表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

240/585

新人教育「覚悟と慣れ」

月曜日分として投稿──少し忙しいもので……

 朝方から忙しい事になった。


「海の中の島」に新人達を送り込む事にし、革鎧や適当な武器を(念の為に)持たせて、冒険──探索に行かせた。

 新人の中でも、しっかりとした技術や知識を持っている三名と、アディーディンクに、舟を使って他の島の探索をさせる事にしたのだ。

 それは管理局からの依頼でもあった。


「昨日、管理局から話がありまして……」

 今朝、アディーディンクは、そう告げてきた。

 以前の仕事仲間経由で、管理局から転移門のある島とは別の島を探すよう頼まれたと言う。


 それは別に正規の依頼では無かったが、アディーディンクの持つ「探知魔法」の効果範囲を知っている、かつての同僚がアディーを頼ったのだ。

 かなり広範囲を調べられるアディーと、そこそこは戦えるであろう新人を探索に向かわせ、俺はリトキスからの相談を鍛冶屋で聞いていた。


「その、新人達の中でも、二人の新人は──何と言うか。覚悟というか、傷つく事を恐れていて、このままでは使()()()()()()()()かもしれません」

 戦士としての覚悟を持たせる為に、俺に協力しろと言うリトキス。


「うむ。戦士になる覚悟か……カーリアの時は外部から講師を呼んだんだが、今はお前が居るじゃないか。何故、お前が教えてやれない事を俺が教えてやれると言うんだ」

「何故って……そうですね。オーディスワイアさんは、初めのころは色々と苦戦したそうじゃないですか。その辺の事を話した方が、彼らにも伝わり易いのではないかと思うんです」

 どうも新人の二人は、攻撃される恐怖から、身体が思うように動かなくなってしまうらしい。


「ああ、そういう事なら、俺にも覚えがある。『覚悟』と『慣れ』だな、必要なのは。──分かった、少し話しをしに行こうか」

 鍛冶屋での作業は徒弟達に任せ、仕事の依頼が片づいたら、新人達の装備を二人で協力して作るよう指示を出す。


 *****


 市外訓練場に居る新人達は、他の旅団の若手達と共同で戦闘訓練を行っていた。

 戦闘訓練では新人の多くは、それなりの動きをして見せている。

 問題は二人の新人だという事だが──、確かに、攻撃される瞬間に動きが止まっている。攻撃を受け止める事にばかり意識がいって、傷を負う恐怖が先行してしまい、身体が強張ってしまうのだろう。


 俺は新人を呼んで一度、簡単な講義をする。


「攻撃を恐れているようだな」

 新人の数人を前に、俺はそう切り出す。

「攻撃を恐れるのは、生き物として当然の本能だ。──恐れを抱いても良い、()()()()()()()()()()()()()()()()からな。だが、身体が硬直するなどの、()()()()()()()()()()()()()()』でしかない。それは戦闘では、まったく役に立たないどころか、足を引っ張るだけの反応でしかない」

 俺はそれぞれの新人の表情を確認する。


「俺も冒険に出たばかりの頃は、恐怖で身体が動かなくなる、そんな時もあった。だがな、考えてもみろ。恐怖で身動き出来なくなるなんて、それで攻撃を喰らっていたら本末転倒ほんまつてんとうだ。自分で自分の首を絞める様なものだ。──だから、戦士になるには覚悟が必要だ()()()()()()()()()()()()()()()()()。そして戦いの中で自信を付ける事で、覚悟は自分の中に定着する。安易な言い方をすれば『慣れろ』という事だ」


 慣れは油断を生むが、自信を持てないまま、まともに戦えないよりはマシだ。そう説明しながら。


「戦いに『慣れ』れば、()()()()()()。恐怖が無くなると『油断』が生まれる。そうすると俺の様に脚を失う事になりかねん。いいか、戦いはそうした緊張の中で行われるものなのだ。覚悟を持ち、恐怖や油断にとらわれる事無く、冷静に戦えるようになれ。痛いからと泣きわめいていれば、敵が見逃して去って行くか? そんな事は絶対に無い。──痛みを負う覚悟をしろ、戦いとは非情なものだ。覚悟が無ければ、生き残る事は出来ない」


 新人達にどれだけ俺の話が伝わったか、それは分からない。年配者ロートル戯言たわごとだと、簡単に(相手を見下して)答えを出す者は成長しない者だ。戦士や冒険者はおろか、大人にすらなれない。


 痛みを負う覚悟が無ければ、俺も脚を失った時点で死んでいただろう。

 脚を食いちぎられ、痛い痛いと転がり回って痛みが消えるか? そんな無防備な姿をさらせば、敵に「攻撃して下さい」と言っている様なものだ。

 俺は脚を失った時、すぐに体勢を立て直し、片脚で何とか敵の追撃を逃れ生還した。


 苦痛にも立ち向かえなければ戦士にはなれない。

 それは戦いを求められる職業ならば、どの分野でも同じ事だろう。

 強くなるには覚悟が必要なのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ