団員達の活動報告
パエリアを「焼き飯」としましたが、炊き込みご飯に近いかな?
食堂に仲間達が集まると、レンやエア、ユナとメイも手伝って、料理が運ばれて来た。
レンは燻製豚バラ肉や、玉葱などを使った焼き飯を作って、大きな鉄鍋ごと、手押し車に乗せて運んで来る。
仕上げに削った乾酪を掛けて、緑色も鮮やかな香草を細かく刻んだ物を、最後にまぶして、皿に盛り付ける。
レンは見た目も女の様な感じだが、女子力も高いのだ。
姉は立場が無いな……、そんな風に思ったが、今回はそれなりに、生野菜料理をなかなか、いい感じに仕上げてきた。
ずらりと食卓の上に並べられた料理を前に、「いただきます」と、並べられた料理に礼を示す。
俺は目の前の席に座ったエアとレンに、気になった事をすぐに尋ねた。
「魔法を覚えたと言っていたな? 何属性の攻撃魔法を覚えられた?」
するとエアは、待ってましたとばかりに、口元をニヤつかせながら「火属性の攻撃魔法を覚えました!」と宣言する。
俺は「よし」という感じで頷くと、隣に座る弟に視線を送った。
「僕は──風と水。二つの属性の攻撃魔法と、回復魔法を覚えられました」
それを聞いた俺は、重々しく頷いて「よくやった、でかした」と応えてやった。
数少ない回復魔法の使用者が、やっと一人増えた。新人達の中にも、回復魔法を使える奴が入っているといいんだが。
それにしても、双子でここまで顕著に、魔法習得に差が出るとは。知性や想像力などの違いで、魔法習得に変化が出ると、聞いた事もあるが……
魔法の適性などは、生まれ持った性質によるところが大きい言われているが、それはあまり正確な情報では無さそうだ。
経験則だが、初めは習得できなかった属性の魔法も、後から覚える事が可能になる場合も(ヴィナーがそうだった)あるのだ。生まれついての性質だけとは言い切れないだろう。
食事を食べ終わるとレーチェが、実家から持って来たという蜜菓子を出し、紅茶と一緒に振る舞ってくれた。
一つ一つを小さく焼き上げた菓子は、こんもりと膨らんだ薄茶色の菓子で、少し固めの、ざっくりとした歯ごたえのある焼き菓子だ。
メイが、久し振りに出された甘いお菓子にさっそく手を伸ばす。
「カーリアとユナとメイが、リゼミラと上級難度の転移門を使ったんだよな? どうだった、もう慣れたのか」
ユナとメイは、おそらく問題は無いだろう。問題があるとすれば、カーリアだったが……メイは、ちらっとカーリアの方を見ると「だいじょうぶだったよ」と、先輩冒険者としての意見を言ってくれた。
「う、うん……。『魔牛人』が怖かったけど、倒せたよ」
カーリアはそう言って、「だいじょうぶ」と二回繰り返す。
魔牛人は、大抵は金属の鎧で武装した、大きな身体の半人半牛の魔物だ。牛の頭と蹄、胴体や腕は人間に近い──いわゆる「ミノタウロス」だが、武器だけで無く魔法も使いこなし、上級難度に出る敵の中でも危険な魔物だ。
さらにこの魔物の上位存在も居るのだが、さすがに奴の相手は、まだ早いだろう。
リゼミラを見ると、蜜菓子を食べてご満悦だ。
「ん? なぁに?」
「『なぁに?』じゃない。カーリアはどうだ、上級でも問題なく、やっていけそうか?」
ああ、と言葉を濁したが、少し考えてからリゼミラは簡潔に言った。
「そんなに心配しなくても、カーリアの魔法剣は強力で、状況判断も出来て、的確な行動も取れるし、問題ないでしょ」
俺は「そうか……」と少しほっとする。
一緒に冒険に出れる訳では無いので、どういった行動をしているか、いつも気掛かりだったのだ。リゼミラが言うのだから、間違いは無いだろう。
一度自室へもどると、エウラの為に作った「銀鎧竜の籠手」を手にして食堂へ戻る。
廊下の途中で子猫とライムの様子を見ると、巣箱の中で横になり、子猫に乳を与えているところだった。
食堂へ来ると、エウラの所へ籠手を持って行ってやった。鑑定書と共に渡して、籠手を付けた時に違和感が無いか確認する。
「大丈夫です。ちゃんと手首も動かせますよ」
彼女はそう言って、いくら払えば良いかと尋ねて来た。
「ああ……素材だけなら──八千ルキくらいか? たぶん。値段の事は考えないで作ったからなぁ」
性能重視で作った物だと説明すると、彼女は「大事にします」と言ってくれ。エウラは自室に籠手を持ち帰り、すぐにお金を持って戻って来た。
エウラは籠手に付与された効果を見て、すぐにでも実戦で試したいと喜んでいる。
「まあ、無茶はしないようにな……」
訓練でときおり見せる、凄まじく重い剣圧に、気の攻撃──「破砕撃」が乗るとなると、かなりの威力になるのは必至だ。
彼女は魔法を扱えない分、錬金鍛冶で支援してやれば、より一層の活躍をしてくれる事だろう。
魔法と言えば、エアとレンの魔法の剣も作ってやる必要が出来た。またしても忙しくなりそうである……




