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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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混沌を討つ武器

いつの間にか七十万PV達成です。

ありがとうございます!


 まずは各金属と、「混沌鉄鋼アディスヴァルド」の結び付く物を探す為、錬金台に乗せて一つ一つ「解析」をする。


 どうやら他の物質とも、結び付きを得る事は出来るらしい。

 ただし、金と銀。聖銀鉄鋼エルファリクスの三つとは調和し得ないようだ。


 そこまで確認したところで、俺は床に膝を突いてしまった。

 迂闊うかつだった。まさか魔力や精神力を使い過ぎて、精神虚脱になりかけてしまうとは。

 先程、自分自身に解析を掛けた時に気づくべきだった。あの時は別の事にばかり気を取られていて、自分の状態に気を回せなかったから無理も無いが。


「……やべぇ、意識が──────くっそ……まだだ、ここで──倒れる訳には……いかん!」

 棚に手を伸ばし、魔力回復薬をつかむと、その中身をぐいっと飲む。

「ふぅぃ──、少し、調子に乗り過ぎたな。気をつけよう……」

 魔力回復薬は貴重なので無駄にはしたくない。


 もう少し混沌鉄鋼を調べていたいのだが。──「魔力回復速度上昇」効果を付与した首飾りを身に付けておく。

 最近は、すっかり「解析」を使いながら作業するような事が無かったので、魔力が欠乏する状態を失念していた。


 新しい素材などは、色々と調査してみないと分からない事が多いが、慣れ親しんだ素材は知識と経験で知っているので、解析を使いながら作業する負担は無くなる。


「しかし、混沌に対する効果的な武器を作れるかもしれない機会チャンスだ。魔力回復薬をケチってる場合じゃねぇ!」

 俺はさらに混沌鉄鋼の持つ性質を、どのようにして他の物体に移すかを考える。魔力回復薬の瓶を握りながら。──そこへ、ドアを叩く音が。


「あの……昼食休憩には行かないんですか」

 サリエの声がする。

 もうそんな時間か。

 俺は研究室を出ると鍛冶屋を閉めて、二人の徒弟と共に料理屋へ向かい、昼食を取る事にした。


 彼ら徒弟は、基本的な武器や防具の作製を出来る程度にはなっているので、練習を含めて「黒き錬金鍛冶の旅団」の新人達に与える武器や、防具を作らせようかと提案する。

 ケベルもサリエも、そうした機会を与えられる事を喜び。今日、新人達が訓練から帰って来たら、さっそく身体測定をして、どういった武器防具を装備したいかを尋ねると言う。


「本人の意向も大事だが、訓練を指導している教官の意見も聞いておくと良い。素早い動きを得意としている奴に重い防具を着せるのは、長所を潰してしまうからな」

 そういった失敗の無いようにと言いながら、テーブルに並べられた料理を口にする。


 今日は俺がおごると言って料理を注文し、一人一人の主料理メインディッシュと、三人でつまめる大皿に乗った肉料理も頼んで──、量が少し多くなってしまった。

 だが二人の少年少女は、旺盛おうせいな食欲でそれらをぺろりと平らげてみせ、俺を安心させる。


 こうした弟子達との食事中にも俺の頭の中では、混沌を打ち倒す武器の開発についての着想アイデアを得ようと、色々と試行錯誤を──、いや。()()錯誤さくごを重ねていた。


 料理を食べ終えた俺達は、すぐに鍛冶屋へと戻り、各々(おのおの)の作業に戻る。


 俺は頭の中で、いくつかの方法で、混沌鉄鋼の性質を移す方法を考えついていた。後は、これらのやり方で上手くいくかを試してみるだけだ。




 研究室に戻ると鋼で作った長剣に、混沌鉄鋼と魔力鉱石、「混沌の爪」か「混沌の牙」を錬成台に乗せ、攻撃力強化と共に、対混沌の効果──仮に「()()()()()()」とでも付けておこう──を付与する錬成を行う。


 予想通り、攻撃力強化だけで無く、「対混沌攻撃力」にも数値の上昇が得られるらしい。同じ「混沌」の魔物から取れる素材との相性が良いのだ。


 とにもかくにも、別の金属などに効果を移せる事は判明した。

 この他にも多くの材質の武器に付与できるかを試し、より強力な性能を持つ組み合わせを見つけ出す事が求められる……


 そこで、一つ思いついた事を試してみた。

 分解した混沌結晶のうちの「混沌灰」以外の物を使って、錬成をするというものだ。


 元々あった物を、改めて一つにする意味があるのかと思うだろうが、魔力を消滅させたりする「混沌灰」を取り除いて武器に錬成する。という作業は、思った以上の効果を引き出した。

 数値にすると、混沌の牙などと一緒に付与した場合よりも、五倍近い数値の上昇が得られたのだ。


「やったな……混沌結晶の中の背反する力の中から、有効に使える物をわけてやれば良かったのだ。これで俺達は、混沌に対する強力な武器を手に入れられたはずだ」

 後は他の錬成効果との組み合わせも考えて、より良い強化を探っていくだけだ。


 こうして新しい力。

 新しい武器が、人類の手にもたらされたのである。

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