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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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「海」のある食卓

ブックマーク数700超え。

ありがとうございます!

 混沌を討ち滅ぼす為の手掛かりを得た俺は、その後も出来うる限りの研鑽けんさんを重ねた。

 短時間で、これだけの作業を展開した錬金術師がかつて居ただろうか? おそらくは居ないだろう。いや、居ない!

 ……まあ、事実はどうかなど、この際どうでもいい。


 混沌についての──混沌結晶についての研究は、かなり進んだと言える。しかしまだ、この混沌結晶には、不明瞭ふめいりょうな部分があるのだ。

 まだまだ謎の多い。それゆえに様々な可能性のある素材である。


 いずれは誰か、俺とは違う視点を持った、研究熱心な錬金術師が現れてくれる事を祈ろう。


 もちろん俺も時間があれば、混沌結晶の研究を引き続きおこなっていくつもりだが、まずは混沌を討ち滅ぼす武器の作製と強化を優先させる。


 この日は黒銀鉄鋼グラズアルドの剣と、鋼鉄製の剣に「対混沌攻撃力」を付与した。

 明日の冒険団員達に、ミスランの転移門で「混沌の」魔物などが出る場所へ向かってもらう。


 この新たな武器が、その魔物に有効かどうかを試してもらうのだ。

 混沌から生み出される魔物に利くかどうかが、冒険者の武器として重要になる。




 夕暮れ時になると二本の剣を腰に下げ、宿舎に戻る。

 玄関を開けて靴を脱いでいると、巣箱の中からライムが出て来て、少し離れた所から「ニャァァ──」と鳴き声を上げて、こちらの様子をうかがう。


「ただいま。混沌の影響は取り除いたはずだぞ」

 警戒しているライムの後ろに、子猫が一匹起き出して来た。青い毛の混じる人懐ひとなつっこい子猫は、俺の顔を見ると「なぁぁ~~」と弱々しい鳴き声で出迎えてくれる。


 そこへ、ライムと子猫のえさを手にしたエウラがやって来た。彼女が銀色の皿を手に近づいて来るのを見ると、ライム達は巣箱の近くで待機して、彼女が皿を置くのをじっと待つ。

「現金な奴らだなぁ」

 俺が下駄箱に靴を置いていると、エウラが「お疲れさまでした」と労をねぎらってくれた。


「今日は本当に疲れたぜ。──エウラはミスランで混沌の魔物と戦うなら、どこがやり易い?」

 唐突な質問に、彼女はう──んと、顎に手を当て、上を向いて考える。

「そうですねぇ……『暗黒の大地』だと、出現が()()()()ですから──中級だと『峡谷きょうこくの中の隠し神殿』でしょうか。あそこなら神殿内の迷宮で遭遇そうぐうする確率も高いですし」


 何でですか? と尋ねる彼女に腰の剣を見せて「この武器が『混沌の魔物』に有効かどうかを調べて来て欲しいからだ」と告げる。

 エウラはその武器に興味を持った様子だ。

「また、面白い物を作り出したみたいですね。魔剣の修復といい、どれだけ前例をくつがえす気ですか」

 俺は食堂へ行こうと声を掛けながら。


「前例はいつだって過去の物だ。新しい物とは、進化したいと望む心から生まれるもんだ」

 食堂に行くと、リーファとレーチェが調理場から皿を持って来ていた。最近はレーチェも料理を覚えようと、リーファから食材の切り方から、味付けの基本までを教わっているらしい。


「そしていつでも、人は成長できるものなのだ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 エウラはせっせと料理を運ぶレーチェを見ながら、「なるほど」と呟いて、自分も手伝いますと声を掛ける。




 今日の食卓はいつもと違っていた。

「海鮮だな!」

 肉料理と生野菜料理サラダの皿もあるが、テーブルの上には様々な海の幸が並んでいる。


「新しい転移門の向こうには、豊かな自然の恵が溢れていました。陸地はフォロスハートより小さいくらいらしいですが。海は広大で、他の陸地が無いかと舟で探している旅団もあるみたいです」

 リーファはそう言いながら、大きな海老えびを焼いたものを運んで来る

甲殻が青い色をした海老で、長いひげと大きなはさみを持っている奴だ。

 今は背中のからを剥がれて、真っ白な身を見せている。


「美味しそうだ」

「海老は残念ながら一匹しか取れなかったみたいですが、エアネルとレンネルだけで、二十匹以上の魚を釣って来たんですよ」

 かにや貝などは、陸地の探索をしながら海岸沿いを歩いていた時に、ウリスやメイが見つけたらしい(貝は()()()()()砂抜きをして、明日にでも食べる事にする)。


 リゼミラやリトキス達は、島の中にある背の低い山と、その周辺の森を探索して鹿やうさぎを見かけたと言っていた。

「肉食獣は居ないみたいですね。他の旅団とも情報を共有してみましたが、木の実や果物のる木も多く。食材の宝庫と言った場所ですね」

 リゼミラは不服な感じで、冒険できると思ったのに……と愚痴ぐちっている。


 危険の無い冒険だって冒険だろう。

 だが、この女にとっては、戦いこそが冒険。

 強敵にもひるまずに立ち向かい、全力で叩きつぶす。

 それが、リゼミラという女が望む、心躍る冒険なのである。


 ()()()()()味わう豊かな海鮮の味。

 俺以外の仲間達は、初めて味わう海の生き物の味である。


 食事に満足した彼らに、混沌に対する攻撃力を上げた武器の試験を行う為に、明日は二人に剣を持たせて、混沌の魔物などと戦って来て欲しいと願い出て、エウラとカムイの二人に中級難度の『峡谷の中の隠し神殿』へ向かわせる事になった。


 もちろん二人で行かせる訳では無い。

 ユナとレーチェ、リーファにも同行させる。

 中級の中でも危険な敵が出る場所だ。気は抜けない。


「対混沌攻撃力」の付いた武器を二人に渡すと、その説明をして、普段の武器との違いを報告するように頼んだ。

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