと、アディーの魔法で水圧を防ぐ予定なので、アディーの参加は確定している。以上だ」

 手渡した呼吸器を回収すると、団員から質問や疑問の声が上がった。


「海底にもぐる準備なら、もう出来ていると思いますが──、何を準備するんですか?」とカムイ。

「海底神殿──神殿とは、()()()()()()()()はずですが。それに海底の、その建物に神が居るかもしれない、と言っていましたが……」とアディー。


 仲間達の間で、ざわめきが起こる。

 皆、今朝方に話した「大地を接合する」という事に対して、強い感心を寄せているのだ。


「ああ、それな──。それはだから、夢のお告げ」

 そう言うと、疑わしげにこちらを見るリゼミラ。膝には子供を乗せている。隣の席にはアディーを挟んで息子が座っていた。


「なんか、隠し事をしているね? いったい何で話せないんだい。こっちはディーディ……アディーを、危険かもしれない場所に行かせるって言うんだから、事の経緯けいいは聞かせて欲しいね」

 リゼミラは引かない。


「……分かった、説明する──」

 俺は何故、ミスランに新しい門が開いたり、海のある大地が選ばれたのか、海底に神殿らしき物があり、そこに神が居ると知り得たのかを説明する事となった。




「夢の中の世界で神々と会っていた? それは、オーディスさんが、神貴鉄鋼シルエヴァルリスの武具を作る事になった、というのは聞いていましたが、まさか。そんな接点を持つようになっていたとは」

 アディーは素直に驚いている。


 他の面々も半信半疑はんしんはんぎ、というよりは、海のある大地が開くという事実を言い当てたのを重く見て。神々の目で見た海底の様子を信用する運びとなった。


「でも、神様が言った言葉だと考えると、オーディスワイアさんが色々と知っていた事も、海底を探索する事に積極的になっている事も説明が付きますね」

 そう言ったのはユナだった。

 彼女は、火の神ミーナヴァルズを思い出しながら話しているのだろう。彼女もあの、凄まじい炎の蛇の前に立ち、熱風を浴びせられた一人なのだから。

 メイも彼女の隣で神妙な顔でうなずいている。


 いぶかしんだ表情でいるのはレーチェだ。


 何か、不安を隠しきれないでいるみたいな、そんな顔もして、隣に座るリーファと話している。

 彼女は、何か予感めいたものを感じていたのだろうか?


 この時はまだ、彼女が裏で行っていた事柄に、俺はまったく気が付いていなかったのである。

レーチェの行動からは、そんなに重い話にはなりませんので(たぶん)。

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