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錬金鍛冶師の冒険のその後 ー冒険を辞めた男が冒険者達の旅団を立ち上げ仲間の為に身を砕いて働くお話ー  作者: 荒野ヒロ
第七章 方舟大地の未来

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アヴロラからの手紙

沢山のブックマーク、評価。ありがとうございます。

 タイトル上部にある『方舟大地フォロスハートの物語』から《外伝》と登場人物の設定などが読めるものも投稿していますので、そちらも是非。

 翌日から一時的に、混沌結晶の研究を中止させられた。

 旅団員達にも説明をし、鍛冶屋の徒弟達にもレーチェが話して聞かせ、団長(つまり俺)におかしなところがあったら、旅団員に報告するようにと、厳命したらしい。


 *****


 こうして当分の間は、混沌結晶の研究を中止して、休息を取る事にした。


 宿舎に戻った俺を見てライムは初め、凄く警戒していたが、威嚇いかくする事は無く。うろうろと俺の近くを歩いた後、脚にり寄って、ライムの身体を撫でる俺の指をペロペロと、ざらついた舌でめてくれたのである。


 こうしてライムとの信頼関係(?)を取り戻し、俺は鍛冶屋で徒弟達に仕事を与えながら、頭の中でのみ、混沌結晶を分解した物を、どのようにして、使える錬成品に仕上げるかを考え続けていた。


 ケベルとサリエは簡単な物なら、武器も防具も作れるだけの器用さを持っていた。えて教える事は錬成のやり方。

 有効な組み合わせや、失敗し易い組み合わせなどを教え、導き、いち早く俺の行える、多くの錬成を教え込むだけであった。


 彼らはここ数日も休み無く、空いた時間には錬成指南書と錬金叢書(そうしょ)を調べて、自分で買った無地の帳面ノートに、必要な部分を書き込む作業に没頭していたらしい。


 *****


 その日の午後に、ナンティルが大荷物を抱えてやって来た。


「やぁやぁ、お待たせしましたにゃ。新しく生まれ変わった『オーディス錬金工房』に、素材を届けにやって来ましたにゃ」

 ケベルとサリエは、突然現れた猫獣人フェリエスの行商の姿を見て驚いている。

 それはそうだろう。ムキムキの大男が担いでいるならまだしも、細い身体の女が、大きな荷物を担いでいるのだから。


「おやおや、こちらはオーディスの弟子達ですかにゃ? どうぞご贔屓ひいきに。パールラクーンからの行商人。ナンティルですにゃ」

 そう言って彼女は荷物を下ろすと、中から紫水晶アメジストの小さな原石を取り出して、二人に与えた。


「最初だけだぞ、無料なのは。気をつけろよ」

 俺が徒弟達にそう言うと、ナンティルは「もちろんですにゃ」といさぎよい返事をし、「独立したら、ご贔屓にしてくれにゃ」とびを売る。


「おっとそうにゃ」と呟くと、ナンティルは木箱を取り出し、中から手紙を取り出した。

「アヴロラ様から書状を預かって来たにゃ。それにしても、あん(にゃ)ゃ杖を作るとはさすがにゃ」

 ナンティルは「生命の杖」を見たと語る。何でも「控えの間」に飾られているらしい。


「神アヴロラ様をかたどった石像が控えの間に置かれて、その杖を持っているにゃ。贈り物に、そんな豪華な置き場所を用意するにゃんて、相当な力の入れようにゃ」

 それは作った側からするとありがたいな。そう話すとナンティルは、神像の乗った台座に付けられた、板金に書かれた一文を読み上げた。


「フォロスハートの名工。錬金鍛冶師オーディスワイアの作りし『生命の杖』を手にする神アヴロラ」そう書かれていたらしい。

 こそばゆさを感じつつ、アヴロラからの書状を読んでみる。




   『美しい贈り物をありがとう

    フォロスハートの勇敢なる戦士

    強き魂を持つ戦士にして名工

    離れた場所で生きようとも

    あなたは私の子でもある

    いつでも私を訪ねに来て下さい


    朽ち、錆びる事なき命。その守り手。アヴロラより』




 おやおや、()()()()()新しい母を見出してしまったぞ。

 まあ、神々の考える「子」というものが、人間の考える「親と子」の関係で無いのは明らかだが。


 それはともかく、精根込めて作った贈り物を気に入ってもらえて良かったと、心から思う。

 ナンティルは「(にゃ)にか良い事でも書いてあったかにゃ?」、などと俺の顔を覗き込んでくる。


「まあな。贈り物の意図を汲んでもらえて良かったよ。……それで? 今日はどんな物を持って来たんだ?」

 彼女はにっこりと、営業微笑(スマイル)を浮かべると、荷物からいくつかの聖銀鉄鋼エルファリクスの延べ棒と、宝石の原石を取り出して見せた。


「さあ、今日はパールラクーンの転移門先から手に入れた、数々の商品を持って来ましたにゃ。どれでも好きなだけ買って欲しいにゃ」

「好きなだけ買えって……安くするなら考えてやらんでもない」

 猫獣人の行商は肩をすくめると、「しょうが(にゃ)(にゃ)ぁ……」と言いながら交渉を始めた。

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